かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:テデスコ ギター作品集

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、今回は山下和仁氏が演奏する、テデスコのギター作品集です。

ギター作品集はあまり取り上げていない私ですが、モーツァルト全集からソルのものを借りてきたときから、いずれギター作品集は借りて来たいと思ってましたし、またロドリーゴの「アランフェス協奏曲」を借りてきたことで、興味はがぜん上がっていたのでした。

そこで、日本人ギタリスト、山下和仁氏の演奏を聴いてみようと、借りてきたのがこの音源です。

ギターは音楽史の中で発展が少しだけ遅れたことから、音楽は古典的なものが多いのが特徴ですが、クラシックというジャンルを一歩離れると、途端にロックなど前衛もある魅力的な楽器だと言えます。このテデスコは保守的な音楽が並びます。

まず、テデスコという作曲家が、あまり日本のクラシックシーンでは知られていない作曲家なのではないでしょうか。20世紀の作曲家なんです、この人。でも多くのクラシックファンだと、その時代は不協和音や12音階、無調などというキーワードを想像する筈ですが、そういう手のものが、少なくともこのアルバムに収録された作品の中には殆ど見つけることができません。

マリオ・カステルヌオーヴォ=テデスコ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%AA%E3%82%AA%E3%83%BB%E3%82%AB%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%AB%E3%83%8C%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%B4%E3%82%A9%EF%BC%9D%E3%83%86%E3%83%87%E3%82%B9%E3%82%B3

ギター作品の作曲家はもともとピアニストが多いのですが、このテデスコもそうなんです。ピアノ作品や管弦楽作品も多く書く人ですが、100曲近くあるギター作品も有名な人です。

私はこのアルバムを聴きまして、テデスコは「音楽史におけるあるジャンルのあり方」というものに一つ芯があった人なのかなと思っています。彼が生きた時代は20世紀音楽花盛りの時代なはずで、じっさい彼もそのような音楽を書いているようにウィキでは記述がある一方で、このアルバムに収録されている作品はどれも旋律線がはっきりした、調性音楽です。むしろとても保守的な音楽です。

ギター音楽はクラシック音楽の歴史においては、とても保守的な音楽が多いのが特徴と何度も言っておりますが、テデスコはまさにガチで行く作曲家だったと言えましょう。それだけに、むしろ他のジャンルも聴きたくなります。とても魅力的な作曲家ですし、また作品たちがそれを語ります。

ウィキでも触れているギター・ソナタ「ボッケリーニ讃」は様式的にも古典的でありながら、全く古くさくなく聴こえる作品です。生命力が作品になどっており、普通に弦をつま弾くだけで語り出すと言う、素晴らしい作品です。山下氏もクラシックギター奏者らしく、ffで前のめりする以外は小細工しません。それでも自然と音楽は熱くなるんです。特にそれが顕著なのが、「すてきなタバコ」による変奏曲 作品95、です。

むしろテデスコの音楽は、新古典主義音楽の影響を強く受けているように、ギター作品を聴く限りにおいては聴こえます。そのテデスコが込めた想いを、山下氏は普通にギターをつま弾くことで自然体で、でもいつの間にか熱く表現しています。そしてその姿勢が、私たち聴衆の内面まで自然とじんわり熱くさせるんですから、さすがですねえ。

いやあ、やっぱりギターはかき鳴らさないと・・・・・ていうロック好きの意見も判らないわけではありません。長渕のギターやハーモニカはわたしもあの激しさが大好きですが、テデスコはあなり激しくしないでも、作品自体が熱く語り出すんです。山下氏はそれを理解し、意識していると私は受け取っています。やはり職人ですねえ。ほれぼれしますです。

この一枚がきっかけとなって、その後さらにギター作品のアルバムを借りてくるのですが、それはまたその時にお話ししましょう!私のジャンルのこだわりを捨てさせた素敵な一枚です。




聴いている音源
マリオ・カステルヌオーヴォ=テデスコ作曲
悪魔のカプリッチョパガニーニ讃)作品85
世紀をわたる変奏曲作品71
ソナタ(ボッケリーニ讃)作品77
ロンド 作品129
「すてきなタバコ」による変奏曲 作品95
組曲エスカルラマン」(セルバンテスによる)作品177
山下和仁(ギター)

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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