かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買いもの:フリードリヒ大王 フルート協奏曲集

今月のお買いもの、平成28年6月に購入したものを御紹介しています。今回はディスクユニオン新宿クラシック館にて購入しました、フリードリヒ大王のフルート協奏曲集をご紹介します。

フリードリヒ大王と言えば、むしろ戦争の歴史において有名な人なのですが・・・・・・

フリードリヒ2世 (プロイセン王)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%AA%E3%83%922%E4%B8%96_(%E3%83%97%E3%83%AD%E3%82%A4%E3%82%BB%E3%83%B3%E7%8E%8B)

日本語訳された著書の中に、石原莞爾が出てくるという時点で、あらまあって感じですが・・・・・・いや、石原莞爾に対しては、私は決してネガティヴな印象は持っていませんけどね。戦前の満州政策を推し進める、思想的な一翼を担った人ですので、どうもねえって感じです。

石原莞爾
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9F%B3%E5%8E%9F%E8%8E%9E%E7%88%BE

正直なことを言えば、石原よりは私はフリードリヒ大王のほうが、人間的には優れていたのではないかと思います。石原莞爾は差別主義者でしたし、技術も軽視した人でした。それで白人相手に戦うって、どうよ?という意識が私にはあります。

と、戦争論はここまでにして(と言っても、考えてほしいところではあるんですけどね、皆さんには。さて、戦前的な思想で戦うのが本当にわが国の国益を守ることになるのかどうか)、この二人には共通するものもあります。それは文武両道であった、という事です。いやむしろ、文系のほうが好きだったとも言えるかと思います。

フリードリヒ大王であれば、それが音楽であり、そのために父親との確執はひどかったわけですが、人生において音楽を手放すことなく関わり続けたのは素晴らしいと思います。フリードリヒ大王の政治運営はまた評価が別ですが・・・・・・

そんなフリードリヒ大王は、かなりの数の作品を残しています。アマチュアの作曲家とは言え、実際に聴きますと、決してアマチュアとは思えません。そしてそれは、私にはバロック時代のアルビノーニを想起させます。だからこそ、私はこのCDを買ったのです。以前、アルビノーニは取り上げていると思いますが、それが購入の伏線になっています。

さらに言えば、ヴィヴァルディも学生オケのために多くの協奏曲を書いています。そんなバロック時代の息吹が残っているのが、このフリードリヒ大王が作曲した3つの協奏曲にはあると言っていいでしょう。時代的にはバロック〜前古典派、つまり多感様式の時代と行っていいわけですが、当然とも言えます。

3楽章形式でありつつ、通奏低音チェンバロが使われるなど、古典派とまでは行かないのですが、でもバロックも言い難い、不思議な様式を持つ3つの作品は、明らかに多感様式の時代の作品だと言えます。かといって多感様式とまでは言えませんが。それはなぜかと言えば、フリードリヒ大王の音楽に対する思想が大きいと思います。音楽とは一日の労働の後に聴く慰めものという思想があったため、基本的にはバロック音楽的な作品が出来上がったと言えます。その上で、1740年にカール・フィリップエマニュエル・バッハが宮廷音楽家になっているのが大きいとも言えましょう。カール・フィリップは父ヨハン・セバスティアンをフリードリヒ大王に引き合わせています。

ですから旋律的にはバロック的な作品が出来上がりましたが、この3つのフルート協奏曲に関してはこの時代にはそぐわない特徴も持っています。それは、この演奏はモダンで、ですから当然現代フルートなのですが、それは古楽であっても同じである、という事です。つまり、元々リコーダーではなく、フラウト・トラヴェルソのための作品なのです。

フリードリヒ大王はトラヴェルソを愛した人でした。ですので、リコーダーではなくこの作品はトラヴェルソのために書かれたのでした。古典派までの時代では、フルートと言えばリコーダーの事を指しますから、本来なら古楽であればリコーダーで演奏するのが普通です。しかしこの作品はトラヴェルソのためのものですので、モダンの演奏を選択するというのは、間違っていないという事になります。

その意味では、フリードリヒ大王は音楽史においても異端児だったと言えましょう。演奏はそれを考慮に入れたのかはわかりませんが、モダンを選択したのはとてもいいと思います。3つの協奏曲が持つ、夜という「労働から解放される喜び」と静かな時間の楽しみが生き生きと表現され、特にフルートは常に歌わせているのもいいです。

そんなフルートの楽しげな演奏からは、私はやはり、独奏のレーデルはこの作品がもともとトラヴェルソのための作品であるという事を知っているからこそ、モダンオケを選択していると思うのです。この3つのフルート協奏曲は大王の代表的な作品でもあります。その特徴を端的に表現するのはどうすればよいのかというのが、モダンオケという選択だったとすれば、全てが納得がいきます。

私も一日疲れて帰ってきたときには、聴こうかなと思います。日本がこんな時期にフリードリヒ大王の作品に出会えたことに感謝します。




聴いているCD
フリードリヒ大王(プロイセン王フリードリヒ2世)作曲
フルート協奏曲第1番ト長調
フルート協奏曲第2番ト長調
フルート協奏曲第4番ニ長調
クルト・レーデル(フルート、指揮)
ミュンヘン・プロアルテ管弦楽団
(フィリップス PCD-4042)

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




このブログは「にほんブログ村」に参加しています。

にほんブログ村 クラシックブログへ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ クラシックCD鑑賞へ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ 合唱・コーラスへ
にほんブログ村