かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

コンサート雑感:アンサンブル・ルミエール 第5回演奏会を聴いて

コンサート雑感、今回は平成29年10月21日に聴きに行きました、アンサンブル・ルミエール第5回演奏会の模様を書きたいと思います。

アンサンブル・ルミエール、初めて聴く団体名だと言う人も多いかと思います。横浜を中心に活躍するアマチュア・オケです。

アンサンブル・ルミエール ENSEMBLE LUMIÈRE OFFICIAL WEB SITE
https://www.ensemblelumiere.com/profileof/

実は、私はプロ・オケに所属している人たちがアマチュアとして団体を設立したと思っていましたら、プロとは限らないということにビックリしました。その理由は、後述するとして・・・・・

今回、私がこの演奏会になぜ行ったかと言えば、ソリストが瀬川玄氏だったからです。このブログでもおなじみですね。

プログラムは、以下の通りです。

�@バーバー 弦楽のためのアダージョ作品11
�Aベートーヴェン ピアノ協奏曲第4番ト長調作品58
�Bモーツァルト 交響曲第41番ハ長調K.551「ジュピター」

このうち、バーバーはロビーで少ししか聴けませんでした。当日は衆議院議員選挙の前日で、台風も近づいてきているという状況。翌日は仕事だったため、私はその日のうちに期日前投票をせねばならなかったのですが、何と1時間待ち・・・・・

悩んだ末に出した結論は、バーバーをあきらめると言うものでした。断腸の想いでした・・・・・とにかく、瀬川氏のベートヴェンピアノ協奏曲までに間に合えばいい、その一念でした。

ロケーションは懐かしの県立音楽堂。実はもう県立図書館にも行ってはおらず(いずれ、それはまたエントリで述べることがあるかと思います)、近くすら通ることがひさしかったのですが、県立音楽堂の中に入るのもずいぶん久しぶりでした。でも、残響は少し短いものの、暖かい響きが味わえるかと思うと、本当にうれしかったです。

その県立音楽堂にようやくたどり着いてみると、予想通りバーバーは始まっていました。早々に済ませるものは済ませておこうとトイレへ。でも、ふと気になったんです。あれ、音、美しいな、と。

普通のアマオケであれば、アマオケらしい「音」というものがあります。痩せた感じの。しかしそれが全くなかったんです・・・・・

で、1階席はすでに満席になっているはずだから、2階席をと思いましたら、瀬川氏主宰の「音楽道場」の仲間たちが!しかも、瀬川氏の奥様にもばったり!いやあもう、嬉しいと言ったらありません。本来はいろんな会話をしたいところなのですが、曲と曲の間ですので、すぐに会場へ。

後ろの方の、中心に近いところにすわり、ベートーヴェンのピアノ協奏曲を待ちます。

さて、ベートーヴェンのピアノ協奏曲は弾くには難しい作品です。なぜなら、ピアノ独奏がいきなり入るからです。その難易度は恐らく、第5番「英雄」以上だと思います。

ピアノ協奏曲第4番 (ベートーヴェン)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%82%A2%E3%83%8E%E5%8D%94%E5%A5%8F%E6%9B%B2%E7%AC%AC4%E7%95%AA_(%E3%83%99%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%BC%E3%83%B4%E3%82%A7%E3%83%B3)

そもそもピアニストだったベートーヴェンだからこそ完成させることができた作品だと言っていいでしょう。だからこそ、演奏する側には、単に技術的な部分のみが要求されるわけではありません。むしろ、ピアニストとしての「自信」こそ求められる言えます。

当日は、瀬川氏は堂々と「瀬川節」を展開。ベートーヴェンと言うことで少し抑え気味ではありましたが、それでも自分はこう弾くんだというものを出していたと思います。欲を言えば、もっと堂々と、自己主張してもよかったと思います。それでも十分対話が成立するようにベートーヴェンは作曲していますから。

で、瀬川節と言えば、ピアノの朝比奈節とも言える、ゆったりとした中で荘重に弾く一方、力強さもあるというものなのですが、一方、オケは力づよく端正に演奏していきます。本来、それは一見すると両立しないのですが、なんとそこでしっかり両立しているんですよね〜。まずそれが素晴らしかったです。これこそ、アウフヘーベン希望の党の連中は是非とも、本物のアフウヘーベンとはどういうものか、聴きに来てほしかったですね。まあ、選挙の前日では仕方ないですが。

それは恐らく、オケのそもそもの理念である「年齢や席次にとらわれることなく各団員が積極的に意見を出し合い、“自分たちの音楽”を模索する」という姿勢が見事に結実したものだったと言えるでしょう。瀬川氏は第4回も参加しており、オケとも気心が知れているのでしょう。ならばもっと瀬川氏は自分を出してもよかったと思います。それが織りなす音楽はどんなものになるのだろう!ワクワク感は半端ありません。次も機会があれば、是非とも聴きに行きたいです。

