かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

コンサート雑感:オーケストラ・ナデージダ 第17回演奏会を聴いて

コンサート雑感、今回は平成29年9月16日に行なわれました、オーケストラ・ナデージダの第17回演奏会を取り上げます。

ナデージダさんのコンサートは本当に久しぶりに行きました。前回は何と5年前。渋谷の渋谷区総合文化センター大和田 さくらホールで行なわれた、第8回の演奏会でした。

コンサート雑感:オーケストラ・ナデージダ第8回定期演奏会を聴いて
http://yaplog.jp/yk6974/archive/1026

その演奏が気に入って、CDを購入してもいます。

今月のお買いもの:ステンハンマル ピアノ協奏曲第1番ほか
http://yaplog.jp/yk6974/archive/1069

この時も上手だなあって思ったのでしたが、今回もその通り素晴らしい演奏を聴かせてくれました。場所は渋谷から離れて、江戸川区タワーホール船堀。シューボックス型の、どちらかと言えば多目的ホールに近い残響をもつホールです。

http://www.towerhall.jp/1facility/facility-up.html

残響はともかく、響きがとても暖かく感じました。その上で、座席数が760席ほど。これは素晴らしい演奏が期待できそうだと直感しました。なぜなら、ホールが小さいからです。

勿論、大ホールなので大きいのですが、座席は1階席のみで、思ったよりはこじんまりしています。と言うことは、ppからffまでが思いっきり表現できると言うことを意味します。

そして、その通りナデージダさんは本当にppの表現がうまく、思い切って弱音にしているのが素晴らしいです!今回聴いたどの曲でもそれが徹底されていました。これはアマオケの皆さんは是非とも一度はコンサートに足を運んだ方が良いと思います。ダズビと並びとても参考になるオケだと思います。

勿論、ナデージダさんもアマオケです。でもロシア人がところどころ入っているがミソで、今回のそのアンサンブルは本当に溶け合い、さらに磨きがかかっているように思われます。

プログラムは以下の通りです。

�@グレチャニノフ 交響曲第1番
�Aラウタヴァ―ラ 「幻影の書」より第3曲「愛の話」
�Bラフマニノフ 交響詩「死の島」
�Cチャイコフスキー デンマーク国歌による祝典序曲

どれも聴いたことがない作品だったので知ることができる喜びとワクワク感で一杯だったのですが、面白かったのはその曲順です。普通、逆になるはずなんですね。最後に交響曲がくるのが通常です。でも、これはアマチュアオケの演奏会なんですよね〜。実は、この曲順にはしっかりと理由があって、後半に行くにつれてオケの編成が大きくなるんです。

つまり、演奏が終わって、さー帰ろーっていう団員がいない、ってわけです。つまり、最後に全員そろってお別れ、という趣向になっているんですね。これは微笑ましいなあって思いました。

そもそも、ナデージダさんは、団員との距離も近く、私が駅を降りてホールまで歩く間に、ロシア人団員でダズビにも参加していらっしゃるトカレフさんが歩いておられましたが、聴衆の男性に声をかけられており、微笑ましい風景がありました。こういうフランクな点はいいなあって思いました。

私もそうなれるほど、ナデージダさんのコンサートは行きたいんですが、日曜日に行なわれるということになってしまうと、どうしようもなくて・・・・・そこが、現状の職場の悩みの種、でしょうか。

グレチャニノフの交響曲第1番は本当に豊潤な演奏でした!うっとりと言う言葉が一番適切だと思いますが、ナデージダさんのキャッチフレーズ「演歌が鳴り響くオープニングは、まさにロシアの歌謡ショーだ」とというのはまさに適切だと聴いて思いました。このフレーズはいったい誰が考えたのか、本当にぴったりだと思いました。

アレクサンドル・グレチャニノフ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AC%E3%82%AF%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%B0%E3%83%AC%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%8B%E3%83%8E%E3%83%95

