久しぶりにコンサート雑感をお届けします。今回は平成27年8月16日に聴きに行きました、東京ユヴェントス・フィルハーモニーの第10回記念演奏会についてです。
アマービレでかなり前から目をつけていた演奏会だったのですが、最近はなかなか休みが日曜日に取れませんで、行けるかどうか心配していましたが、無事休みとなってほっとしています。
まず、東京ユヴェントス・フィルハーモニーの紹介から参りましょう。そもそもは、慶應義塾大学の学生たちが中心となって2008年に設立されたオーケストラで、2013年までは慶應義塾ユースオーケストラと名乗っていた団体です。
http://tokyojuventus.com/
私は中大出身ですが、他大学のオケを聴きに行ける機会が社会人になって減ってしまいました。本来は、社会人になったからこそ聴きに行ける筈なのですが、休みの関係などで全くと行っていいほど他大学は無縁になってしまいました(自分の出身サークルである古美術系ですらそうですから、オケはなおさらだと言えるでしょう)。
その意味で、今回このオケを聴きに行けたのは本当によかったと思っています。井の中の蛙にならずに済む、こんなすばらしいことがありましょうや!
演目は以下の通りです。
�@ボッケリーニ:マドリードの夜の帰営ラッパ(L・べリオ編)
�Aベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品61(カデンツァ:A.シュニトケ)
�Bベートーヴェン:交響曲第7番イ長調作品92
このうち、ボッケリーニは時間に間に合わず、聴けずじまいになったのが悔やまれます。この日のテーマが「現代の古典」だったからです。意味は、現代に生きる古典。それがまず一曲目から提示されるのですね。
ボッケリーニはこのブログでもチェロ協奏曲を取り上げている作曲家で、古典派の中でも少し異色の作曲家だと言えるでしょう。それでも、古典派の作品ですから、おとなしいものです。その作品を、現代音楽の作曲家であるべリオが編曲したらどうなるのかを聴衆に提示したものだったからです。
ルイジ・ボッケリーニ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AB%E3%82%A4%E3%82%B8%E3%83%BB%E3%83%9C%E3%83%83%E3%82%B1%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%8B
ルチアーノ・ベリオ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AB%E3%83%81%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%83%8E%E3%83%BB%E3%83%99%E3%83%AA%E3%82%AA
打楽器等が派手に鳴り響く作品だとプログラムにはありますが、是非ともそれを聴いてみたかったです・・・・・
次のベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲。これがなぜ現代に生きる古典なのかと言えば、以前、このブログでも「マイ・コレクション」のコーナーで取り上げた時、カデンツァが作曲されていないと言及しているかと思います。私はクライスラーのをご紹介しているかと思いますが、幾人かがカデンツァを作曲しています。その一人に、旧ソ連の作曲家、シュニトケがいます。それを指しているのですね。
ヴァイオリン協奏曲 (ベートーヴェン)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%82%AA%E3%83%AA%E3%83%B3%E5%8D%94%E5%A5%8F%E6%9B%B2_(%E3%83%99%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%BC%E3%83%B4%E3%82%A7%E3%83%B3)
アルフレット・シュニトケ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%95%E3%83%AC%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%8B%E3%83%88%E3%82%B1
他からの引用もさることながら、シュニトケという作曲家がショスタコーヴィチを師としていることから、その不協和音ぶりは充実(?)しており、シュニトケの世界とベートーヴェンの世界が独立しながらも融合し、違和感がないのが不思議だと思いました。ここから演奏を聴いているわけなのですが、オケがうまいのもあるのでしょう。所謂、アマチュアらしい痩せた音が一切なく、プロオケを聴いているかの錯覚を起こすくらいです。驚くよりも先に、聴き入っていた時分が居ました。だからこそ、シュニトケの世界と、ベートーヴェンの世界が見事に融合したこの作品の魅力を、届けることができたのでしょう。
最後の交響曲第7番。そのうまさは比類なきものであると言っていいでしょう。学生が中心であるからこそなのかもしれませんが、かといってこの作品を弾きこなすのはそう簡単ではありません。日本人にとってとっつきにくいリズムと、がっちりとした構成。それが見事にクリアされているうえに、第4楽章ではノリノリであったことが高評価です。
リズムの権化とも言われるこの7番ですが、だからこそ、第4楽章のノリというのはとても大切な要素だと私は考えていて、そのノリが充実していたのが素晴らしかったです。そのノリノリが素晴らしいアンサンブルとアインザッツによってであれば、万雷の拍手は当然であったと言えるでしょう。しかも、残響をきちんと聴衆が楽しんでもいる(私もその一人でした)!
土日が常に休みであれば、継続して聴きたいと思ったオケですが、さすがにそれは難しいかな〜と思ったので、会員になるのはやめたのですが、是非とも一人でも多くの方が会員になっていただきたいなと思います。それだけの価値があるオケであると確信します。CDも出しているくらいですから・・・・・
で、そのCD、今月中に「今月のお買いもの」コーナーで取り上げますので、ご期待ください!
中大もそろそろ、CD出しましょうよ・・・・・実力はあると思いますよ。
聴きに行ったコンサート
東京ユヴェントス・フィルハーモニー第10回記念演奏会
ルイジ・ボッケリーニ作曲
マドリードの夜の帰営ラッパ(L・べリオ編)
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品61(カデンツァ:A.シュニトケ)
交響曲第7番イ長調作品92
尾池亜美(ヴァイオリン)
坂入健司郎指揮
東京ユヴェントス・フィルハーモニー
平成27(2015)年8月16日、東京江東、ティアラこうとう大ホール
地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。
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