かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:ブラームス カンタータ「リナルド」他

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、今回はブラームスカンタータリナルド」を取り上げます。

ブラームスの合唱作品は、幾つかこのブログでも取り上げていますが、遂にカンタータが登場すると言うことになります。元音源は確かグラモフォンのブラームス全集だったと思います。

県立図書館には、ブラームスの全集がグラモフォンであります。ジャンルごとにまとめられていまして、これはその中でも合唱・声楽曲のカテゴリだったと思います。

確か、私はまさにこのリナルドと、後は声楽曲を借りて他は借りていなかったのはって思います。運命の歌は借りていたかな?まあ、また整理すれば判ることでしょう。

で、このリナルド、けっこういろんな方が作曲しているジャンルです。一番有名なのは、オペラの「リナルド」。ヘンデルのオペラです。それと同じ題材を、ブラームスカンタータという手法で作曲したのでした。

Rinaldo (cantata)
https://en.wikipedia.org/wiki/Rinaldo_(cantata)

英語版ウィキしかまともな説明は、ネット上では確認できませんでした。そこで、まさに「解放されたエルサレム」のURLを張っておきたいと思います。まあ、これもウィキですが、たいていのサイトの説明と違わないので、上げておきましょう。

エルサレム解放
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%AB%E3%82%B5%E3%83%AC%E3%83%A0%E8%A7%A3%E6%94%BE

この中で、リナルドが島でアルミーダと愛し合い、そこから目ざめて再び十字軍へ従軍していくさまが描かれている「はず」、です。なぜ「はず」として断定しないのかと言えば、歌詞カードがないから、です。

最近は、歌詞サイトもありますが、残念ながら、リナルドには存在しません。なので、トラックの一番最初の文句と、ウィキの「解放されたエルサレム」のあらすじを突合しながら検証していくと、そのように推測できるってわけです。

本当は歌詞カードがあったほうがいいんですが、此の時期私は実はワードを削除してしまいして・・・・・当然、図書館で全集の解説を借りれば載っているはずなんですが、重いうえに、ワードじゃないと書き写すのは面倒であることもあって、結局歌詞カードを借りずじまいになってしまったのです・・・・・

ですから、詳しい歌詞が分かりません。それでも、音楽の様子からある程度のことは推測できるのが、この作品の特徴ではないかって思います。

本来、原作は十字軍を題材に、男女の愛を描いた作品なのですが、ブラームスはそれと少し距離を取り、むしろリナルドと救いに来た十字軍との関係性に焦点を絞っています。実はこの作品、リーダーターフェルのために作曲された作品なので、女声がなく男声だけなんです。ソリストリナルド役のテノールだけ。

ですから、男女の愛を取り上げることは、不可能に近いんです。リナルドのソロでそれを表現するしかない。ある意味、とても男性目線の作品です。ヨハネス〜、だから女性と結婚できな・・・・・あ、それは言ってはいけないことでしたね、ヨハネス!

え、お前もだろって?うーん、まあ、それはそれとしてね、ヨハネス、でも、男性目線であるのは、そうだろう〜、ワイルドだろう?(って、これももう少し古いのですがー)

ブラームスの合唱作品には、男声のみ、女声と男声、混声とヴァージョンがあって、バラエティ豊かです。そして、それぞれに役割があって、そこを考えながらじっくり聴きますと、本当に味があるものばかりなんです。このリナルドもそういった作品の一つで、愛におぼれているリナルドを目覚めさせ、十字軍へと向かわせる部分に焦点を当てているのは、実は作曲した時代も影響しています。19世紀ドイツは統一国家へと向かう一方、世界は帝国主義の時代を迎えていました。そんな時代背景もあるのですね。

でも、意図的にブラームスは目的に適うよう、男女の愛の部分を削除して作曲しています。まだ若いブラームスですから、別段リア充が嫌いだった訳ではないでしょう。リーダーターフェルのためという側面があったからこそ、あえて削除したと言えるでしょう。でも、その完成度の高さは絶品!まるでオペラのような音楽は、聴き手をぐいぐい十字軍の世界へと引き込んでいきます。その意味では、メンデルスゾーンの手法を真っ直ぐに受け継いだものだと言えるでしょう。

演奏は、シノ―ポリ指揮チェコ・フィル。合唱はプラハ・フィル合唱団。素晴らしい組み合わせです。チェコ・フィルは金管が云々という話もありますが、実にドラマティックなものになっていますし、金管も弦も大活躍です。合唱は生き生きとして力強く、リナルドを演ずるルネ・コロも英雄的に演じており、この作品が持つそもそものダイナミクスを存分に表現していると思います。精神科医でもあったシノ―ポリの、鋭いスコア・リーディングは、全体を引き締め、緊張感を生み出し、ドラマティックさを増強しています。

リナルドカンタータですので、ロマン派においては、オペラ・ガラと考えてもいいくらいです。その性質を存分に理解し、その上で人間ドラマとして提示する。なんとにくい心意気でしょう!素晴らしい!こんな粋な演奏はそうありません。それだけに、歌詞カードが今は欲しいなって思います。いやあ、あの時借りていれば・・・・・と言っても、アフターフェスティバルですから〜(え、意味わからん?アフターは後、フェスティバルは祭、ですから、「後の祭」ってやつですね!)

まさにロマン派的な作品をしっかりロマン派として表現する、この組み合わせ、お奨めです!カップリングのアルト・ラプソディと聴き比べると、ブラームスの合唱作品の特徴がよく分かる編集になっているのも、優れているうえで、演奏もいいです。是非とも県民の方は足を運ばれては如何でしょう?




聴いている音源
ヨハネス・ブラームス作曲
カンタータリナルド」作品50(ゲーテの詩による、テノール独唱、男声合唱とオーケストラのための)
アルト・ラプソディ作品53(ゲーテの「冬のハルツの旅」からの断章によるアルト、男声合唱とオーケストラのための)
ルネ・コロ(テノール、作品50)
ブリギッテ・ファスベンダー(アルト、作品53)
プラハフィルハーモニー合唱団(合唱指揮:ルボミール・マートル)
ジュゼッペ・シノ―ポリ指揮
チェコ・フィルハーモニー管弦楽団

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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