かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買いもの:フィールド ピアノ協奏曲第1番・第3番

今月のお買いもの、平成27年1月に購入したものをご紹介しております。今回はディスクユニオン新宿クラシック館にて購入しました、ナクソスから出ているフィールドのピアノ協奏曲全集の第1集をご紹介します。

さて、フィールドって、え、グラウンドの事ですか?って思った方も多いかと思います。確かに、綴りも一緒なので別にそう勘違いしてもおかしくはありません。しかし、このフィールドという作曲家は音楽史に名を残している人なのです。

ジョン・フィールド
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%89

イギリス式の名前ですが、アイルランド出身の作曲家です。若いころにロンドンに移り住んだので、基本イギリスの音楽がベースになっていることが多い作曲家です。それよりも重要なのは、音楽史上「夜想曲」の創始者として有名な人なのです。

とは言え、私もこのディスクを買って初めて、ああ、そうだったかと思い知ったのですが・・・・・

つまり、ノクターン創始者なんですよね、ということはつまり、フィールドの音楽は後のピアノ作品の大作曲家達である、シューマンショパンらに強い影響を与えているという事になります。先生がクレメンティですから、さもありなんです。

で、それならピアノ作品を買えばいいと考えることもできますが、ピアノ協奏曲がどんなものであるのかも、興味沸く部分ではありませんか!ノクターンなら自由な発想で行けますが、協奏曲はそうはいきません。実際、フィールドも演奏者だったのですから。ショパンが2曲しか作曲していないことを想起してみてください。興味深いとは思いませんか?

フィールドはウィキの記述でお分かりの通り、古典派から前期ロマン派の時期に活躍した作曲家です。つまり、ベートーヴェンとほぼ同じ年代なんです。ベートーヴェンがピアノ・ソナタを芸術作品として第1級のものにしている時、フィールドは様式的にはさらに先を行く「ノクターン」を創始したのです。棚で見つけてスルーするにはあまりにも惜しい作曲家だと思い、購入を決めたのです。

さて、まず1曲目のピアノ協奏曲第1番ですが、出版は1814年で、作曲はそれ以前の1799年であったとブックレットには書かれています。古典的な3楽章形式と、オケの前奏があって独奏ピアノが出るという様式は、ベートーヴェンよりは古く、音楽もまだロマン派というには古典的な響きを持っています。ただ、美しさは十分持っており、確かに当時であれば熱狂しただろうなあと思います。この曲を引っ提げて、フィールドはヨーロッパ中で引っ張りだこになってこの第1番を弾きまくったのですから・・・・・

ま、そんなアイドル的な扱いをされれば、有頂天になってさまざまやるよねえとは思いますが・・・・・それはさておいて。

次の第3番は、第1番が出版されたわずか2年後の1816年に出版されているにもかかわらず、一気にロマン派的になっており、しかも2楽章制で緩徐楽章が抜けているという構造をもちます。様式的にはベートーヴェンを抜いてしまっています。勿論、時期的にはベートーヴェンを抜いていておかしくないですから別に驚くに値しませんが、わずか2年でという点に驚きます。まだ学習時期ならわかりますが、これらが作曲されたのはフィールドが20歳後半から30代前半です。どれだけの先進音楽を聴き、自らのさくひんに取り込んだのでしょう。その意欲に舌を巻きます。

なるほど、ノクターンを創始するだけありますね。確かに音楽そのものには幾分古典的な部分があり、同時期に作曲しているウェーバーに比べればという点は否めませんが、その許容力と受容能力は群を抜いています。これでは、交響曲も聴きたくなってきます〜

むしろ、その交響曲で熱狂的なファンを増やし、一時は「フィールドを知らないことは、罪悪である」とまで評されたわけですから。是非とも聴いてみたい気がします。交響曲と言えば、ベートーヴェンの9つの作品が燦然と輝いているわけですが、その上で上記のような評価を受けるには、それなりの理由があるはずで、それを知ることは音楽史を知るうえでとても大切なことだと思います。

もしかすると、モーツァルト同様「旅」が一つの理由なのかもしれませんが、二つの作品とも優雅さと気品があり、なおかつ劇的な部分も持ち合わせる、単なる「何かに似ている作品」とは言いがたい作品たちです。その意味では、フィールドはまさしく非凡な才能を持った人であったと言えます。

演奏はイギリスの室内オケが担当していますが、ピアニストもオケも、指揮者の端正さを前面に押し出す解釈を淡々と演奏していまして、何も足すことなくも作品が持つ優雅さと気品、そしてドラマティックさが充分に出ることを証明しています。所々に青空が見えるような明るさがあり、それは毅然として堂々と演奏しているところからくるのでしょう。日本ではあまり知られていない作曲家ですが、まるでベートーヴェンと同様ですよと言わんばかりのしっかりとした演奏は、演奏者の作曲家に対する誇りと尊敬をを感じさせます。

フィールド。この作曲家も、無理ない程度に追いかけて行ければなと思います。




聴いているCD
ジョン・フィールド作曲
ピアノ協奏曲第1番変ホ長調H.27
ピアノ協奏曲第3番変ホ長調H.32
ベンジャミン・フリス(ピアノ)
デーヴィッド・ハスラム指揮
ノーザン・シンフォニア
(Naxos 8.553770)

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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