かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買いもの:ベートーヴェン 交響曲第7番・第8番 リスト編曲版

今月のお買いもの、平成28年12月に購入したものを御紹介します。今回はディスクユニオン吉祥寺クラシック館にて購入しました、ベートーヴェン交響曲第7番と第8番の、リスト編曲版(S.464)です。

今回は時間の都合上、なかなか新宿クラシック館に行けなかったのですが、吉祥寺で掘り出し物が見つかりました!吉祥寺はいいですよ〜。お茶の水に比べますと少し狭いですが、本当に掘り出し物があります。ひろーい新宿クラシック館で見つからなかったら、中央線で一直線!吉祥寺へ足を運ばれるといいですよ!

さて、その吉祥寺で見つけた今回の一枚は、以前神奈川県立図書館で借りてきていた、リストのピアノ作品全集を補完するもので、前前月に御紹介した「巡礼の年」に引き続くリスト作品の購入となります。勿論、原曲はベートーヴェンですが・・・・・

リストの手にかかりますと、ベートーヴェン交響曲がピアノ・ソナタになってしまうんですから、驚きです、しかも、原曲の雰囲気もしっかりと残った上で、です。

そして、この演奏を聴きますと、第7番ほど、リストの手にかかりますと、交響曲がピアノ・ソナタになってしまうと感じます。さあ、まずドキドキして聴きますのは、冒頭です。あの、原曲でも特徴的な和音のファンファーレ。ゆったりと振る指揮者もいれば、比較的速めに振る指揮者もいますが、この演奏では、ゆったりと演奏されています。

でも、演奏を聴きますと、ここはリストも苦労しているなあと思います。それは如何に原曲の和声が分厚いかを、私たちに教えてくれます。聴いていて、こんなに貧弱だったろうか、と思うんです。8本指を使っているのに・・・・・

両手、8本の指でも足りないんです。それだけの和声が冒頭で鳴っている。それを私たちはいきなりこの演奏で知ることになります。たとえ楽譜を見て居なくても、これで知ることができるんです。これほどありがたいことはありません。

一方、第8番はあまり違和感がありません。他の交響曲と同じような編曲となっており、やはり8本の指では足らない部分はピアノの演奏技術のありとあらゆる点を使って補っています。第8番はそれでも違和感がないのに、第7番は違和感ありまくりなんです。

リストのベートーヴェン交響曲の編曲は、一つに聴き手たちの要請が有ったでしょうが、一つにはやはりリスト自身の研究心と向上心があってのことだと思います。そうでなければ、リストの編曲だけで幾つかの版が存在するはずがありません。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%84%E3%83%BB%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%88%E3%81%AE%E6%A5%BD%E6%9B%B2%E4%B8%80%E8%A6%A7_(S.351_-_S.999)#.E3.83.94.E3.82.A2.E3.83.8E.E3.83.BB.E3.83.88.E3.83.A9.E3.83.B3.E3.82.B9.E3.82.AF.E3.83.AA.E3.83.97.E3.82.B7.E3.83.A7.E3.83.B3.E3.80.81.E4.BB.96

特に、上記ウィキのページで重要なのは、第7番には第1稿があるということです。それだけ、難しかったことを意味します。下手すれば、第九よりも難しかったと言う事なんです。リズムだけが言われますが、じつは和声はピアノ向きとは決して言えないということを意味するのです。しかし、ベートーヴェンはピアノ、当時のまだ発達途中のフォルテピアノで作曲したのです。

どれだけ、ベートーヴェンのあたまの中で音が鳴っていたのか。そしてベートーヴェンはそれがピアノでは実現が難しいと分かっていても、オケであれば再現可能であると信じたのですね。その上で、ピアノの発展も信じていた。これは精神性というよりも、魂の、霊的な部分の成長があって初めて可能であったのではないかと思います。

本来なら、ピアノで再現できなければ、採用不可としてしまいます。それをベートーヴェンは恐れることなく楽譜に書いていった。ピアノでは全体を復元できなくても、各パートをピアノで弾いているうちにベートーヴェンのあたまの中でそれは統合されて鳴っているんです。それをリストは、ピアノ一台で統合しようとチェレンジしたのが、この二つの作品なんですね。

ピアニストのビレットも、第7番の第1楽章ではかなり弾くのに苦労しています。第2楽章以降はノリノリですが、第1楽章はテンポ設定がゆったり目で、リズムに囚われているように思います。全体的には本当に生命力があって、原曲の雰囲気が出ている演奏だと思いますが、それでも、第7番第1楽章だけは苦労しているのが目に見えて判るんです。まるで高い山を重荷を背負って登って行くような。

県立図書館にはなかった第7番ですが、こうやって聴いてみますと第7番は本当に難しい作品だと言うことが分かります。できれば、第7番もそろえて頂けるとありがたいなあと思います。ナクソスが廃盤にしていない限り・・・・・

なければ、この音源をそろえるのだって、いいと思いますよ。図書館の使命は名演をそろえることではなく、名演も含めて、市民の学習に寄与することなんですから。ご検討くだされば幸いです。




聴いているCD
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
フランツ・リスト編曲
交響曲第7番イ長調作品92
交響曲第8番ホ長調作品93
イディル・ビレット(ピアノ)
(IBA 8.571259)

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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