かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

コンサート雑感:第24回湘南ひらつか第九のつどいを聴いて

コンサート雑感、今回は平成26年11月30日に聴きに行ってきました、第24回湘南ひらつか第九のつどいを取り上げます。

このコンサートは、ブログの読者であるあきさんの御紹介でした。是非ともいらっしゃってください!とのことでしたので、早くからその日を休暇にして押さえていました。

それにしても、チケットを現地(平塚)まで買いに行かなくてはいけなかったので、ちょっと大変でしたが^^;

第九を演奏するイベントは、全国津々浦々にありますが、たいてい年1回の演奏で、合唱団もそのたびに結成されることが多いのですが、この平塚もそういった団体です。その割には、プログラムをみますと、吹奏楽版などもやっており、そのチャレンジ精神に頭が下がります(一昨日「今月のお買いもの」コーナーで吹奏楽版を採り上げておりますが、すでに平塚でやられていたのにびっくりです!)。

まず、会場に入ってびっくりしたのが、1400名入る平塚市民センター大ホールが、ほぼ満員だったことです。

私も何度か第九を歌っていますが、ほぼ満員になったのは私も2度ほどしかありません。川崎市民第九のかつての会場、教育文化会館でも満員というのはなかったように思います(常に8割程度かな)。それが、ほぼ満員・・・・・

これほど音楽を愛する人たちがいる都市があるのだと、驚くとともに、とても嬉しくなりました。それだけ、「仲間」がいるってことですから。

さて、曲目は以下の通りでした。

�@シベリウス カレリア組曲
�Aベートーヴェン 交響曲第9番ニ短調作品125「合唱付き」

オケは神奈川大学管弦楽団。駅伝で有名な大学のオケですが、まず、シベリウスを聴いた時、これはいいオケだ、と思いました。

と言っても、実は当日、シベリウスには間に合わず、2Fホワイエで漏れ聞こえる音を聴いての判断でしたが、それでも、弦、そして金管が安定しているのはすぐわかりました。それは全く不安を感じさせないものでした。ただ、惜しむらくは木管が多少音が不安定だったことです。それは第九でも同じだったのですが・・・・・

第九は、まず、指揮者の松岡氏がどんな作品なのか、ご自分の解釈をレクチャーしてくださいました。これはとてもよかったと思います。第九というのは様々な内容を含む作品ですが、私は「霊的」な作品であると思っています。松岡氏はそうは言わないのですが、かなり似ている解釈をされていると思い、共感しました。

その後の第1楽章。松岡氏が「闘いの楽章」と言われた通り、まるで刃できるような、アインザッツの強い、厳しい演奏を実現していました。よくオケが付いていったなと思います。OBが第九という事で入っているせいもあるのかもしれませんが、それでも大学生らしい、力強い演奏が最初に提示されたのはとてもよかったと思います。主題展開部のティンパニ連打も「ぶっ叩いて」いて、とても素晴らしかったです。

第2楽章も、きびきびとして、常に木管が不安定であるにも拘らず、全体でそれをカヴァーするのはとても素晴らしかったです。まさしく第九の「霊的」な側面を十分表現されていたと思います。

そして第3楽章。ここでソリストと合唱団が入りました。でも、そこから最後までたちっぱなし。本当に合唱団の方々はお疲れ様でした。第3楽章はテンポ的には比較的速めでしたが、それでも「カンタービレ」していたのはさすがです。大学オケでここまで・・・・・と、正直唸りました。さて、中大の皆さま、頑張ってください・・・・・

・・・・・え、どういうことかって?そりゃあ、コンサートに行くってことですよ!ですので、頑張ってくださいm(_ _)m

つまり、神大と比較されるってことです・・・・・4649。

中間部のホルンは、アマチュアではひっくり返ることが多いですが、何とかひっくり返らずに済んだのはよかったと思います。その代り、ちょっと音がヘンになってしまいましたが・・・・・でも、一つだけでしたし、大学オケでその程度で済ませたのは、素晴らしいの一言に尽きます。

さて、第4楽章。ティンパニはぶっ叩き、それまでの楽章を否定する旋律が来たことを知らせるファンファーレも最高!弦もよく細部まで聞こえるだけ、練習したなあと思います。そこまでくれば疲れているはずなのに・・・・・さすが、若いって素晴らしいですね。

合唱団が入る部分。正直バリトンソロはすこーしダメ気味だったのですが、それを補うくらいの素晴らしいfruede!しかも、楽譜通り男性だけ。その後の「御身の不思議な力は」の部分も、ソプラノなしで、これも楽譜通り。素晴らしい!

