かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:ケンぺ ベートーヴェン交響曲全集6

神奈川県立図書館ライブラリ、ケンぺ/ミュンヘン・フィルのベートーヴェン交響曲全集を取り上げていますが、今回はその第6回目。残っているのは、第九です。

ここまで、ケンぺは端正ながらも熱く、そして美しい演奏を聴かせてくれているのですが、この第九でもそれは徹頭徹尾変わりありません。むしろ、多少の美しさを犠牲にしてまでも、熱い演奏へと傾斜している、とも言えます。

第1楽章の、まるで日本刀で切ったような鋭いアインザッツの強さは、聴き手をぐいぐいと引き込んでいきますし、第2楽章もそれが続くため、前半2楽章は比較的激しい楽章となっています。

美しく長閑な第3楽章ですが、ホルンソロの部分では合わない部分すらあり、明らかにオケが前のめりになっているのが分かるんですね。前半2楽章の「熱さ」は、まさしく指揮者も含めた演奏者全体が前のめりになっているせいであろうと思います。

それが、ちきんと演奏として成立する所がこの演奏の素晴らしいところだと思います。アマチュアオケの方には是非とも参考にして欲しい演奏だと思います。プロでもアンサンブルが崩れそうになることがあること、それが録音として残っている場合もあること、そしてその場合、プロであればどのように修正しているかということ。

その全てが、この演奏には詰まっていると思います。

第4楽章も前のめり感は全開で、特に合唱団が入ってくる部分では明らかに合唱団も前のめりになっており、所謂「走って」しまっています。でもそこを何とか持ちこたえて、ナポレオンマーチからは修正して行きます。

何時も私が問題にするvor Gott!の部分も特に奇をてらって変態演奏にしているわけではないですが、それでも全体的に走り気味なのを必死に全員で修正しようと「情熱と冷静の間」を保とうとしているその姿勢が、聴き手を熱くさせます。合唱団は2団体の合同ですが、よくまとまっています。ソプラノがプロでは珍しく少し下から当たり気味なのですが、それでも美しく力強いアンサンブルが聴こえてきますと、ジーンと来てしまいます。

特に、練習番号MのFreude, Scheoner Goetter funkenの部分は感動的です。美しく力強く、「御身の翼の留まるところ、すべての人は同胞となる」と歌い上げられているのはこの時期(1970年代)を過ごした人々故、打ち出せた演奏なのかもしれません。

二重フーガは、ソプラノがかなり苦しそう・・・・・プロでも難しいのがこの二重フーガ。ですからアマチュアの皆さんは臆せず挑戦してほしいと思います。苦しいのはプロも一緒ですよ!(そしてそれはかつてアマチュア合唱団員だった私もそうでした!)

この演奏は私が好きな第九の演奏の中でも、3本の指に入るものになっています。熱く力強く、そして美しい第九・・・・・

この全集は今や、私の宝物、です。



聴いている音源
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
交響曲第9番ニ短調作品125「合唱付き」
ウルスラ・コジュト(ソプラノ)
ブリギッテ・ファスベンダーコントラルト)
ニコライ・ゲッダ(テノール
ドナルド・マクインタイル(バス)
ミュンヘンフィルハーモニー合唱団
ミュンヘン・モテット合唱団
ルドルフ・ケンぺ指揮
ミュンヘンフィルハーモニー管弦楽団

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。



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