かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:ドビュッシー 前奏曲第二巻

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、シリーズでドビュッシーの作品群を取り上げていますが、今回はその第2回目です。前奏曲第二巻を取り上げます。

前回、前奏曲第一巻を採り上げましたが、これが全集であれば当然第二巻も収録されているのが普通なので、第二巻も借りたと言うわけです。確か、第一巻と同時に借りているはずです。

ドビュッシー前奏曲は有名な作品だけに、様々なピアニストが演奏していますが、この音源はミケランジェリ。天衣無縫と言いますか、のびのびとした演奏は作品の特徴をよく伝えてくれていると思います。

ドビュッシー : プレリュード(前奏曲)集 第2集
Debussy, Claude Achille : Préludes 2
http://www.piano.or.jp/enc/pieces/683/

前奏曲 (ドビュッシー)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%89%8D%E5%A5%8F%E6%9B%B2_(%E3%83%89%E3%83%93%E3%83%A5%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%BC)

全体を通して、ドビュッシー前奏曲に言えることは、バッハ以来の伝統に立ちながらも、調性については無視しているという点です。そしてそれことが、ドビュッシーの作品全体を貫く特徴であり、ドビュッシーの作品が持っていた当時の先進性なのです。

特に第二巻は不協和音満載で、ドビュッシーらしい作品だと言えます。つまり、印象派というよりはむしろ象徴主義が全面に出ている作品です。作曲時期も第二巻が1913年と、晩年の作品で、ドビュッシーの作品の中でも成熟したものと言えます。

第1曲「霧」を聴けば印象派のように思ってしまいますが、最後の「花火」はむしろ絵画的な部分もあります。絵画の平面を音楽によって立体にしてみる・・・・・そんなイメージでしょうか。ドビュッシーの作品には、絵画的な中に動きが見える作品が多いように思いますし、特にこの前奏曲第二巻には全体的に動きも見えます。

ミケランジェリは、その作品を実に丁寧に、しかし当たり前に弾くんですね。動きがあることは生命力があると言う事でもありますが、絵画的であるはずの作品たちが、そこに聖霊が宿っているかのごとく弾いてしまう・・・・・

そのことによって、私たちは知るのです、これらの作品が象徴主義をコアとして、印象派的な部分も兼ね備えることを。ミケランジェリは見事に、その特徴を演奏に乗っけています。これがプロの醍醐味ですね。

ドビュッシーの作品は全体的に、ベートーヴェンの作品が持つような荘厳さはあまりないと言えますが、それでも、不協和音からかもし出される壮麗さはしっかりと存在します。むしろ、ベートーヴェンよりもより人間の内面に切り込んでいったとも言えるのがドビュッシーです。もっと言えば、あまりベートーヴェンが切り込まなかった部分にメスを入れ、そのために調性など新しい作曲手法を使っていったと言えます。

この前奏曲が各々12曲からなるのは明らかにバッハやショパンなどを意識しています。その上で、通常前奏曲が持つ特徴である24の調に1曲づつを割り当て無かったのです。むしろ、調性は自由に使って、24の違った調性の代わりに、24の違った風景を与え、さらにそれは演奏者に対して想像力を働かせる工夫もしています。ドビュッシーが生きた時代の音楽の一つの特徴である、詩や絵画からインスピレーションを受け、そのインスピレーションを音楽にすると言うことを高らかに宣言したのが前奏曲だと言えます。

第1巻第二巻それぞれドビュッシーの晩年の作品ですが、この二つの作品はそれぞれまるでドビュッシーの遺言のように聴こえます。ここに新しい音楽が存在するんだ、という。ミケランジェリは見事に、洒脱そして素敵に演奏することで、その「新しさ」を存分に生き生きと表現しているのです。そしてどこか人なつっこく、バッハやショパンなどの前奏曲が持つ「荘厳さ」という重しを取っ払ったこの作品に、人間臭さと壮麗さという、ともすれば相反する部分が見事に同居していることを証明しています。

この第二巻に関しては、本当にミケランジェリの演奏を借りてきてよかったなあと思います。




聴いている音源
クロード・ドビュッシー作曲
前奏曲集第2巻
アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリ(ピアノ)

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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