人数的には200人程度なのに、それでも他ではソプラノを入れてしまうこともしばしばですが、頑なに男声とアルトだけという、素晴らしいアンサンブルでした。しかも、力強いというよりも、美しい!

ソプラノが入ってきてもそれは変わらず、音の圧力が来るのではなく、音の塊が迫ってくるといった感じで、美しい世界に身を置くような気分でした。その一方で、少しだけ力強さが足りなかったかな、と思います。多分、アインザッツの問題だと思います。これは痛しかゆしなんですよね〜。

何故かと言えば、実は感心したのですが、低音部ではアインザッツを弱めにして、高音部では強くしているんですね。これはまさしく、古典派の低音部は弱く、高音部は強くを実現しようとして合唱指揮者が指導された結果だと思いますので、それはそれで素晴らしい解釈ですし、それをすると美しくなりますので、なるほどと思いました。

全体的にその強弱の統制がとれているのにも感心しました。考えてみれば、今回の演奏会は、合唱団はふたつ参加しているのです。平塚市民が中心である「ひらつか市民第九のつどい合唱団」と、東海大学教養学部芸術学科合唱団の二つです。その二つが今回一つの合唱団として歌ったのはとてもよかったと思います。

何故なら、殆どの合唱団が、エキストラを入れることが多い中で、東海大学の学生を入れるということで、それをしなくても良くなっているからです。これは素晴らしい方法であると思いました、実際、アンサンブルは素晴らしく、合唱団自体には殆ど問題が見られませんでした。

最後まで緊張が切れることなく、最後は疲れているはずなのに、「抱きあえ、いく百万の人々よ!」はしゃべっていたのも素晴らしい!どこまで素晴らしい演奏なのだろうと、こんな演奏が聴ける自分は幸せだと、心底思いました。

また今回は聴衆も素晴らしいかったです。第4楽章が終わって、ホールの残響が消えた時に始まる拍手とブラヴォウ。マナーいいなあと思いました。都心や横浜川崎あたりよりも、よほど素晴らしいです・・・・・・来年は是非とも、多くの都心周辺の方は足をはこんでみてくださいませ。

木管の不安定さは全体を通して余り解消することはなかったですけれど、多分雰囲気にのまれてしまっていると思います。第九という作品はそれだけエネルギーがある曲なので、仕方ない部分もありますが、他のパートや、合唱団がカバーしてくれたことに感謝して、のまれないようにしてください。もし次に聴く機会があった時に、成長があると嬉しいです。多分、大学生なので練習さえすれば大丈夫だと思います。

そして、最後に合唱団です。アンサンブルはとても素晴らしかったのですが、強弱をアインザッツを強くしてもつける方法を、実はソプラノソロである松尾香世子さんが見せてくれていました。思いだしながら、来年につなげて下さると嬉しいです。特に、東海大学の学生は、とても参考になる歌唱だったのではないでしょうか。

それでも、vor Gott!の部分が7拍伸ばすという「変態演奏」でありつつ(それは情熱の一つの表現ですね)、全体としては美しい、「人びとが霊的であること」を表現した、素晴らしい演奏だったと思います。関係各位に、本当に感謝しますとともに、読者のあきさん、本当にお疲れ様でした!そして、こんな素晴らしい演奏家にお誘いいただき、ありがとうございます。感謝します!




聴いてきたコンサート
第24回湘南ひらつか第九のつどい
ジャン・シベリウス作曲
カレリア組曲作品作品11
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
交響曲第9番ニ短調作品125「合唱付き」
松尾香世子(ソプラノ)
塩崎めぐみ(アルト)
梶井龍太郎(テノール
小栗純一(バリトン
湘南ひらつか第九のつどい合唱団
東海大学教養学部芸術学科合唱団
松岡究指揮
神奈川大学管弦楽団

平成26(2014)年11月30日、神奈川、平塚、平塚市民センター大ホール

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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