かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買いもの:サヴァリッシュが指揮する第九

今月のお買いもの、今回から平成27年1月に購入したものをご紹介していきます。まず今回は、ディスクユニオン新宿クラシック館にて購入しました、サヴァリッシュ指揮ロイヤル・コンセルトへボウ管弦楽団演奏のベートーヴェンの第九を取り上げます。

やっと新年あけてからのを取り上げたと思ったら、また第九かよ〜っていう方もいらっしゃるかと思います。はい、私も購入するとき、新年あけてから第九ねえ・・・・・と、逡巡したのは事実です。しかし、指揮がサヴァリッシュとなると、話は違います。

以前から、私はサヴァリッシュ指揮の第九が欲しかったのです。実は、私が初めて聴いた第九の演奏は、父がオープンリールでエアチェックした、サヴァリッシュ/N響の第九だったからです。

NHK交響楽団 第9ボックス
http://www.hmv.co.jp/news/article/1112010034/

ですので、この上記URLにて紹介されているCDが出た時、正直心躍りました。しかし、何分値段が・・・・・

分売してくれないかなあと、一日千秋の思いでいるのですが、その時、ディスクユニオンで見つけたのが、このCDだったのです。N響の演奏ではありませんが、サヴァリッシュという指揮者はそれほど冒険する人ではありませんので、比較的近い解釈の演奏を楽しむことが出来ます。

(ちなみに、一番最上に出ているのがサヴァリッシュ。途中シュタインがありますが、これはおそらく、私が聴きに行ったシーズンのものであろうと思います。その当日とは限りませんが。その意味でもこのシリーズは欲しいのですが、新譜ではなく中古市場でしばらく探してみようかと思っています。)

さて、そのサヴァリッシュの指揮は、スウィトナーに近く、激しさと荘重さがほどよいバランスを取っており、聴けば聴くほど味が出る演奏になっています。ティンパニも硬く鳴らしてくれますし、合唱も伸びやかです。私が常に注目するVor Gott!の部分も、特に奇をてらったことはなく、vor一拍としてGott!を六拍伸ばしていますので、変態演奏とは言い難いものですが、それでも、Gott!はかなり長く感じます。これはサヴァリッシュがvorの直前でテンポを落としているためで、一見すると変態演奏では?と思いますがしっかりと楽譜通りに振っています。まさにその点こそ、職人サヴァリッシュの面目躍如と言えるでしょう。

それらは実に「情熱と冷静の間」が絶妙で、その上で、曲が本来持っている精神を人間が持つ「囚われ」から解放し、私達一人一人に語りかけるという、実に心に残る演奏を心がけています。それは素直に喜ばしい点だと思います。

合唱が特に秀逸で、歌詞が良く聴き取れるのも珍しい演奏ですし、アクセントもしっかりとつけられているのが印象的です。N響とのもの同様ライヴ録音なのですが、熱い部分が伝わってくるにも関わらず、とても端正で、美しい演奏は、まさしく第九という作品が持つ霊性を私達にしっかりと伝えています。

第九という作品は、交響曲でありながら合唱が付くわけですから、端的に言えば歌謡曲などと一緒で、歌詞がはっきりと聞き取れるのかという点は非常に大事だと思うのですが、以外にもいろんな評論でスルーされてしまっているように思います。確かに、自分で歌ってみても歌詞一言一言が聞き取れるように歌うなんてとても難しいですし、高いレヴェルが要求されますのでそれゆえかとは思いますが、しかし、この演奏はその高いレヴェルがごく当たり前のように実現されているのです。

第九の合唱部分は、音型は器楽的ですが、リズムは声楽的です。つまり、言葉のリズムに合唱部分は合わせているという事になります。その上で、名曲と言われる構造である、やはいパッセージにゆったりとしたリズムもきちんと存在しています。第九を駄曲という人には、楽譜をよく見てほしいと言いたいところです。特に、二重フーガなどは圧巻です。それをサヴァリッシュが意識して、歌詞を大切に指揮していると考えられるこの演奏は、サヴァリッシュという人の職人気質をよく表しているように思います。

サヴァリッシュがこのCDの演奏をしたころは、ミュンヘンオペラでの「ニーベルングの指環」が話題になっていた時期でもあります。サヴァリッシュはもともとオペラ指揮者でもあります。N響との名演と言えば、第九のみならず例えば魔笛といったオペラ、そしてこのブログでもエントリを立てた、メンデルスゾーンのオラトリオ「エリア」などが挙げられます。こういった声楽作品を得意とするからこそ、歌詞にこだわったとすれば、この演奏は当然の帰結であったとも言えるでしょう。

こういった演奏がわが国でもっと参照されるようになれば、日本の第九演奏は必ず新たなフェーズに入り、さらに霊的な演奏が増えることでしょう。




聴いているCD
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
交響曲第9番ニ短調作品125「合唱付き」
マーガレット・プライス(ソプラノ)
マルヤーナ・リボヴシェク(メゾ・ソプラノ)
ペーター・ザイフェルト(テノール
ヤン=ヘンドリク・ロータリング(バス)
デュッセルドルフ市立楽友協会合唱団(合唱指揮:ハルムート・シュミット)
ヴォルフガング・サヴァリッシュ指揮
ロイヤル・コンセルトへボウ管弦楽団
(EMI TOCE-8256)

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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