東京の図書館から、小金井市立図書館のライブラリを御紹介しています。今回はアレッサンドロ・ロッラのヴィオラ協奏曲集を取り上げます。
小金井市立図書館って、不思議な図書館だと思います。小さい市ですから有名曲の有名レーベルばかりかと言えば、こんなあまり知られていない作曲家の作品を持っていたりしますんで。
ロッラは、古典派〜前期ロマン派にかけて活躍したヴィオラ及びヴァイオリン奏者で作曲家です。パガニーニを教えているとかいないとか・・・・・
https://ameblo.jp/kabakundasalo/entry-10038826103.html
なぜかウィキもヒットせず、グーグルの右側に出てきたデータを参照すると、1757年に生まれ1841年に没したので、それを踏まえて私は古典派〜前期ロマン派の作曲家と結論しています。演奏家としても作曲家としても有能だった人の様ですが、様式的には旧いものを持っています。
特に、このアルバムに収録されている二つのヴィオラ協奏曲は、え、モーツァルト?って思ってしまうほどです。でも、驚きはそれだけではありません。
このアルバム、実は演奏するのは、イ・ムジチ、なんです!本来バロック音楽を得意とするはずのイ・ムジチが、何と古典派の作曲家にトライしているってわけなんです。ですがそれはごく自然で、物足りなさを微塵も感じさせず、むしろ生命力あふれ、生きる喜びに満ちた演奏です。
考えてみれば、ベートーヴェンの時代まで、編成としてはバロックとそれほど変わりないんです。多少大きくなっただけ。むしろ、私がモーツァルトのピアノ協奏曲で感じた違和感を、みごとに証明してみせているのです。つまり、モダンの編成は大きすぎないか?ってことです。
イ・ムジチ位でも、十分なのだと言う事を、みごとに証明してみせているんですよね〜。こういうアルバムを持っている小金井の司書さん、どれだけセンスいいんですかって話です、ええ。
そもそも、モーツァルトの時代までは、イ・ムジチの編成というか、「スタイル」が普通だったんだと思い起こさせてくれます。ヴィオッティもそうですが、このロッラにしても、まさにイ・ムジチくらいでも丁度いいってわけなんです。特に現代の技量が上がった時代では、むしろオケはダウンサイジングしていく・・・・私はそう思っていますが、そんなことを、この録音の1993年でイ・ムジチが宣言しているってわけです。
ムジカ・エテルナに熱狂している人たちがいますが、私はどこか斜に構えているのは、ムジカ・エテルナを否定するのではなく、むしろそれが当たり前なんだけどという、冷めたものからいずるのです。だって、ムジカ・エテルナの「スタイル」は、古典派までは当たり前だったんですから。大編成でそのスタイルを貫き通すのは、団員相互の対話が重要ですが、それがしっかりとなされているってことです。それは何もどこかいきなり出てきたわけではなく、イ・ムジチやオルフェウスなどが実験しつづけてきた延長線上にあるのです。
それを私は知っていますから、単に冷静なだけなんです。日本だってアマチュア・オケを中心としてムジカ・エテルナのスタイルを取るオケも出てきていますし、それを知っていれば日本のオケは全体的に批判的です。どこのオケだけが素晴らしく後はダメ、なのではなく、どこももっとアマチュアに学んだほうがいいじゃないかって思っています。日本のオケはどこだってポテンシャルがあって、それを事務局がどれだけ後押ししているかってだけなんですから。単にその差である程度の差がついているだけです。今いいオケだって、事務局が怠ければすぐダメになります。そんなもんです。
イ・ムジチはそれを判っていて、研鑽を怠らない。だからこそ、古典派でも素晴らしい、生き生きとした演奏をすることができるってわけです。イ・ムジチのスタイルそのままでも、なんら問題なことを教えてくれます。むしろ、私たちがつい感動するベートーヴェンのほうが、古典派においては異端児だったということを、思い起こす必要があるのではって思います。その異端がいつしか「当たり前」になったのが現代でしかないってわけです。けれどもその当たり前も、経済の中心がヨーロッパからアジアへと移り、多軸化していくにつれて、また変ってくるはずです。
こういう演奏は、そういう時代の移り変わりも、教えてくれます。
聴いている音源
アレッサンドロ・ロッラ作曲
協奏曲変ホ長調作品3(ヴィオラとオーケストラのための)
ディヴェルティメント ヘ長調(ヴィオラと弦楽合奏のための)
協奏曲変ホ長調(ヴィオラと弦楽合奏のための)
ロンド ト長調(ヴィオラとオーケストラのための)
イ・ムジチ合奏団
マッシモ・パリス(ヴィオラ)
シモーネ・バロンチーニ、アラン・D・ジョーンズ(オーボエ)
エマヌエル・アビュール、エヴリン・ヴーマード(ホルン)
地震および津波、或は水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。
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