かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:ショスタコーヴィチ 室内交響曲集2

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、シリーズでショスタコーヴィチ交響曲を取り上げていますが、今回はその第2回目。室内交響曲集の第2集を取り上げます。

ショスタコーヴィチの室内交響曲とは、実は弦楽四重奏曲弦楽合奏へと編曲したものであることは、前回の第1集を取り上げた時に触れましたが、この第2集で取り上げている作品もやはり原曲は弦楽四重奏曲であり、すべて指揮者であるルドルフ・バルシャイの編曲となっています。

まず、第1曲目の作品49aは、実は以前すでにこのブログで取り上げています。オーケストラ・ダズビダーニャの第19回定期演奏会にて、ダズビ団長の編曲が演奏されているのです。

コンサート雑感:オーケストラ・ダスビダーニャ第19回定期演奏会を聴いて
http://yaplog.jp/yk6974/archive/930

今月のお買いもの:オーケストラ・ダズビダーニャ第19回定期演奏会
http://yaplog.jp/yk6974/archive/1129

第4楽章だけですが、ダズビ版はとてもおとなしい感じがします。春を描いたとも言われる弦楽四重奏曲第1番ですが、だんだん春がやってくるといった感じです。一方のバルシャイ版の室内交響曲は、春が突然やってくるといった感じがします。

弦楽四重奏曲第1番 (ショスタコーヴィチ)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BC%A6%E6%A5%BD%E5%9B%9B%E9%87%8D%E5%A5%8F%E6%9B%B2%E7%AC%AC1%E7%95%AA_(%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%81)

これはおそらく、編曲者の住居地、あるいは出身地に依るのだと思います。ダズビ団長の白川さんは東京在住、そしてバルシャイはロシア出身です。春に対する季節感が異なって同然だといえますし、そこがまた面白いのです。

ダズビの第19回定期を聴きに行った時、実はすでにこの音源を借りており、そういえば図書館で借りてきていたなと思いながら演奏を聴いたものです。どれだけ違うのかは面白そうだなあ、と。ダズビとバルシャイを比較しながら聴くのも、また楽しい時間です。

次に作品110aです。原曲は弦楽四重奏曲第8番で、この作品は作曲者によって「ファシズムと戦争の犠牲者の想い出に」捧げるとされていますが、音名でショスタコのイニシャルが埋め込まれるなど、内省的な音楽でもあります。

弦楽四重奏曲第8番 (ショスタコーヴィチ)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BC%A6%E6%A5%BD%E5%9B%9B%E9%87%8D%E5%A5%8F%E6%9B%B2%E7%AC%AC8%E7%95%AA_(%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%81)

とは言え、激しさもある作品であり、その振幅度合が激しい作品だといえます。その部分のオーケストレーションは、弦楽器をまるで打楽器のように打つ付ける音を採用しており、この作品が弦楽合奏であるということを、しばし忘れてしまうほどです。ショスタコの精神状態に対する共感が、音楽から切々と伝わってきます。

じつはこの作品110aもダズビが第18回定期演奏会で取り上げていますので、このブログでも取り上げています。

今月のお買いもの:オーケストラ・ダズビダーニャ 第18回定期演奏会1
http://yaplog.jp/yk6974/archive/949

バルシャイが第8番を室内交響曲にしたのも、何かのメッセージだと受け取れるかもしれません。

最後が作品118aで、原曲は弦楽四重奏曲第10番です。

弦楽四重奏曲第10番 (ショスタコーヴィチ)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BC%A6%E6%A5%BD%E5%9B%9B%E9%87%8D%E5%A5%8F%E6%9B%B2%E7%AC%AC10%E7%95%AA_(%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%81)

メッセージ性は影をひそめ、ひたすらショスタコの内的風景を描いたものととらえることが出来るこの作品は、弦楽合奏になるとよりいっそう深い淵へと沈んでいくような音楽となっています。

ここまでが収録曲全てですが、第1集も含め、ショスタコ弦楽四重奏曲弦楽合奏に編曲しても遜色ないどころか、むしろもっと輝きを増すものが多いように思います。バルシャイ弦楽四重奏曲全てを室内交響曲にしたかったのかもしれません。曲集となっていますが、実際には重要だけれど編曲されていない作品もあるためで、それがかなったら曲集を全集にしたかったのかもしれません。

いずれにしても、この曲集は私をショスタコーヴィチ弦楽四重奏曲へと誘ったのは間違いなく、その後実際に図書館から借りてくることになったのですが、それは弦楽四重奏曲を取り上げる時にまた述べることといたしましょう。

さて、次回からはついに交響曲そのものが登場です!




聴いている音源
ドミトリー・ショスタコーヴィチ作曲
室内交響曲ハ長調作品49a(アイネ・クライネ・シンフォニー、原曲:弦楽四重奏曲第1番)
室内交響曲ハ短調作品110a(原曲:弦楽四重奏曲第8番)
室内交響曲変イ長調作品118a(原曲:弦楽四重奏曲第10番)
ルドルフ・バルシャイ指揮
ミラノ・ジュセッペ・ヴェルディ交響楽団

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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