神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、バルトークの弦楽四重奏曲全集を取り上げていますが、今回はその第3回目です。
第3集では第5番と第6番が収録されており、これで最後となります。
まず1曲目の第5番は、バルトークの和声回帰と言われる作品で、確かに第5楽章にその特徴がみられます。
弦楽四重奏曲第5番 (バルトーク)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BC%A6%E6%A5%BD%E5%9B%9B%E9%87%8D%E5%A5%8F%E6%9B%B2%E7%AC%AC5%E7%95%AA_(%E3%83%90%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%BC%E3%82%AF)
一方、第6番は哀しみが支配する作品です。
弦楽四重奏曲第6番 (バルトーク)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BC%A6%E6%A5%BD%E5%9B%9B%E9%87%8D%E5%A5%8F%E6%9B%B2%E7%AC%AC6%E7%95%AA_(%E3%83%90%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%BC%E3%82%AF)
ウィキは少しわかりづらい説明になってしまっています。ただ、作曲が第2次世界大戦をはさんでいるということは、理解できるのではないでしょうか。
二つとも、バルトークが時代の変化の中で書いた作品です。ただ、だからと言って不安が全面に出ているのかと言えばそうでもなく、むしろハンガリー民謡に対する愛着が見て取れます。
その中で、第5番は和声回帰と言われる作品ですし、第6番は哀しみが全体を覆っていると言えるでしょう。バルトークにとって音楽が自らの幸せであったという事がよく分かる作品かと思います。
そんな作品であるせいか、アルバン・ベルクQはアインザッツは強烈でありながらも、決して強すぎず、メリハリのついた演奏になっています。そのメリハリが実に様々な表現をしているのです。単に音の強弱だけではなくて、アインザッツのメリハリが、まるで人間のように言葉を発しているように感じられるのが素晴らしいです。
ベートーヴェンの全集の素晴らしいですが、多少力が入っているような印象も受けます。一方でこのバルトークはそんなことが一切ありません。縦横無尽で、おどけたり、悲しんだり、喜んだり、騒いだり、会話したり・・・・・
聴けば聴く程、あ、ここはこんなことを言っているのかな、などと想像するのがとても楽しいです。これぞアルバン・ベルクQの本領発揮だと言えるでしょう。
弦楽四重奏曲と言えば、どうしても古典派という感じになってしまうのですが、ロマン派以降でも素晴らしい作品はいくつもあります。このバルトークもそういった一人ですし、以前取り上げたショスタコーヴィチもそうです。是非とも多くの方にロマン派以降の弦楽四重奏曲も聴いてほしいなあと思います。そんな中で、このバルトークは本当にお勧めです。
バルトークは何となく不協和音が多くてわかりづらいなあと思ってしまうかもしれませんが、耳を澄ますと、様々な「声」が聴こえてくるかと思います。その「声」の代弁者として、このアルバン・ベルクQの演奏は高く評価したいと思います。
聴いている音源
バルトーク・ベラ作曲
弦楽四重奏曲第5番Sz.102
弦楽四重奏曲第6番Sz.114
アルバン・ベルク四重奏団
地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。
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