かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買いもの:ヨハン・クリストフ・バッハ 協奏曲集

今月のお買いもの、平成28年4月に購入したものをご紹介しています。今回は銀座山野楽器本店で購入しました、ヨハン・クリストフ・バッハの協奏曲集を取り上げます。

正確には、ヨハン・クリストフ・フリードリヒ・バッハと書かなければいけないでしょう。なぜなら、クリストフはバッハの家系で二人いるからです。一人が今回取り上げるフリードリヒで、もう一人はヨハン・セバスティアンのおじさんにあたる人です。

このブログでは、実は二人とも扱っています。フリードリヒは神奈川県立図書館所蔵CDのコーナーで、そしてもう一人は、最近のコンサート評です。

神奈川県立図書館所蔵CD:大バッハの息子達7
http://yaplog.jp/yk6974/archive/1077

コンサート雑感:声楽アンサンブル オリエンス 第7回定期演奏会
http://yaplog.jp/yk6974/archive/1431

この二人、同じ名前を持ちますが時代は全く違うのでご注意を。私も表記には気を付けようと思います。そのため、以前はクリストフと略称していましたが、このエントリからは、フリードリヒと呼ぶことにします。

フリードリヒは上記エントリでも語りましたように、前古典派、多感様式の時代に音楽を身に着けた人で、古典派の時代まで生きた人です。ハイドンモーツァルトにも影響を与えたであろう人です。

ヨハン・クリストフ・フリードリヒ・バッハ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A8%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%95%E3%83%BB%E3%83%95%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%AA%E3%83%92%E3%83%BB%E3%83%90%E3%83%83%E3%83%8F

収録されているのは、以前エントリを挙げたものとは被らず、「家庭教師と生徒」序曲、協奏交響曲ニ長調交響曲シンフォニアト長調フラウト・トラヴェルソ協奏曲、交響曲ヘ長調の5曲が収められています。

これらを聴くと面白いのは、まず1曲目の「家庭教師と生徒」序曲は、第1楽章と第2楽章が休符を挿んで関連しており、単に3つの部分から成っているという構造ですが、これはモーツァルトの番号なし交響曲にも見られるもので、明らかにシンフォニアがオペラの序曲から発展したということを物語っており、それが明確になるのが、3曲目の交響曲ト長調だと言えるでしょう。

2曲目の協奏交響曲はまさに、今日の協奏曲の様式を備えており、私の持論が正しいことを証明する作品だと思います。独奏楽器の出方も、まるでモーツァルトのヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲と同様に、第1主題をオケから引き継ぐ形で演奏するなど、独創的なものです。このような作品を聴きますと、モーツァルトの偉大さがひしひしと伝わってきます。

4曲目がフラウト・トラヴェルソ協奏曲。まだこの時代でもトラヴェルソという名称になっていることに注目です。ということは、この時代でもフルート協奏曲と言えばリコーダー協奏曲のことを言うという事を意味します。ドイツ・ハルモニア・ムンディの中には、モーツァルトのフルート協奏曲をリコーダーで演奏しているものもあります。それは決して間違いではないという事になりましょう。ただ、恐らくですがモーツァルトトラヴェルソのつもりで書いていますが・・・・・

4曲目は緩徐楽章は世界初録音になっていますが、いずれにしても、フリードリヒの才能溢れるものとなっています。ハイドンモーツァルトの息吹を感じるのであれば、それはこのような評論にもなろうと言うものです。

大バッハには息子が3人いる。クリスティアンカール・フィリップ・エマヌエル、そしてフリーデマンだ。(ビュッケブルクに4人目がいるが私はその中に数えたくない。はっきり言うと「バッハ的なるもの」がないのだから。)」

前三人にははっきりとヨハン・セバスティアンの影が、旋律に見受けられますが、フリードリヒには全く見受けられません。むしろモーツァルトです。モーツァルトもイタリア旅行やフランス旅行で様々な先進的な音楽に触れていますが、フリードリヒも同じであったことに注目だと思います。

それだけ、フリードリヒの作品は先進性のあるものだったわけで、だからこそ古い考えの、つまりヨハン・セバスティアンを「神」のように崇める人であれば、受け入れることは難しかったろうと思います。和声進行がバロックと異なる古典派の音楽と見まごうこれらの作品を理解するには、やはり古典派の優れた作品を聴き、共感する必要がある訳ですが、私たち21世紀に生きるものは共感できる点で幸せであると言えます。

最後はやはりシンフォニアで終わりますが、ここまで全て3楽章構成。古い様式が残っているわけですが、和声は新しい世の幕開けを告げている・・・・・アルバム全体を通して言えることだと思います。

演奏はこのブログではある意味おなじみと言ってもいいと思いますが、フライブルクバロック・オーケストラ。安定していてかつ美しいアンサンブルは、爽快さとはつらつさを持ち、聴き手の心に明るさをもたらしてくれます。テンポは速いですが、かつ落ち着きもあり、安定しています。そればまさに音楽に落ち着きをもたらし、楽しさと平明さを与え、しかもそれが嫌味ではなく人間的で、喜びや楽しみ、快活さが滲み出ています。

こういった演奏が聴けるのは本当に幸せだと思います。さすがフライブルクバロック・オケだと思います。じつは勿論、フライブルクバロック・オケだからこそこのCDは買ったのです。もしかすると、県立図書館で借りてきたものと被っている可能性もあったにも関わらす、です。協奏曲が聴きたかったのです。その協奏曲も構造そして旋律も素晴らしいものですが、何よりもオケがいい!ソリスト(しかも、オーボエはオケの団員)がいい!軽いが、しかし軽薄ではなく、堂々としており、しかし重くない。この絶妙なバランスが、とても心地よい音楽を生み出しています。

このオケなら、バロックという名称があっても、モーツァルトまで演奏可能のような気がします。




聴いているCD
ヨハン・クリスティアン(・フリードリヒ)・バッハ作曲
「家庭教師と生徒」序曲Warb G24
2つのヴァイオリンと2つのオーボエのための協奏交響曲ニ長調 Warb C35
シンフォニア ト長調第1番Warb C7
フラウト・トラヴェルソ協奏曲ニ長調Warb C79
シンフォニア ホ長調第4番Warb C14
カール・カイザー(フラウト・トラヴェルソ
アンネ・カタリーナ・シュライバー(ヴァイオリン)
ゴットフリート・フォン・デル・ゴルツ(ヴァイオリン、指揮)
フライブルクバロック・オーケストラ
(Carus 83.307)

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。



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