後半生は戦火を避けてアメリカへ亡命しましたが、そもそもロシア革命で国を追われた人でした。そのグレチャニノフがまだロシアにいた時代に書かれたのがこの交響曲第1番ですが、本当にロシア民謡が沢山出てきており、作曲者の愛国心というか、英語で言う「パトリオティスト」たる気持ちが発露されている作品だと言えるでしょう。それをパトリオティストとナショナリストと対比して言うと大げさになりますが。作品はその側面をロシア民謡へのひたすらな愛を表現することで構築しているという点を、「ロシアの歌謡ショー」と表現するのは素晴らしい才能だと思います。付けた人は本当に素晴らしいと思います。

2曲目のラウタヴァ―ラは、フィンランドの作曲家。ということは、ロシアとは関係性が良くないはずなんですが、1曲目のグレチャニノフ同様、パトリオティストとしての側面がこれも出ている作品だと言えるでしょう。その上で、とにかく甘い。どれほど甘いかと言えば、アイスクリームよりは甘いです。って、古いか!

甘すぎて、むしろスクリャービンの「法悦の詩」のような神秘主義的色彩もある作品です。この時のコンサートマスターのヴァイオリンは本当に艶がある、甘美な演奏でした!アマオケでこれだけの表現ができるオケは、そうそうありません、マジで。

エイノユハニ・ラウタヴァーラ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%82%A4%E3%83%8E%E3%83%A6%E3%83%8F%E3%83%8B%E3%83%BB%E3%83%A9%E3%82%A6%E3%82%BF%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%BC%E3%83%A9

3曲目と4曲目は、有名作曲家の秘曲の紹介と言った側面です。ラフマニノフの「死の島」は原画ではなくモノクロの版画をもとにしているため、おどろおどろしい部分が沢山ありますが、ラフマニノフ交響曲とかピアノ協奏曲のような技巧に走るような部分がなく、旋律がじっくり味わえる作品です。それをしっかりじっくり味あわせてくれるナデージダさんは、もっとCD出していいと思います。

死の島 (ラフマニノフ)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%BB%E3%81%AE%E5%B3%B6_(%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%9E%E3%83%8B%E3%83%8E%E3%83%95)

最後のチャイコフスキーは、実は「1812年」に匹敵する作品であり、姉妹作品とも言われている作品ですが、日本での認知は今一つの様です。でも感動するフレーズがそこかしこにあり、さすが祝典序曲であると思うと同時に、チャイコフスキーの手腕の素晴らしさを感じる作品です。

デンマーク国歌による祝典序曲
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%87%E3%83%B3%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%82%AF%E5%9B%BD%E6%AD%8C%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E7%A5%9D%E5%85%B8%E5%BA%8F%E6%9B%B2

この作品が最後にあるため、アンコールなんていらないって思いました。実際、アンコールは無かったんですが、十分だと思いました。金管は伸びやかですし、ppからffまでが最大限表現され、最後は本当に感動して、そこかしこからブラヴォウの嵐です!当然だと思いました。

弦楽器の痩せた音も本当にごくわずかで、これがアマチュアオケだろうかって一瞬忘れるくらいのうまさ、なんです。いやあ、本当にしあわせな瞬間を過ごすことができて、良かったです!

で、次も聴きたいって思うんですが、何が悲しくて日曜日なんでしょう?次はあきらめざるを得ません。しかしその次がもし土曜日だったら、できるだけかけつけたいなあって思います。こういうオケは最大限応援していきたいです!




聴いてきたコンサート
オーケストラ・ナデージダ 第17回演奏会
アレクサンドル・グレチャニノフ作曲
交響曲第1番ロ短調作品6
エイノユハニ・ラウタヴァーラ作曲
「幻影の書」より第3曲「愛の話」
セルゲイ・ラフマニノフ作曲
交響詩「死の島」作品29
ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー作曲
デンマーク国歌による祝典序曲
渡辺新指揮
オーケストラ・ナデージダ
平成29年9月16日、東京江戸川、タワーホール船堀大ホール

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




このブログは「にほんブログ村」に参加しています。

にほんブログ村 クラシックブログへ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ クラシックCD鑑賞へ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ 合唱・コーラスへ
にほんブログ村