かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:メンデルスゾーン 室内楽全集4

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、メンデルスゾーン室内楽全集を取り上げていますが、今回はその第4集を取り上げます。

室内楽の王道と言えば弦楽四重奏曲ですが、この第4集には作品44の2と3、つまり弦楽四重奏曲第4番、第5番が収録されており、メンデルスゾーン弦楽四重奏曲の白眉がまさに収められていると言っていいでしょう。

第4番は1837年の作曲で、第5番は1838年の作曲となっており、第5番は実は第3番と同じ年に完成しています。そして3曲がひとまとめとして作品44とされました。この成立過程を見ますと、音楽的には前期ロマン派ですでにベートーヴェンの後期作品の影響を受けてはいませんが、バッハ以来の組曲のようなまとめ方が踏襲されていると言えましょう。

ここがロマン派の作品を聴くと言うか、読み解くときに注意しなければならない点だと思うのですが、新しい音楽であっても、バッハなどのバロックを意識していることがよく分かります。特にメンデルスゾーンの場合には、マタイ受難曲の復興に資力したという、合唱作品作曲家という側面も大切な要素であったと言えます。

合唱作品を多くのこしたメンデルスゾーンですが、この弦楽四重奏曲は器楽的であり、その上で流麗な作品であることが特徴でしょう。演奏機会があまり多くないメンデルスゾーン弦楽四重奏曲ですが、ブラームスのどうも堅苦しい(とは私は思わないんですが)イメージがいやだと言う方は是非とも、この2曲を聴いてほしいなと思います。

弦楽四重奏曲第4番 (メンデルスゾーン)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BC%A6%E6%A5%BD%E5%9B%9B%E9%87%8D%E5%A5%8F%E6%9B%B2%E7%AC%AC4%E7%95%AA_(%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%87%E3%83%AB%E3%82%B9%E3%82%BE%E3%83%BC%E3%83%B3)

弦楽四重奏曲第5番 (メンデルスゾーン)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BC%A6%E6%A5%BD%E5%9B%9B%E9%87%8D%E5%A5%8F%E6%9B%B2%E7%AC%AC5%E7%95%AA_(%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%87%E3%83%AB%E3%82%B9%E3%82%BE%E3%83%BC%E3%83%B3)

確かに、この作品44の、特にこの2曲に関しては、第4番より第5番の方がよりベートーヴェンに近い作風となっていますが、かといって似せて作ったのでなく、あくまでも影響がどれくらいあるのか、影響からどれだけ脱しているのかがそれぞれ作品の特徴ともなっています。それにしても、後の作品のはずの第5番の方がよりベートーヴェンの影響下にあるというのも面白いなあと思います。

メンデルスゾーンという作曲家がどのような人たちに影響を受けていたのかが窺える作品で、微笑ましいなあと思います。影響を否定せず、でも自分の独自性を追い求めていく・・・・・その素直な姿勢は、聴いていて爽快感につながっているような気すらします。

演奏はイギリス弦楽四重奏団ですが、アルバン・ベルク弦楽四重奏団のような近代的なアンサンブルです。それでも、暖か味や人間味が滲み出る演奏は、聴いていてなぜか懐かしく、作品に様々な「顔」があることを教えてくれます。そのさまざまな顔を私達がどれだけ受けとめることができるのかが、メンデルスゾーンの作品にも求められるのかもしれません。

素直な作品とは言え、それはあくまでもベートーヴェン・リスペクトであり、作品に込めた想いというものは決して単純ではなく、一見すると単純であるかのように見える音楽が、実は複雑であるということをはっきりと演奏は示しています。だからと言ってとっつきにくいのもなく、むしろ人なつっこい部分が多いことも教えてくれます。アコーギクが少なくすっきりとした姿勢ですが、それでも演奏からは様々な作品の「顔」を見ることができます。

こういった演奏こそ、さすがプロだと言えるでしょう。




聴いている音源
フェリックス・メンデルスゾーン・バルトルディ作曲
弦楽四重奏曲第4番ホ短調作品44-2
弦楽四重奏曲第5番本ホ長調作品44-3
イギリス弦楽四重奏団

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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