かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から〜小金井市立図書館〜:ステンハンマル 交響曲第1番・第2番1

東京の図書館から、小金井市立図書館のライブラリを御紹介しています。今回と次回の2回に渡り、ステンハンマルの交響曲集をご紹介します。

ステンハンマルという作曲家については、すでにこのブログでも交響曲第2番とピアノ協奏曲をご紹介していますが、大変魅力的な音楽を書く作曲家です。

ヴィルヘルム・ステーンハンマル
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%AB%E3%83%98%E3%83%AB%E3%83%A0%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%9E%E3%83%AB

今月のお買いもの:ステンハンマル ピアノ協奏曲第1番ほか
http://yaplog.jp/yk6974/archive/1069

今月のお買いもの:ステンハンマル 交響曲第2番/序曲「天の高みに登らん」
http://yaplog.jp/yk6974/archive/1239

最初に知ったのは、オーケストラ・ナデージダさんの第8回定期演奏会の会場で買ったCDだったと思います。その次に聴いたのが、実はこの小金井市立図書館で借りてきた音源でした。ですから、交響曲第2番のナクソス音源を取り上げた時に、このように述べています。

「で、実はですね、この一枚、重複なのです・・・・・すでに、図書館で交響曲は第1番と第2番を借りてきているのです。」

と言うわけで、ようやく交響曲第1番を御紹介する機会が巡ってきました。実はこの音源2枚組で、まずは1枚目を御紹介するのですが、そのメインが交響曲第1番なのです。

実は、ステンハンマルはこの第1番は撤回してしまっており、第2番しか解説がないような状況ですが、私は決して嫌いではありません。1902年〜1903年にかけて作曲された作品です。以前ご紹介したピアノ協奏曲第1番よりも実は後の作品なので、どことなく北欧的な透明感のある作品に仕上がっています。

私としては、撤回する必要なかったのになあって思います。多分、交響曲第2番で採用したドリア旋法のような、宗教色がないので撤回したのかなって思っていますが、それはステンハンマルの勇み足だったように思います。勿論、生涯撤回を反故にしなかったわけですから、それはステンハンマルの固い遺志だと言えるでしょう。ただ、私は「なぜ破棄ではなかったのか」に注目します。

本来なら破棄でいいわけです。しかし恐らく、出版なども終わっており、破棄という訳にはいかなかったんでしょう。作曲者自身は認めないけれど、演奏したい人はすればいい、というような感じだったのかもしれません。ですからこの音源では第1番が収録された、と言うことになります。

ドイツ後期ロマン派の影響よりも、新古典主義音楽の影響のほうを強く受けているとも取れる、魅力的な旋律。しっかりとした構造を持つ、本流とも言える流れを受け継ぐ、楽章構成。私としては実に魅力的な作品です。しかしステンハンマルは、新ドイツ主義から離れると言うことで、撤回するということになったのでしょう。しかし、現代から見てみると、その北欧主義も、後期ロマン派の影響を受けているとも言えるわけですから、どうなんでしょう。

私は素直に楽しみたいと思います。勿論、これ以降の作品も素晴らしいものなんですけれども、少なくとも私は現代を生きる人なので。

さらに後期ロマン派の影響を受けている作品が、カップリングの「エクセルシオール!」です。とても生きのいい作品で、交響的序曲というのはよく名づけたものだと思います。交響的と言いますけれど演奏会用序曲です。若いステンハンマルの息吹を存分に感じることができます。

演奏は、指揮するはネーメ・ヤルヴィ、オケはエーテボリ響。元々ステンハンマルと関係が深かったエーテボリ響が演奏すると、実に生命力があるんですよね。「撤回」したはずの第1番だって、実に素晴らしい作品であることが自然と湧き上っているんです。それは過度に解釈しないステディな指揮で名声のあるヤルヴィのタクトもあるでしょう。もし今ステンハンマルが生きていたら、撤回は勇み足だったかも、それはそれで過去の事さと流すかもしれません。

或は、破棄ではなく「撤回」というのが何を意味するのかを、エーテボリの団員には語り継がれているのかもしれません。だからこそ、撤回されたはずの作品が、実は自然体で演奏すればそれ自体がしっかりと語る作品であるということを言いたいように、私には伝わってくるんです。それは一方で、19世紀から20世紀初頭にかけての「演奏論」にも関わってくることでしょう。となると、作品とこの演奏は、私達に、例えばカラヤン批判は真に適切なのかということまで、語りかけてくるのです。




聴いている音源
ヴィルヘルム・ステンハンマル作曲
エクセルシオール!交響的序曲 作品13
交響曲第1番ヘ長調
ネーメ・ヤルヴィ指揮
エーテボリ交響楽団

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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