かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:ヴィラ=ロボス 弦楽四重奏曲全集2

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、ヴィラ=ロボスの弦楽四重奏曲全集を取り上げていますが、今回はその第2回目です。

番号順ではないのが少しさみしいですが、編集方針が分かってしまうと、それも意外と面白いものです。今回の第2集は第3番、第8番、第14番が収録されているのですが、ヴィラ=ロボスの弦楽四重奏曲を、年代で抜き出している点が面白いのです。

ウィキでは、ヴィラ=ロボスの創作期を次の3つに分けています。

「ブラジルの民族的モダニズム音楽を模索したパリ留学までが第1期、パリ留学時代とそれ以後の音楽教師の第2期が1940年代前半まで、それ以後ブラジルの代表的作曲家との国際的評価を得てからの安定した創作期が第3期である。」

エイトル・ヴィラ=ロボス
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%82%A4%E3%83%88%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%A9%EF%BC%9D%E3%83%AD%E3%83%9C%E3%82%B9

この第2集に収められた3つの作品は、まさに第1期、第2期、第3期を代表するような作品として抜き出されています。第3番が1914年、第8番が1944年、そして第14番が1953年の作曲です。

第3番は4楽章形式を取っていても、野性的で素朴な雰囲気をしっかりと持っており、新古典主義音楽の作品として明快な様式を持っています。第8番は時代を反映し不協和音が多用され、どこか物悲しさを持っています。そして第14番は熟練された和声で、当時の前衛音楽とブラジルの旋律を融合しようとする意欲的な作品です。

そう気が付いてしまうと、がぜん各作品は面白んですよねえ。時代的にはもう弦楽四重奏曲というジャンルが作曲すらされない時代に突入しつつある中で、しっかりと古典的な様式を保持しながら、旋律はロマン派というよりもむしろ印象派あるいは象徴主義の雰囲気を持ちつつ、新古典主義音楽として愛国心を持った作品となっているのが実に魅力的です。

私からすれば、苦労が見えるのは第3期の作品くらいで、後の作品にはのびのびしたもの、あるいはすがすがしさすら感じられ、ヴィラ=ロボスの非凡な才能を堪能できる喜びが湧き上がってきます。

それは演奏のせいなのかもしれません。近代的なアインザッツをもったラテンアメリカ四重奏団は高いレヴェルを持った団体であることがこういった作品をしっかりとさらにしっとりと、そして生き生きと演奏することで証明しています。ヴィラ=ロボスのフォルクローレ的な部分の表現もさすがですし、南米の音楽団体の底力を見ることができます。

私たちはクラシック音楽と言えばつい北米やヨーロッパなど、北半球の団体にしか目が行きませんが、南半球の団体にも優れた団体が多いことに気が付いていません。こういった音源は私たちの一種の「盲目さ」に一筋の光を刺し、見開かせてくれるものだと思います。




聴いている音源
エイトル・ヴィラ=ロボス作曲
弦楽四重奏曲第3番
弦楽四重奏曲第8番
弦楽四重奏曲第14番
ラテンアメリカ四重奏団

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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