かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買いもの:アーノルド 室内楽曲集

皆さま、新年、あけましておめでとうございます。

今年もこのブログを、よろしくお願いいたします。

・・・・・と、今年は述べることが出来たことが、本当にうれしく思います。

ここまで来るのに本当に様々ありましたが、様々な方のお力をいただきました。そのすべての方に感謝します。


さて、新年最初のエントリは、一日遅れの「今月のお買いもの」コーナーです。平成26年11月に購入したものをご紹介しております。今回はディスクユニオン新宿クラシック館にて購入しました、ナクソスから出ているアーノルドの室内楽曲集を取り上げます。

アーノルドは交響曲全集もこのブログでは取り上げている、イギリスの作曲家で、多作家ですが基本的にはシンフォニストです。

マルコム・アーノルド
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%AB%E3%82%B3%E3%83%A0%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%83%8E%E3%83%AB%E3%83%89

正式には、サー・マルコム・アーノルドですが、イギリス近現代を代表する作曲家だと言えるでしょう。日本ではブリテンのほうが有名な感がありますが、以前交響曲全曲を取り上げた時にも述べましたが、ポストブリテンは明らかにアーノルドです。しかも、日本人はシンフォニストを好む傾向がありますから、本来はアーノルドのほうが有名であっても不思議はないほどの人なんですけどねえ。

その、シンフォニストの今度は室内楽を採り上げたいと思ったのです。以前、なかなか聴けなかった作曲家は室内楽から入ることにしていると述べたことがあったかと思いますが、アーノルドは私は管弦楽から入りました。某SNSでのイベントで取り上げられていたからです。そこで聴いたのが最初で、この作曲家ならいける!と思ったのです。

ただ、こういった20世紀の作曲家の作品は、今まで避けてきたものであったわけなので、いつかは室内楽が聴きたいと思い続けてきました。その希望がかなったという事になります。

基本的に、交響曲とウィットに富む点は何ら変わりありません。むしろ、この室内楽のほうがより富むと言うべきでしょう。1曲目のピアノ三重奏曲ではいきなりそんな不協和音が連発され、子供が遊ぶようなイメージです。2曲目のヴァイオリンソナタ第2番では、とても幻想的な世界を現出させていますし、3曲目のチェロのための幻想曲では、渋さが前面に押し出され、4曲目のヴァイオリン・ソナタでは再び茶目っ気たっぷり!そして、最後のヴァイオリンとピアノのための5つの小品では、編成上ではソナタですが、形式にとらわれない、自由さが奔放さを物語ります。それはアーノルドの伝統重視の姿勢でもあるでしょう。ソナタが成立したバロック期に立ち戻っているからです。でも、音楽は現代です。

少なくとも、ここに収録されている作品は全て、アーノルドの知性が存分に発揮されたもので、視点を変えればおしゃれだとも言えるでしょう。所々にまるでテレビドラマのサントラかと思うような部分もありますが、それは映画音楽も数多く手がけたアーノルドならではと言えるでしょう。

20世紀から現代にかけて、クラシック音楽の作曲かは映画音楽から避けることは出来ないように思います。その代表選手が例えばショスタコーヴィチであり、或は武満徹であり、或は伊福部昭であり、あるいはコルンゴルトであるわけです。アーノルドもそういった一人だと言えるでしょう。その映画音楽で培った茶目っ気というものが、交響曲以上に強く反映されていると言えます。

その点では、アーノルドはまさしく、ベートーヴェンを強く意識していると言えるでしょう。交響曲でやった実験を、弦楽四重奏曲で使いこなす・・・・・・それを、アーノルドもやっているわけです。ベートーヴェンを意識していないとは言い切れない点です。

アーノルドは様々なメッセージを私達に発していますが、それを受け取るには様々なものが必要になります。けれども、殆どなくても少なくともいくつかは受け取れるように作曲しているところが素晴らしいです。素直に耳を傾けさえすれば、そこには透明で、しかし深い世界が広がっていることを知ることが出来ます。その深さがどれくらいかということを知りたいときに、初めて様々な知識が必要になります。ここに挙げられた作品は、知性が全開の作品でありながら、いづれも必ずしも聴き手に知性を求めないという点で、聴きやすさを持っています。

演奏は、イングリッシュ・ピアノ・トリオ。ソナタもあり、三重奏曲もありというこれらの作品を、縦横無尽に演奏し尽くしています。けれども、それが何とも洒脱なんですよね〜。肩に力が入っておらず、しかし時にはシリアスに渋くどっしりと演奏もする(チェロのための幻想曲)。それが透明感だったり、幻想世界だったりを、十分に私たちに見せてくれています。それは自分というものを亡くしているのではなく、むしろ演奏者が楽譜を通して作曲者と向き合った結果、演奏者の意思として、もたらされるものです。重々しくなく、軽めですがしかし、重厚さも持っているとも言えるでしょう。それが充分ウィットさや、悲哀、そして喜びなど、作品に様々織り込まれている要素を、私達に見せてくれています。

それを、何とも涼しい顔をして演奏しているさまは、かっこいいの一言です!




聴いているCD
サー・マルコム・アーノルド作曲
ピアノ三重奏曲ニ短調作品54
ヴァイオリン・ソナタ第2番作品43
チェロのための幻想曲作品130
ヴァイオリン・ソナタ第1番作品15
ヴァイオリンとピアノのための5つの小品作品84
イングリッシュ・ピアノ・トリオ
(Naxos 8.554237)

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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