で、メインのモーツァルト。端正さが喜びの爆発にもなっていて、しかも古典派している。ppとffの差も素晴らしく、リフレインも弱くとまさにプロオケ並み。その上で、実はベートーヴェンもそうだったのですが、バーバーで少し感じた通り、痩せた音がないんです。この人たちそもそもはプロオケなのだろうとその時は思っていたのですが、今回エントリを立てるに当たり、サイトを確認してみたらびっくり!アマチュアだと言うじゃありませんか!2度びっくりです、マジで。

指揮者の石毛氏は、ハルオケさんでも素晴らしい指揮をされますが、このアンサンブル・ルミエールでも素晴らしい指揮と解釈をされているなと思います。多分、石毛氏と美意識が共通している人が多いのだろうなあって思います。その上で、理念としてともに議論し、積み上げていく。モーツァルトではまさにその結果がサヴァリッシュ指揮チェコ・フィルにも匹敵するような演奏として結実したと言えます。CD出しても遜色ないと思います。その意味では、ダズビを超えたと言っていいと思います。

本当に、世の中にはプロオケに匹敵するアマチュアオケがあるんだなあって思います。以前も一度そういった経験をしていますが、今回瀬川氏がオケとのセッションを聴くという機会が与えられ、再び経験できた喜びを感じています。もしかするとプロオケの方がアマチュアとして参加しているかもしれませんが、とは言えそもそも他の団員のレヴェルが同等でないとアンサンブルした時必ず表面化するものです。表面化しないということは、間違いなく力量が同等だということを示しているわけです。

いやあ、日本のオケの未来は本当に明るいです!東響も素晴らしいのですが、かといって私は他のオケを非難しません。もし批判するのであれば、その演奏よりも、演奏をさせた事務方を批判するべきだからです。どのオケも全体的には良いレヴェルまで達しています。後はどうまとめあげるのかという点だけなんですから。その力量を持っている指揮者をいかに探し、招聘するか。事務方の力量が問われているわけです。

これは橋下氏も大フィル批判で頓珍漢なことを言っているなと思いましたが、在京オケへの批判でも当てはまり、けっこうそういった批判も多いのですよね。でも、私からすればプロオケは事務方もあるんですから、まず批判の矛先は事務方であり、次に団員であり、演奏であると思っています。アンサンブル・ルミエールは事務方がなく、団員がかねています。その距離の近さがいい演奏につながっているのだと思います。だとすれば、在京オケの事務方は勉強と言うか、いかにアンテナを張り、その中で向上しつづけるのか、自分を見つめるのかが大切なのではないかと思います。

一つ、今回の演奏会でオケに申し上げるならば、アンコールのアヴェ・ヴェルム・コルプスは編曲せずに思い切って原曲通りにして、聴衆に歌ってもらうというのも一つの方法だったように思います。実際、私も口ずさんでいました。今でもテノールパートがしっかり歌えることが分かって、楽しかったです。素晴らしい技量と表現力のオケと一緒に歌えたら、どんなにしあわせだろうなあって思います。

ある一時期、自分を見つめ直す時期が与えられ、その手法を演奏を聴くことにフィードバックしている私とすれば、アンサンブル・ルミエールからはたくさんの「ギフト」をもらったように思います。音楽をする喜びと一言で言うけれども、そこにはどんな意味や、事情があるだろうか・・・・・それを自らに投影してみて、自分はどうだろうと自己対話してみるのも、素晴らしい時間だと思います。

演奏後、瀬川氏はサイン会でなかなか話せなかったのですが、「音楽道場」の仲間とは少し話せたのが楽しかったです。やはり仲間は良いですね〜。その後仕事という状況で、演奏からも、そして仲間からもエネルギーをもらった、幸せなひと時でした。




聴いてきた演奏会
アンサンブル・ルミエール第5回演奏会
サミュエル・バーバー作曲
弦楽のためのアダージョ 作品11
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
ピアノ協奏曲第4番ト長調作品58
アンコール(瀬川玄)
フェリックス・メンデルスゾーン=バルトルディ作曲
無言歌イ長調作品19-3
ヴォルフガング・アマデウスモーツァルト作曲
交響曲第41番ハ長調K.551「ジュピター」
アンコール(オケ)
ヴォルフガング・アマデウスモーツァルト作曲
アヴェ・ヴェルム・コルプス(石毛保彦編曲)
瀬川玄(ピアノ)
石毛保彦指揮
アンサンブル・ルミエール

平成29年10月21日、神奈川西、神奈川県立音楽堂

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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