かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:リスト ピアノ作品全集1

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、前回までのメンデルスゾーンは終わりまして、今回からリストのピアノ作品を取り上げていきます。といっても、ぜんぶ取り上げることができるかは微妙なのですが・・・・・

というのは、以前このエントリを取り上げているからです。

今月のお買いもの:リスト ピアノ作品全集22
http://yaplog.jp/yk6974/archive/904

なぜこのエントリが立ったのかと言えば、県立図書館にこの第22集がなかったから、なのです。この元音源はナクソスですが、県立図書館も未だ収集中という代物だったのです。

それだけ、リストのピアノ作品は数が多く、奥深いと言えます。その全集を借りるのにチャレンジしたのが、今回から始まる一連のシリーズなのです。

これまでも、バッハやベートーヴェンショパンシューマンなど、ピアノ作品の全集を聴いて取り上げてきました私ですが、このリストはある意味本当に大変だったのを覚えています。それゆえに、とても楽しくて面白かったのもありましたが・・・・・

さて、皆さまリストと言えばどんな作曲家だと想起しますか?やはりピアニストという点が一番多いのかなあと思いますが、この全集を通して聴きますと、その見方は一面だけであるということを痛感させられます。

リスト Liszt, Franz [ ハンガリー ] 1811 - 1886
http://www.piano.or.jp/enc/composers/83/

フランツ・リスト
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%84%E3%83%BB%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%88

このブログでも、すでに交響詩を取り上げていますし、協奏曲も、合唱曲も取り上げてます。つまり、リストはたんなるピアニストではなく、ロマン派のヴィルトォーソにして大作曲家であるということが、ピアノ作品だけでもわかるのがこの全集の素晴らしい点です。

まずこの第1集の冒頭からして、オリジナルの作品ではない、サン=サーンスの「死の舞踏」のピアノ編曲から始まっているのが印象的です。実はリストは数多くの、他の作曲家の作品の編曲を行っており、それは時期によって性格が異なることを、まずこの第1曲を聴いて判るようになっている、というわけです。

ですが残念ながら、まだサン=サーンスの「死の舞踏」を聞いていないのでどの程度オリジナルが保たれているかはわかりかねます。ただ、ベートーヴェン交響曲の編曲(1860年代の仕事)を聞いた経験からしますと、それほどオリジナルと変化があるようにしているとは思えません。その点で、やはりピティナはさすがの解説だと言えるでしょう。

リスト : 死の舞踏(サン=サーンス
Liszt, Franz : Totentanz S.555 R.240
http://www.piano.or.jp/enc/pieces/17157/

勿論、ウィキが悪いというわけではないんですが、記名式での解説がある分、やはり私はこの解説を押します。権威とかではなくて、きちんと責任を持って書いているというのが、聴けば判るからです。

最後に収録されているリスト自身の「死の舞踏」はさすがヴィルトォーソらしい作品ですが、若かりし日のリストであればそのヴィルトォーソらしく編曲したであろうものを、そうではないんだよと解からせる編集になっているのが実に深いなあと思います。それはリストという作曲家の、変遷をもうかがわせるものであるからです。

つまり、この第1集は、リストの作品を俯瞰できるものともなっているわけです。決して作品番号(サール番号など)順ではないのですが、年代的にはほとんどが晩年の作品であるにも拘らず、よくできた編集となっています。こういった点はさすが輸入盤であり、国内盤だけでは知り得ない情報が詰まっています。

演奏は、ヴィルトォーソを全開にしていますが、サン=サーンスは実に丁寧に弾いています。それゆえに、サン=サーンスがどれだけリストらしくないか、でも、違和感がないかを見事に表現しています。それは編曲者としてのリストの能力の高さを演奏で見事に表現しているとも言えます。

その点でいえば、リストは後期ロマン派のバッハであったとも言えるかと思います。この視点はあまりないと思いますが、他の作曲家だけではなく、自分の作品も数多く編曲しているという点からは、まるでバロック時代を想起させますが、音楽は後期ロマン派の、バリバリのヴィルトォーソです。これだけでも、リストという作曲家の姿は、私達は一面でしか知り得ていないことを教えてくれます。

再び、その「真の姿」を知る作業ができる喜びをもって、このシリーズをはじめていきたいと思います。




聴いている音源
フランツ・リスト作曲
サン=サーンス:死の舞踏作品40(リスト編曲)S555/R240(1876)
暗い雲 S199/R78(1881)
不運 S208/R80(1880/86)
ユグノー教徒の回想(マイアベーアの歌劇の主題による劇的大幻想曲)(第2版および最終版)S412/R221(1842)
悲しみのゴンドラ第1番 S200:1/R81:1(1882)
悲しみのゴンドラ第2番 S200:2/R81:2(1882)
即興曲夜想曲)S191/R59(1872)
死の舞踏(ピアノ独奏用編曲版)S525/R188(1860-65頃)
アーナルド・コーエン(ピアノ)

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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