東京の図書館から、小金井市立図書館のライブラリを御紹介しています。今回はメンデルスゾーンとスメタナのピアノ三重奏曲です。
ピアノ三重奏曲って、我が国ではあまりメジャーではないような気がします。重厚長大で権威が好きな人が多いせいかもしれません・・・・・でも、ピアノ三重奏曲は、ベートーヴェンも好んで作曲した、アンサンブルとしては実に魅力的な形式だと思っています。
実際、ロマン派に置いてもブラームスが作曲していますし、このブログでもベートーヴェンとブラームスのは取り上げてきたと思います。で、今度はメンデルスゾーンとスメタナ、です。
メンデルスゾーンという作曲家も、管弦楽は結構有名なのですが、室内楽もけっこう作品がある割にはなかなか取り上げられることが少ない作曲家です。欧米ではそうでもないようですが、日本ではさっぱりなんですよねえ。むしろ室内楽ってまとめれば、スメタナのほうが演奏機会は多いと言えるでしょう。名作「わが生涯より」があるために。
でも、ピアノ三重奏曲となると、さっぱりなんですよねえ、これも。
その二人のさっぱりな作品が収録されたのが、このアルバムです。こういったセンス、やっぱり本場は違うって思います。
メンデルスゾーンのピアノ三重奏曲は、1845年、メンデルスゾーン36歳の時に作曲されました。なんと、ヴァイオリン協奏曲などが作曲されたあたりなんです。つまりは、最も充実していた時期の作品です。まるでピアノ協奏曲を思わせるような激しいパッセージ。和声と旋律がドラマティックなど、地味なイメージがあるピアノ三重奏曲がまるでピアノ協奏曲の様です。
そもそも、ピアノ三重奏曲は、ピアノ協奏曲を最小限のアンサンブルで演奏するようなものなのです。特にロマン派以降はその傾向が顕著だと言えます。三つの楽器が対等かつ協奏する、それがピアノ三重奏曲です。それはヴァイオリンとチェロがオケになれば完全にピアノ協奏曲です。メンデルスゾーンもそんな印象です。
だからこそなんですが、次のスメタナも非常に素晴らしい作品なんです。スメタナは室内楽が苦手だったと言われていますが、あきらかにピアノ協奏曲のようなイメージで作曲しています。さらには、動機が長女の死ということもあったでしょう。1855年、スメタナがいう才能豊かだった長女の死を乗り越えんがため作曲されたのがここに収録されているピアノ三重奏曲で、どこが苦手なの?って思うくらい充実し、幻想的でかつロマンティックな作品が存在します。じつに魅力的な作品で、何度聴いてもどこかで感動する自分がいます。
それは演奏するボザール・トリオの実力ゆえなのかもしれません。アインザッツは強めで近代的。その上でしなやかで流麗。その二つがアウフヘーベンし、特にスメタナではみごとなまでの内面をえぐることに成功しています。悲しみと希望が入り混じる音楽をしっかりと希望へと導くような・・・・・
メンデルスゾーンでは、彼の出自からは考えられない(しかし、援助職経験がある私からすれば当たり前のことですが)激しさが存分に表現されつつも、美しさをどこか忘れていません。気品がつねに存在し、その上でしっかりと音楽に人間がいる。その暖かさもまた素晴らしいと思います。それがですよ、ピアノとヴァイオリンとチェロという、楽器3つで世界として表現しているんですから・・・・・なんでピアノ三重奏曲を避けましょうや!
こういう素晴らしい作品にしっかりとフォーカスしていく・・・・・オケばかりが注目されますが、もっとサロンコンサートなどで日本でも演奏されるようになると、日本のクラシックのすそ野は広がるのになあと、演奏家の方々には注文付けたいと思います。
聴いている音源
フェリックス・メンデルスゾーン=バルトルディ作曲
ピアノ三重奏曲第2番ハ短調作品66
ベルドジヒ・スメタナ作曲
ピアノ三重奏曲ト短調作品15
ボザール・トリオ
メヘナム・ブレスラー(ピアノ)
イシドーア・コーエン(ヴァイオリン)
ピーター・ウィリー(チェロ)
地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。
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