かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:ヴィラ=ロボス 弦楽四重奏曲全集4

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、ヴィラ=ロボスの弦楽四重奏曲全集を取り上げていますが、今回は第4集を取り上げます。

第4集で収録されているのは、第2番、第12番、第16番の3曲ですが、ここまで来るとこの全集の編集方針が明らかになったと言っていいでしょう。つまり、番号順で作品の軌跡を追いながらではなく、幾つかの作品を年代順にピックアップして、ヴィラ=ロボスの弦楽四重奏曲の軌跡をたどり、俯瞰しようという方針である、という事です。

ここまで全て、各々が年代順に並んでいるのです。このように一旦ばらばらにしたうえで、それをピックアップして年代順に並べて聴いてみますと、ヴィラ=ロボスの弦楽四重奏曲がいかに時代の影響を受けていたかが明確なのです。

ウィキでは、古典的な様式にはヴィラ=ロボスの音楽は窮屈なように言及がありますが、それを言ったら20世紀音楽はほとんどが弦楽四重奏曲という様式では窮屈なのでは?と思います。第2番は1912年の作曲ですが、不協和音が多用され、多分に印象派の影響を受けている作品だと言えるでしょう。後の二つ、第12番は1950年、第16番は1955年の作曲で、20世紀音楽そのものだと言っていいでしょう。

少なくとも、ヴィラ=ロボスは新古典主義音楽の作曲家だと考えていいと思いますが、新古典主義音楽そのものが、それほど寿命が長かったものではなく、20世紀に入ると退潮して行ったということを念頭に置きますと、私はこの3曲も本当に意欲作だなあと思いますし、実に洗練もされています。ブラジル風バッハやショーロスの強烈な印象が強いと、もしかすると盲目になってしまうのかもしれません。強烈な太陽の光をあびますと見えなくなるように。

ブラジル風バッハを作曲しただけの作曲家ですから、素直に耳を傾けてほしいのではないかなあと、私は聴衆、そして元合唱団員という演奏者の立場として、作曲者の意図を分析します。その上で、和声や旋律、様式をじっくり味わってほしい・・・・・そんな声が聴こえて来そうです。

演奏するラテンアメリカ四重奏団は、アインザッツを巧みに操って実に味わい深い演奏を届けてくれます。哀愁、貌寂、喜びなどなどが混然一体となってまじりあう作品の魅力が、艶のある演奏によっていっそう引き立っています。何度もくり返して聴いていても飽きないのは作品もそうでしょうが、演奏の素晴らしさがなせる業でしょう。指揮者のデュダメルだけではなく、南米にも優れた演奏家たちが沢山いるのだと言うことを、私たちに教えてくれます。

いや、私たちはすでに、アルゲリッチなどで南米にも優れた演奏家が居るのを知っているのですが、恐らく見て見ぬふりをしてきていると言っていいでしょう。当然ながら、優れた人材はいきなり出てくることなどあり得ません。広い裾野があって初めて出現足り得るのです。私たちの視野教唆を改めて認識させられる演奏だと言えるでしょう。




聴いている音源
エイトル・ヴィラ=ロボス作曲
弦楽四重奏曲第2番(1915)
弦楽四重奏曲第12番(1950)
弦楽四重奏曲第16番(1955)
ラテンアメリカ四重奏団

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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