かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から〜小金井市立図書館〜二人の「ゲイ」のヴァイオリン協奏曲

東京の図書館から、小金井市立図書館のライブラリを御紹介しています。今回はロセッティとバーバーというアメリカの2人の作曲家のヴァイオリン協奏曲を収録したアルバムを御紹介します。

小金井がなんだかんだリベラルだと思うのは、こういったライブラリがあることだと思っています。一見すると、二人のアメリカ人の作品を取り上げたアルバムだと思うでしょ?でもこのアルバムには、隠された編集方針があります。それは恐らく、現地アメリカであればすぐわかってしまう事なんだと思います。

では、二人の共通項はアメリカ人という以外に何があるのでしょうか?

ジャン=カルロ・メノッティ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%B3%EF%BC%9D%E3%82%AB%E3%83%AB%E3%83%AD%E3%83%BB%E3%83%A1%E3%83%8E%E3%83%83%E3%83%86%E3%82%A3

サミュエル・バーバー
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%83%9F%E3%83%A5%E3%82%A8%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%BC

同じカーティス音楽院卒業だってことはわかりますよね?ただ、その理由だと恐らく薄いです。アメリカという国はそんな学閥で区分けはしません。もう一つはともに同性愛者(ゲイ)であり、なおかつこの二人はパートナーだった、ということです。

これを借りてきたのはもう4年くらい前ですが、ことしにご紹介できることは、神の配慮だと言わざるを得ません。なぜなら、某自民党議員が、LGBTの誇りを甚く傷つけたからです。それをきっかけに、カミングアウトする人たちが増えました。

この二人は、特にバーバーはアメリカの作曲家ということもあり、なおかつベートーヴェンのように思想を押し出すこともなかったので、特に保守派の人たちには好まれていた作曲家です。ところが、そのバーバーは同性愛者だった・・・・・実にいいタイミングでウィキは更新されたと思います。

さて、保守派の人たちは、ならもう聴かない!でしょうか。音楽はとても美しく素晴らしいのに・・・・・

メノッティはむしろ、日本ではあまり知られていない作曲家だと思います。和声的には20世紀音楽の匂いがプンプンしますが、メロディラインはしっかりしている作曲家だと思います。恐らく、次のバーバーの作品を委嘱した人は、こんなメノッティのような作品を望んだんでしょうね。甘く甘美でしかしどこか清潔感も漂うこのヴァイオリン協奏曲は、1951年の作品。え、戦後なの?と驚かれると思います。だから私は「現代音楽」という言い方をしないってわけです。

その私の意見を強力に証明するのが、次のバーバーのヴァイオリン協奏曲なのです。第1楽章と第2楽章はロマンティシズムに満ちていますが、第3楽章は何と無窮動。それが一つの作品の中でアウフヘーベンする。これが20世紀音楽だと思います。

ヴァイオリン協奏曲 (バーバー)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%82%AA%E3%83%AA%E3%83%B3%E5%8D%94%E5%A5%8F%E6%9B%B2_(%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%BC)

二人の「ゲイ」の音楽は同じなようで異なり、それぞれ個性を放っています。そもそもゲイというのは、趣味なのでしょうか?対人援助職の経験がある私はそうは思いません。むしろもっと魂のレベルの問題なのです。普通の人が女性を愛するように、この二人は男性であるお互いを愛したのです。それは性的にも・・・・・

私も、対人援助の世界に触れるまでは、なぜ男性が男性を愛するのかが理解できませんでしたが、実は私にも若かりしころに男性を愛した経験があります。今はもう女性専門ですが・・・・・当時は所謂バイでした。高校生の時まで、私もバイだったのです。その後、私は女性にしか興味を示さなくなりましたが・・・・・それでも、なぜ男性が男性を愛するのかを、自らの経験に基づいて理解することができ、対人援助の世界にいて、気が付くきっかけに巡り合ったのは幸運だったと思います。

この二人は、その自らの問題から顔をそむけず、むしろ突進していったと言えましょう。それが芸術へと反映され、二つの個性的な、甘美かつ生命力ある作品が出来上がりました。メノッティのほうがより甘美で、耽美的とも言えますが・・・・・

翻って、日本はこのような芸術を決して認めようとしません。ですから、私はあの某自民党議員の文章を読んで、即座に嘘だと気付いたのです。これは金とかを問題にしているんじゃない、そう思わせてLGBTの誇りを傷つけることが目的なのだ、と。それはこういった芸術を知っていれば、嗅覚が働くのです。バーンスタインもゲイでしたしね。

つまり、このアルバムは、ゲイの芸術を紹介することで、LGBTへの偏見をなくそう!という編集方針が貫かれている、と言えるのです。そのために資金を使うことまで否定されなければならないんでしょうか?例えば、LGBTたちがデモをするのにも、警察の保護が必要ですが、それは要らないってことなのでしょうか?公金を投入するなということは、そういうことです。何も直接投入することだけが公金を使う事ではありません。デモをする人たちの安全を守ることもまた、必要な公金投入ですし、そもそもLGBTの多くは経済的にしっかりしている人が多いため、公金を投入しなければならぬ人たちはごくわずかです(そしてそういう人たちは等しく生活保護を受ける権利があります)。

公金を直接投入することがネガティヴなら、この二人のような芸術活動を支援することはポジティヴだと思うのです。そこの提示がまるでない。説明責任を果たしていないんです。だからあの女性議員は叩かれているってことが分からないと言うのは、この国はとても不幸なことだと思います。なぜなら、かつてなら出雲お国は歌舞伎を創始し、その歌舞伎の世界でも同性愛者はいたはずなのです。でもそういった人たちによって、歌舞伎の芸術と伝統は育まれてきました。

あの議員が言っていることは、その我が国の伝統芸能すら冒涜していることなのです(ついでに自衛隊に対してもですが、ここではそれは置いておきます)。そのことを述べる機会が、このブログのエントリで与えられたことを、感謝したいと思います。本当に小金井って自治体は不思議な自治体だって思います。

演奏も、そういった芸術への共感で満ちあふれ、特にヴァイオリンのカンタービレは素晴らしい!アメリカと言う国は欠点もたくさんありますがこういった長所もたくさんある、素晴らしい国だって思います。日本も欠点もありつつも長所もたくさんあるって言われる国にしたいと、皆さん、思いませんか?




聴いている音源
ジャン・カルロ・メノッティ作曲
ヴァイオリン協奏曲
サミュエル・バーバー作曲
ヴァイオリン協奏曲作品14
ルッジェーロ・リッチ(ヴァイオリン)
キース・クラーク指揮
パシフィック交響楽団

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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