第5集には第5番、第10番、第13番が収録されています。これも初期、中期、後期で収録されており、ヴィラ=ロボスの弦楽四重奏曲の魅力を伝えようとする編集が交換持てるなあと思います。
第5番は1931年、第10番は1946年、第13番は1951年の作曲で、音楽史的には新古典主義音楽が退潮し、12音など、20世紀音楽が全盛の時代に作曲された作品たちです。そのため、どうしてもその時代の影響を随所に受けています。
ですから、聴きますとブラジル風がその時代らしい和声でつづられているのが分かります。つまり、古典派というよりは、そもそも20世紀音楽自体が、古典的な弦楽四重奏曲というジャンルの範疇を超えているとも言えるわけです。
それでも、弦楽四重奏曲というジャンルを選択し、作曲しつづけたヴィラ=ロボス。私は優れた作曲家であると考えます。弦楽重奏曲というジャンルをまるで20世紀に復活させたようなその作品たちは、どれも哀愁を帯び、味わい深かさを私たちに提供してくれます。
演奏するラテンアメリカ四重奏団は、だからと言ってことさらにアインザッツを強調したりはしません。近代的な奏法を自在に操り、作品が持つ魅力を存分に引き出すことに傾注しています。ですから演奏は生き生きとしており、生命のよろこびにあふれるものになっているのも素晴らしいです。
こういう演奏を聴きますと、またわたし自身も何か生命力をもらえるような気がします。20世紀音楽において、演奏する喜びが湧き上がる演奏に触れることは誠に嬉しいことです。
聴いている音源
エイトル・ヴィラ=ロボス作曲
弦楽四重奏曲第5番(1931年)
弦楽四重奏曲第10番(1946年)
弦楽四重奏曲第13番(1951)
ラテンアメリカ四重奏団
地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。
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