かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:シューマン 室内楽全集4

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナーは、シューマン室内楽全集を取り上げていますが、今回はその第4集を取り上げます。収録曲はピアノ五重奏曲と、ピアノ四重奏曲。

共に1842年という「室内楽の年」に作曲されている作品で、演奏頻度も高い作品ですが、ピアノ五重奏曲は特に和音進行に特徴があり、不協和音も多用するなど、古典派の時代の作品群とは一線を画そうとする意気込みが感じられる作品です。

ピアノ五重奏曲 (シューマン)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%82%A2%E3%83%8E%E4%BA%94%E9%87%8D%E5%A5%8F%E6%9B%B2_(%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%83%B3)

ピアノ四重奏曲 (シューマン)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%82%A2%E3%83%8E%E5%9B%9B%E9%87%8D%E5%A5%8F%E6%9B%B2_(%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%83%B3)

どちらも楽章構成としてはそれほど冒険をしているわけではありません。そのせいなのか、ピアノ五重奏曲に関してはリストにばっさり切られてしまうんですね・・・・・

まあ、私は特にシューマンの肩を持つつもりもないんですが、リストとシューマンだと、その音楽は少し違うから仕方ないよな〜と思うんですけどね。シューマンは徹底的に内的世界を芸術として昇華した人だと思うんですが、リストは宗教題材まで晩年は使っているように、外的世界を自らの内的世界と同調させて、芸術に昇華した人だと思うんです。

だから、音楽が異なったり、或は「違うな」と思ったりするのは当たり前だと思うんですよね〜。さらにリストは、形式においても循環形式を確立、或は楽章をつなげて一つにまとめてしまったり(ピアノ協奏曲がその典型)したわけですから、それをあまりしないシューマンとは違って当たり前なんですよね。

リストだって、ピアノ協奏曲第1番を作曲した時、評論家に滅多くそに叩かれて、精神を病んでしまったのですから、私などからすればお相子ですけどね。

この二つの作品は、シューマンの素直な「美しさを喜ぶ心」が現出されているように思います。それでいて、シューマンらしい少し斜に構えた部分や、論理的な部分なども見え隠れし(ピアノ五重奏曲第4楽章フーガ)、聴く者の心に喜びの感情を生み出すように思えます。

シューマンという人は、私はここまで聴いてきて、喜びを素直に出す人だと思っています。勿論、それがシューマンらが活躍した「前期ロマン派」という時代の音楽であったわけですが、決して病的ばかりではない、むしろそれ以外の表現の方が圧倒的に多いと言うことを、特にこの第4集では強調されているような気がします。

そもそも、ピアノという楽器はシューマンの専門分野である訳ですしね。

交響曲などで聴かれる、時として鳴り響く病的な表現は、シューマンの「手放さない心」を表現したものなのだなあと、室内楽を聴いて理解することが出来るような気がします。

やはり、「初めての作曲かは室内楽から」という最近の私のスタンスは間違っていないのだなあと思います。もっと早くそれに辿りついていれば、シューマンの音楽への理解、或は嗜好というものが変ったのになあと思いますが、今という「時」に辿りついたのが、天啓だったのでしょう。

シューマン室内楽に出会って、今はとても幸せです。

さて、演奏なんですが、硬軟織り交ざっていて、表現が縦横無尽です。アインザッツが強かったり、弱かったりしますがそのアンサンブルが絶妙で、聴き手にはそれが「楽しそう」と感じさせるんですね。

それはそれで素晴らしいです。演奏から演奏者が楽しんでいるなと感じるなんて、実はそうあることではありません。むしろ硬く感じてしまうこともあるのですが、そんなことを微塵も感じさせず、徹頭徹尾演奏を楽しんでいるなあと。

こういう演奏は、楽器に限らず声楽でも参考になるんです。なぜ彼らはそれだけ楽しめているのか。それは演奏のどの部分で顕著か・・・・・そういったことを考えることで、自分の演奏にフィードバックすることが出来るからです。

今は歌っていませんから私自身がフィードバックしているわけではありませんが、歌うとなった時に十分参考になり得る、喜びに満ちた素晴らしい演奏だと思います。




聴いている音源
ロベルト・シューマン作曲
ピアノ五重奏曲変ホ長調作品44
ピアノ四重奏曲変ホ長調作品47
トマス・ライナ(ピアノ)
アルバーニ四重奏団

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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