かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:リムスキー=コルサコフ 交響曲全集2

神奈川県立図書館所蔵CD、リムスキー=コルサコフ交響曲全集を取り上げています。今回は第2集に収録されている第2番と管弦楽曲群をご紹介します。

第3番は1866年に作曲が始められ、1873年に完成された作品です。後に1886年に改訂が行われています。

交響曲第3番 (リムスキー=コルサコフ)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%A4%E9%9F%BF%E6%9B%B2%E7%AC%AC3%E7%95%AA_(%E3%83%AA%E3%83%A0%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%BC%EF%BC%9D%E3%82%B3%E3%83%AB%E3%82%B5%E3%82%B3%E3%83%95)

しっかりと交響曲としての体裁をもっている作品です。充実したものとなっており、前2作とは趣が少し異なる作品です。東洋趣味がきちんと形になっており、がっちりとした作品となっています。その分、幻想的な雰囲気は後退していますが、ロマン派の交響曲がお好きな方であれば、十分楽しめる作品でしょう。

その幻想的な部分は、カップリングの管弦楽作品によく表れています。例えば、音画「サトコ」などがその代表例として挙げられるでしょう。或は、「皇帝の花嫁」序曲などです。こういった作品たちは、そもそもリムスキー=コルサコフの東洋趣味を強く反映しています。代表作品「シェエラザード」を含め、リムスキー=コルサコフの作品は東洋趣味とは切り離せないものが多いのが特徴です。

それは、ロシアという国家がそもそも、東洋でありながら西洋の影響を強く受けた国であったという歴史的背景があります。管弦楽作品はそれぞれがロシアやその周辺国などの東洋に題材を取っています(その原作が文学作品であったとしても)が、それはロシアという国の成り立ちを理解すると、とても自然です。ロシア五人組の一人であり、なおかつ自身が海軍軍人であったという点から、ロシアという国の「地政学的位置」が念頭に置かれていることが、これらの作品から明確なのです。

その上で、芸術作品として昇華させているのは素晴らしく、聴いていてすがすがしさを感じます。その点は、私が以前リムスキー=コルサコフは単なるナショナリストではなく、むしろ反対のコスモポリタンだったのではないかと考えるゆえんでもあります。勿論、ロシア五人組はロシア国民楽派の祖としての位置に音楽史的にはあるのですが・・・・・

世界的視野に立ったうえで、自らの祖国を見る・・・・・リムスキー=コルサコフの作品は、私にはどうしてもそのように聴こえるのです。

この音源はオール・ロシアキャストですが、なぜかロシア的なものだけではなく、東洋趣味が素直に聴こえてきます。スヴェトラーノフのみごとなタクト裁きと、ロシア国立交響楽団の素晴らしいアンサンブルが、時として端正で、時としてダイナミックな演奏を聴かせてくれます。通常私たちがリムスキー=コルサコフに対して持っている「ロシア的」だとか「幻想的」というイメージを、特に第3番はいい意味で裏切ってくれていますし、他の管弦楽作品も同様です。しっかりと演奏されたこれらの作品が持つ本来の魅力というものを、私達に呈示してくれています。

スヴェトラーノフと言えば、ある方面では爆演系とも呼ばれますが、私はそうでもないのではと思います。しっかりとスコアリーディングをしたうえで、感情移入が激しい人のように思われます。しかし、しすぎることはない・・・・・それが、「情熱と冷静の間」のバランスを絶妙なものとし、私達聴き手に新たな地平を見せてくれているのだと思います。




聴いている音源
ニコライ・リムスキー=コルサコフ作曲
交響曲第3番ハ長調作品32
音画「サトコ」作品5
貴族たちの行進〜オペラ・バレエ「ムラダ」
序曲〜歌劇「プスコフの娘(イワン雷帝)」
序曲〜歌劇「皇帝の花嫁」
3つの奇跡〜歌劇「サルタン皇帝の物語」
エフゲニー・スヴェトラーノフ指揮
ロシア国立交響楽団

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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