かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買いもの:朝比奈さんの室内オケによる第九

今月のお買いもの、平成27年8月に購入したものをご紹介しています。今回はディスクユニオン新宿クラシック館にて購入しました、朝比奈隆氏が降る第九です。

このブログでも、朝比奈氏が振った第九は3つご紹介しておりますが、それはいずれも大阪フィルとN響という、フルオケのものです。これは倉敷音楽祭におけるライヴレコーディングで、じつは室内オケです。

この倉敷音楽祭のものは、数年ほど前まではCDショップの店頭に普通に並んでいましたが、今ではなかなか見かけなくなりました。こういう時、中古市場は本当に助かります。この音源も実は探していたものだったからです。ですから、第九は通常年末に買うことにしている私も、触手が伸びたというわけです(昨年のアバド/ベルリン・フィルのもののように)。

倉敷音楽祭は、現在ではそれほどクラシック音楽に特化した音楽祭ではなく、むしろ伝統芸能の祭典という意味合いが強い音楽祭です。例えば、ことしのサイトを挙げておきましょう。

http://arsk.jp/m-fes/index.html

クラシック音楽は、3月8日に行われた、第九だけです。それ以外は、今年は東北の芸能を紹介することとなっていることから、舞や太鼓などがずらりと並びます(ただ、それならば日本人作曲家の舞曲なども紹介してくれるとありがたいのですが)。

朝比奈氏が振られた時には、まだリニューアル前で、かなりクラシック音楽に特化した音楽祭だったと記憶しています。音楽雑誌でもよく取り上げられていたように思います。そんな中で演奏されたのが、第九です。今年は関西フィルが担当したようですが、このCDでは室内オケです。

祝祭管弦楽団となると、フルオケであることも多いのですが、この倉敷音楽祭祝祭管弦楽団は、室内オケ。では、どれだけ演奏が以前の3つと違うかと言えば・・・・・

それほど違わないのです。テンポは大フィルと大して変りませんし、重厚さも3枚とあまり変わりません。という事は、朝比奈氏はフルオケだろうが室内オケだろうが、全くスタンスを変えることがないことを意味しているのです。

さらに言えば、それだけこのオケには、トップ演奏家が集まっているという事を意味します。朝比奈氏が振るということが可能にしたのかもしれません。最後のブラヴォウが残響がなくなる前に叫ばれているのは残念ですが、それはそれだけ、聴衆を感動させたという事でもあるからです。このオケでの高いレヴェルの演奏は、いずこからいずるのか知っていれば、当然のブラヴォウだろうと思います。

第4楽章の、いつも私が指摘するvor Gott!の部分はvor一拍に対してGott!が6拍伸ばされており、特段変態演奏ではないにも関わらず、聴き手をぐいぐい引き込んでいくのは巨匠朝比奈隆ならではでしょう。室内オケだからこそアンサンブルはすっきりしており、その上でゆったりめの朝比奈節が響き渡るこの演奏は、テンポからは想像もつかないほど、爽快感もある素晴らしい演奏です。快速ではないのにです。

朝比奈さんはこういう部分素晴らしい指揮者だったなあと思います。CDのブックレットには、第九の演奏に関しては、朝比奈さんには一つのスタンスが確立されているとありますが、おそらくそうだろうと思います。古典美を追い求めながらも、内なる精神を現出させようとする朝比奈さんのタクトは、ブルックナーでもベートーヴェンでも、変ることなく私たちに美しいものを呈示してくれます。




聴いているCD
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
交響曲第9番ニ短調作品125「合唱付き」
渡辺美佐子(ソプラノ)
原直子(アルト)
岩本明志(テノール
勝部太(バス)
倉敷音楽祭「第九」合唱団(合唱指揮:岩城拓也)
朝比奈隆指揮
倉敷音楽祭祝祭管弦楽団
(TOBU RECORDINGS TSBCD0016-2)

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




このブログは「にほんブログ村」に参加しています。

にほんブログ村 クラシックブログへ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ クラシックCD鑑賞へ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ 合唱・コーラスへ
にほんブログ村