かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買いもの:ヨッフムのベートーヴェン交響曲全集2

今月のお買いもの、平成29年8月に購入したものを御紹介しています。今回はディスクユニオン大阪クラシック館にて購入しました、ヨッフムベートーヴェン交響曲全集の第2集です。

第2集には第2番と第4番、そして「フィデリオ」序曲が収録されています。序曲を収録している全集は多いですね〜。物によっては、交響曲だけではなく、序曲全集にもなっているのすらあります。

このヨッフムのはそれほど序曲が収録されているわけではありません。ただ、神奈川県立図書館所蔵CDのコーナーでご紹介してきたとおり、ブロムシュテット/シュターツカペレ・ドレスデンのは序曲が一切ありません。そういう編集のほうが私としては好きですが、役に立つこともありますので、何とも言えませんね〜。

で、この第2集は第2番、第4番とも生き生きとした演奏になっています。オケはベルリン・フィル。オケのサウンドとしてはカラヤンでも聴けるものが沢山含まれており、カラヤンの音の作り方は・・・・・とか言う人は、是非ともお勧めする一枚です。本当にそれ、カラヤンだから?って思います。

本当にカラヤンを批判するのであれば、このように他の指揮者でベルリン・フィルを聴いてみればいいのです。一目瞭然です。私がこの全集を買ったのは、まさに「真のベルリン・フィルサウンドとは」という疑問からだったんです。そもそも、ヨッフムドイツ・グラモフォンで録音することも珍しいですしね。

最後の「フィデリオ」序曲がバイエルン放送響。徹頭徹尾、二つのオケによる演奏という編集方針であることが明確です。つまりそれは、ヨッフムの芸術を味わう内容ともなっているわけですが、同時にその芸術によってベートーヴェン交響曲を味わい、それぞれのオケのサウンドを味わうという、何とも贅沢なものなんですね。

なんとも素晴らしい一枚を、中古市場で手に入れたなあって思います。年代的にいくつかは実はモノラルなんですが、それが全く気にならないんです。

カラヤンは実は、オケのサウンドを最大限引き出すことに傾注した人だったのではないかと、私は考えます。それはともすれば、個性を重視する人たちからは没個性、或はオケを支配しているという言説とともに、ネガティヴな印象へと変化するのでしょうが、私も幾つかの文章は読んでいますけれど、この音源を聴きますとカラヤン批判はデリケートなものだって思います。

私としては、カラヤンの晩年から聴きだしましたし、また必ずしもカラヤンの演奏がいいと初めから思っていないので全く問題にもしていないんですが、一部の人たちにはその姿勢が快くないようですね。それでは他の指揮者たちを愚弄するのか、と。そんなこと全然ないのに。まあ、大きな枠で言えば、カラヤンも含めて古い録音とはまず距離を置き、新しいデジタル録音を中心に聴くと言うのが最初でしたから、その意味ではカラヤン以外の指揮者を愚弄はしていないけれども、拒否していたということはあるでしょう。

でも、このヨッフムにしても、カラヤンにしても、最晩年はデジタル録音の時代です。しかもまだエンジニアが試行錯誤で録音をしていた時代です。様々な技術的問題があるのが当然だと私は考えます。

ヨッフムはこの第2集で言えば、実はすべてステレオ録音で、50年代後半から60年代後半という、まさにステレオ録音が始まった時代に演奏しているんです。しかし、ヨッフムは自由自在で、のびのびとして生き生きとした演奏に終始しています。第2番はさわやかさすらあります。第4番は序奏がとてもゆっくりとしたテンポですが、第1楽章第1主題が呈示されたところからアグレッシヴ!音もベルリン・フィルらしい硬質ながらも、しなやかなアンサンブルに貫かれ、聴く者を熱くします。

そこで、ベルリン・フィルはどこで演奏しているんだろうと、ブックレットを見てみましょう。1950年代から60年代ですから、当然ですがベルリン・フィルハーモニーはないんです。あれはカラヤンの時代に作られましたから。でどこかと言えば、キリスト教会なんです。

なるほど〜と納得です。そりゃあ、硬質な音だってまろやかになるよなあ、と。恐らくカラヤンの演奏が批判されるのは、そのホールの特徴ゆえなのかもしれませんし、或は本当はホールは良いんだけど、音に手心を加えて、前時代的にしないと聴衆が納得しないといった部分があったのではないかと想像します。売れて何ぼですからね、レコードだって。ではその当時のヨーロッパの聴衆を批判するのか、ということになります。

こういった演奏は、そのような「考えるヒント」をたくさんくれます。勿論、ヨッフムはそんなつもりで演奏はしていないと思いますが、自然と私にヒントをくれるんですね。こういった演奏は素晴らしいなって思います。それと同時に、私はエンジニアの息子なので、どうしても技術的な視点でも聴きますから、音が本当にクリアだとも感心します。これが当時のヨーロッパの技術力だったのだなと思います。そこを楽しむという聴き方だって、当然アリだと思います。




聴いているCD
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
交響曲第2番ニ長調作品36
交響曲第4番変ロ長調作品60
フィデリオ」序曲作品72b
オイゲン・ヨッフム指揮
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(第2番・第4番)
バイエルン放送交響楽団(「フィデリオ」序曲)
(Deusche Gramophon 474 021-2)

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




このブログは「にほんブログ村」に参加しています。

にほんブログ村 クラシックブログへ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ クラシックCD鑑賞へ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ 合唱・コーラスへ
にほんブログ村