かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買いもの:リスト 巡礼の年3

今月のお買いもの、平成28年10月に購入したものを御紹介しています。シリーズで、ディスクユニオン新宿クラシック館にて購入しました、リストの「巡礼の年」をご紹介していますが、今回は第3集を取り上げます。

3枚組で、一年ごとに一枚で収録されているのは本当にうれしいですし、聴きやすいです。こういう編集は良いですね。

勿論、一年ごとに演奏時間が長いということもありますが、作品によっては次をつめてしまって、CDに録音できる時間いっぱいまで詰め込んでいることもあります。それで一つのまとまりになっていればいいですが、そうもいかないこともたまにあります。それに比べれば、本当に聴き手に優しい編集をしているなと思います。

第3集は第3年で、他の二つの年に比べれば作曲年代が離れているうえ、リスト晩年の様式ぞろいになっているのが特徴です。

第3年
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B7%A1%E7%A4%BC%E3%81%AE%E5%B9%B4#.E7.AC.AC3.E5.B9.B4

リスト : 巡礼の年 第3年
Liszt, Franz : Annees de pelerinage Troisieme annee S.163/R.10 A283
http://www.piano.or.jp/enc/pieces/1469/

超絶技巧が単なるひけらかしではなく、作品として表現するためのツールになって行った様子が手に取るようにわかる作品ぞろいですが、所謂きらびやかな中期のリスト作品が好きな人にとっては物足りないかもしれません。しかし、荘厳でまるで明鏡止水の境地のような作品はどれも味わい深く、聴けば聴く程その世界へと私たちを誘います。

その案内人であるピアニスト、ベルマンのタッチはとても柔らかくかつ強く、第3年が持つ宗教性を存分に表現しています。そこにはベルマンのよろこびすら感じられるのはわたしだけなのでしょうか。

というのは、この録音は1976年。ベルマンが西側で活動を始めた時期なんですね。

ラザール・ベルマン
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%82%B6%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%99%E3%83%AB%E3%83%9E%E3%83%B3

ソ連での演奏するにはひどい状況から一転、演奏するために整えられた環境を知ったベルマンの、音楽をする喜び、もっと言えば自分を表現する喜びが、この演奏には詰まっているように聴こえます。弱音をとても優しいタッチで演奏したり、強い音に威厳があったりと、ベルマンが楽譜からインスピレーションを受けた結果が素直に演奏として出ているように思います。それはやはり、自由に自分を表現することが可能になったこと、それは単に体制側からの抑圧だけではなく、演奏という表現の場が恵まれなかったことからの解放が大きく影響しているように思います。

喜びと言えば、私たちはつい明るい楽曲などを想像しますし、私も恐らく喜びはそのように表現することが多いと思います。しかし、私たちが喜びを表現するのは果たしてそれだけでしょうか?もっと、じんわり喜ぶみたいなこともないでしょうか。

ベルマンのこの演奏は、第3年という、極めて宗教色が強い時代の作品ゆえ、それほど明るい作品ばかりではなく、むしろ荘厳さがあるくらいですから、ともすれば重厚な作品もあるわけです。その作品を表現しているのに、その重々しさや、荘厳さや、沈痛さや、静けさを表現することが嬉しいという様子が、例えば再生装置から聴こえるピアノのタッチ一つから、聴き取ることができるのです。

このような演奏に、「巡礼の年を全部聴きたい!」ということから巡り合えたことは、私にとってもとても喜ばしいことだと思います。ベルマンが存命中に、その喜びを伝えたかったなあと思います。残念です・・・・・・




聴いているCD
フランツ・リスト作曲
巡礼の年第3年
ラザール・ベルマン(ピアノ)
(Deusche Gramophon 471 450-2)

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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