かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:ブラームスのヴァイオリンのために書かれた二つの協奏曲

今回の神奈川県立図書館所蔵CDは、ブラームスのヴァイオリン協奏曲とヴァイオリンとチェロのための協奏曲です。指揮は最近モーツァルト宗教音楽全集でも取り上げましたニコラウス・アーノンクール。ヴァイオリンはギドン・クレーメルで、チェロはクレメンス・ハーゲン。ハーゲン四重奏団員でもある実力派が組みます。オケはロイヤル・コンセルトへボウ管弦楽団。今までも私のブログでは「アムステルダム・コンセルトへボウ管弦楽団」の名称で何度か取り上げています。

この音源を借りましたのは、ふとブラームスのヴァイオリン協奏曲って聴いたことあったかな?と思ってです。一度、友人から音源をいただいて聴いた記憶があったような気もしたのですが、どうも定かではなく、いっそ図書館で借りましょうと言うことに相成りました。

実は、この時ヴァイオリンとチェロのための協奏曲に関しては二つ音源を借りているのですが、もう一方のほうが実は今ではお気に入りなのです。まあ、こういうこともあります。ただ、この音源の演奏も決して悪くはありません。

まず、ヴァイオリン協奏曲ですが、ブラームスが45歳の1878年に完成されました。サラサーテが弾くブルッフのヴァイオリン協奏曲第2番に感動して作曲が開始されましたのが1877年。初物は筆が遅いこともしばしばなブラームスにしてはかなり早い時間でかき上げています。そもそもブラームスがヴァイオリンを得意としたということが背景にあるようです。

ヴァイオリン協奏曲 (ブラームス)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%82%AA%E3%83%AA%E3%83%B3%E5%8D%94%E5%A5%8F%E6%9B%B2_(%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%82%B9)

ベートーヴェンメンデルスゾーンと並び、三大ヴァイオリン協奏曲と呼ばれますが、有名度からしますとこの協奏曲を批判したチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲に劣る点は否めません。ブラームスにしてはとてもロマンティックであるという点もあるのかもしれません。特に第1楽章は甘いメロディが特徴的で、ヴァイオリンが歌うその旋律は、うっとりという表現が適当でしょう。

一方、ヴァイオリンとチェロのための協奏曲はヴァイオリン協奏曲完成から9年後の1887年に完成しました。ブラームス最後の管弦楽曲でもあるこの作品は、ヴァイオリン協奏曲から10年という時間が経っているせいか、重厚な部分と華麗な部分とが同居する、彼の協奏曲を代表するような作品となっています。

ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲 (ブラームス)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%82%AA%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%81%A8%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%AD%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE%E4%BA%8C%E9%87%8D%E5%8D%94%E5%A5%8F%E6%9B%B2_(%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%82%B9)

正確にはこのウィキの記述の通り二重協奏曲です。ヴァイオリンとチェロが台頭にわたりあい、会話をするその作風は、古典派の協奏交響曲を彷彿とさせます。

協奏交響曲
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%94%E5%A5%8F%E4%BA%A4%E9%9F%BF%E6%9B%B2

この演奏ではその会話するという側面が重視されているせいか、両人の技巧的なものが少しトーンダウンしている点は否めません。それはウィキの説明にもあるように、合奏協奏曲をも念頭に置いているようにオケとも会話するように作曲されているせいもあるでしょう。逆にそれ故にこの曲が持つ協奏交響曲を意識した会話する形を楽しむことが出来ます。ただ演奏によっては会話どころか、まるで競り合いにも変化するのですから、この曲の奥深さを感じます。それに気が付かされたのはもう一つの音源なのですが、それはまたその音源をご紹介するときに。

一方でヴァイオリン協奏曲では、クレーメルの技巧が強調されてもいます。つまり、単なるロマンティックな曲ではないよと、きちんと主張もしています。やはりブラームスの作品ですからそういった点はあるでしょうねえと膝をぽん!と打つところです。

両曲とも、一見するとロマンティックあるいは重厚な印象の音楽からブラームスらしさがにじみ出るのが特徴です。

さらに、協奏曲と言えばカデンツァですが、実はヴァイオリン協奏曲にはカデンツァがありながらブラームスは作曲をしていません。この音源ではエネスコのものを使っています。ブカレスト・フィルを組織した程の音楽家であるエネスコのカデンツァは、私にはとてもブラームスらしい「土臭さ」を感じる、小気味いいもので好みです。

指揮がアーノンクールということもあるのでしょうか、全体的に端整な演奏は私好みなんですが、それを上回る演奏が果たしてあるのでしょうか?

あるんですよ、これが・・・・・

それは明日、述べることといたします。



聴いている音源
ヨハネス・ブラームス作曲
ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品77(カデンツァ:ジョルジュ・エネスコ)
ヴァイオリンとチェロのための協奏曲イ短調作品102
ギドン・クレーメル(ヴァイオリン)
クレメンス・ハーゲン(チェロ)
ニコラウス・アーノンクール指揮
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団



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