かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:コレッリ 作品全集1

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、今回から9回にわたりまして、コレッリの作品全集を取り上げます。

今までも、幾人もの作曲家の作品を採り上げ、全集を御紹介してきましたが、このコレッリは「作品全集」、つまりコレッリが作曲した作品の全てを収録したもの、ということになります。

そんなはずはないだろう、もっとあるけど、取り上げられないから9つだけなんでしょ?という、ア・ナ・タ。本当に9枚分しかないんです。多い全集でも12枚とか。

それだけ、コレッリは作曲したのが少なかったのかと言えば、いえいえ、そんなことはありません。数は膨大だったであろうと推測されています。

アルカンジェロ・コレッリ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%82%AB%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%AD%E3%83%BB%E3%82%B3%E3%83%AC%E3%83%83%E3%83%AA

バロック時代のまさに巨匠と言うべき作曲家こそ、コレッリだと言えるでしょう。バッハから始まり、少しヴィヴァルディをかじり、その後イタリアバロックへと至りつつ、フランス・バロックにも新古典主義音楽から興味を魅かれました私は、遂にバロックの真の巨匠、コレッリと至ったのです。

コレッリは本当に残された作品が少ないのですが、その作品の質の高さゆえ、後世の作曲家に多大な影響を与えたのでした。その一人が、ヨハン・セバスティアン・バッハだったのです。

それは、コレッリがイタリア人であるにも拘らず、じっさいにはドイツでも活躍した作曲家だったことが理由として挙げられるでしょう。その上、バロック時代はこのように国境を越えて活躍することが多かった時代です。なにせ、作曲家は自立できておらず、だれかパトロンを見つけ、雇ってもらわないといけない時代だったからです。

コレッリが生きた時代は、バッハよりずいぶん古いのかと思いきや、そうでもありません。確かに、1代くらい前の世代ではありますが、全く重ならないわけでもありません。コレッリの晩年は、バッハが活躍し出した時代に重なっています。特にワイマール時代やミュールハウゼンと言った時期のバッハはコレッリ存命中とはっきりと重なっています。

コレッリヘンデルのエピソードにしても、恐らくバッハが間接的に聞いている可能性だって0ではありません。実際、「最高音域を乱用しないように」という彼の規則を忠実に守ったのは、ヨハン・セバスティアンだったのですから。それだけ、コレッリが後世に与えた影響は大きいと言えるのです。

この全集は作品番号順に収録されており、この第1集は作品1である、「2つのヴァイオリン、チェロまたはアルチリュート、およびオルガンの通奏低音のためのトリオ・ソナタ集、作品1」を取り上げており、そのトリオ・ソナタも第1番から順番に収録しています。ただ、それが本当に第1番からが良いのかは疑問が残る点ですが、ゆえに第1番からでもいいという結論にもなります。

少なくとも、第1番からでなくてはいけないということが不適切であるということは、間違いないだろうと思います。

これらのソナタは、バロック時代ですから、教会のミサなどで使われた可能性が高いわけですが、はっきりとしたことはわかっていません。ですが、作品の構造を見ますと、はっきりと通奏低音と旋律線という二重構造があり、がっちりとしたバロックの作品となっています。この第1集だけでも、必聴だと思います。バッハが唯一のバロックの作曲家のように語られることも多いですが、そんなことはないのだと言うことが、このコレッリの作品1ですでに明らかになっているのが素晴らしです。

編成も典型的な17世紀イタリアバロック様式です。こういった楽器が古典派の時代、ハイドン辺りまで残っていた事は、以前バリトンの作品を取り上げた時にご紹介しているかと思います。

今月のお買いもの:ハイドン バリトン三重奏曲1
http://yaplog.jp/yk6974/archive/722

今月のお買いもの:ハイドン バリトン三重奏曲集2
http://yaplog.jp/yk6974/archive/723

今月のお買いもの:ハイドン バリトン三重奏曲集3
http://yaplog.jp/yk6974/archive/729

今月のお買いもの:ハイドン バリトン三重奏曲集4
http://yaplog.jp/yk6974/archive/730

21枚ある中から4枚をセレクトされたものをこの時ご紹介していますが、ハイドンですら、CD21枚にも上るだけの作品をバリトンで残しているわけですから、コレッリが全作品がCDにして9〜12枚程度しか作曲しなかったというのはおかしな話です。セレクトしてそれだけになった、或は散逸したと考えるのが普通ですが、残された作品たちは作品番号等がとても体系だっているため、恐らく厳選してそれだけ残して後は廃棄されたのだろうというのが通説です。

ハイドンバリトンも、その源流を辿ればコレッリのこのソナタ作品1へとたどり着くのです。質素な編成ながらも、決して気品を失わない曲調。本当に素晴らしい作品です。完成されたという表現がぴったりの作品ぞろいです。

演奏するは、アカデミア・ビザンチナ。ヴァイオリンは2人、チェロが一人、そしてオルガンとテオルボもしくはアークルーテがそれぞれ一人ずつ。そのアンサンブルの完璧さが、作品を一層引き立て、気品の上に軽妙さも併せ持つ、聴いていて飽きない、美しい音楽を形作っています。アインザッツの美しさと、艶のある絃。その二つによって生み出される豊潤な音楽と世界。上質な時間が流れていきます。

確かに、高音域はやたら使っていないのに、豊潤な世界が広がっていることを、しっかりとした技術で持って、かつひけらかさず、ステディな演奏で聴かせるのは、さすがとしかいいようがありません。




聴いている音源
アルカンジェロ・コレッリ作曲
2つのヴァイオリン、チェロまたはアルチリュート、およびオルガンの通奏低音のためのトリオ・ソナタ集、作品1
ソナタ第1番ヘ長調
ソナタ第2番ホ短調
ソナタ第3番イ長調
ソナタ第4番イ短調
ソナタ第5番変ロ長調
ソナタ第6番ロ短調
ソナタ第7番ハ長調
ソナタ第8番ハ短調
ソナタ第9番ト長調
ソナタ第10番ト短調
ソナタ第11番ニ短調
ソナタ第12番ニ長調
アカデミア・ビザンチナ

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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