今月のお買いもの、平成28年5月にディスクユニオン新宿クラシック館にて購入しました、ヴィオッティのヴァイオリン協奏曲全集を取り上げています。今回は第9集を取り上げます。
第9集には第22番、第24番、第28番の3曲が収録されています。特に第22番はウィキでも説明があるほど有名で、作品としてもすぐれたものです。
ヴァイオリン協奏曲第22番 (ヴィオッティ)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%82%AA%E3%83%AA%E3%83%B3%E5%8D%94%E5%A5%8F%E6%9B%B2%E7%AC%AC22%E7%95%AA_(%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%82%AA%E3%83%83%E3%83%86%E3%82%A3)
以前、このブログでも取り上げたこの第22番は、実に堂々とした、陰影の深い作品です。ここまで聴きますと、第19番までと第20番以降だと、幾分作風に差があるように思われます。
この第22番はロンドンで作曲されたという背景から、保守的な雰囲気を漂わせますが、それでも短調のせいなのか、気品が感じられるが特徴です。
それは続く第24番でも同じであり、むしろ気品はさらに深くなっているように思います。第28番になりますとさらに深くなります。
ながいオケの前奏など、堂々とした作品が多いこの第9集ですが、3曲とも短調というのも興味深いです。第22番があるいは1798年の作曲となりますと、それはベートーヴェンに多大な影響を与えたであろうと想像できます。
それが例えば、ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲では長いオケの演奏につながっているとすれば、納得する部分もあります。勿論確証はないのですが、ピアノ協奏曲に置いては、オケが一発奏したあといきなり出るなど(第5番「皇帝」)、様々な形がありますがヴァイオリン協奏曲に置いては一つしか書いていないという点もありますが、比較的それ以前の様式の域を出ず、むしろ和声で新しさを表現したという部分があります。それはヴィオッティの影響とみることも可能です。
だとすれば、これら3曲が音楽史において占める位置は極めて重要だと言えます。実際、この3曲はどれも整っており、聴いていて美しさが際立ちます。
演奏は第3集からのコンビであるメッツェーナ、シンフォニア・ペルシナ。メッツェーナの独奏と指揮という、バロック的な編成をモダンでひっさげたこのコンビは、この第9集でも素晴らしい「綾」を紡ぎ出しています。ヴァイオリンは甘く、その上豊潤で、その点ではすでに古典派を通りこしてロマン派の域に入っています。メッツェーナはヴィオッティの音楽に存在する2面性、古典的な部分と先進的な部分の同居を、見事に暴いたと言えるでしょう。
第28番では神々しさすらあるこの演奏は、ベートーヴェンが評価した人の作品なのだということを、私たちに実に明確に突きつけています。
聴いているCD
ジョヴァンニ・バッティスタ・ヴィオッティ作曲
ヴァイオリン協奏曲第22番イ短調W22/G97
ヴァイオリン協奏曲第24番ロ短調W24/G105
ヴァイオリン協奏曲第28番イ短調W28/G143
フランコ・メッツェーナ(ヴァイオリン、指揮)
シンフォニア・ペルシナ
(Dynamic CDS498-9)
地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。
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