神奈川県立図書館所蔵CD、シリーズでドヴォルザーク全集から交響曲と協奏曲を取り上げていますが、今回はその第8回目。交響曲第9番「新世界より」を取り上げます。ヴァーツラフ・ノイマン指揮チェコ・フィルハーモニー管弦楽団の演奏です。
「新世界より」も鉄道のリズムが多分に入っているだろうという見解は、私もこのブログでずいぶんと書いているかと思いますが・・・・・
この演奏は、その割にはそれほど鉄道的なものを感じないのです。まるで、第8番とは何かが違うような・・・・・・
それはそれは、不思議な感覚です。いや、それも一つの解釈ですよと言われればそうなのですが・・・・・
ここで私が釈然としないのは、ではなぜ異なるのかがはっきりしないからです。
一つの可能性、それは作曲された「場所」です。第8番まではチェコで作曲されました。しかし、この第9番だけはアメリカで作曲されたという点です。
もし、ドヴォルザークが第1番から第9番まで、鉄道、特に蒸気機関車が走る様子とその風景を表現しているとすれば、チェコとアメリカでは異なる部分があるわけです。特に、アメリカの場合、雄大な大陸を走る、まさしく大陸横断鉄道です。
ノイマンとチェコ・フィルのコンビは、まさしくドヴォルザークの祖国の人によるコンビであり、当然チェコの風景には通じていますが、アメリカの風景には通じていない部分は否めないわけです。となれば、それまでの演奏と異なる点が生じてきても、不思議はないということになります。あくまでも、チェコ人の視点による、アメリカの風景の解釈であるということになるわけですから。
この全集を借りて来てよかったと思う点の一つは、この「新世界より」を聴いたときに不全感にあります。つまり、第9番に関しては、必ずしもチェコのオケ、指揮者が適当であるとは限らない、ということを教えてくれているわけです。
むしろノイマンは、N響とのほうがいい演奏を残しています。あるいは、私が一押しと言われれば、この全集を借りた後の今でも、ドホナーニ/クリ―ヴランド管を推します。
マイ・コレクション:ドヴォルザーク 交響曲第9番「新世界より」
http://yaplog.jp/yk6974/archive/268
だからこそ、この全集を借りてよかったと思うのです。上記一押しの演奏のよさを、再確認することができたからです。そして、一つの全集の視点というものを、楽しむことができたからです。それは、「チェコの風景であるか否か」。
チェコの風景に思い入れが強いものと、そうでないものととの違い。様々な違いが、第1番〜第8番までと、第9番とではありますが、それをたっぷりと楽しませてくれたのがこの全集だと思います。
こういう点こそ、全集を持つという楽しみなのですね。
カップリングのスケルツォ・カプリチオーソは、このコンビの演奏だと珍しく、交響曲にあるような所謂「鉄分」がたっぷりと聴くことができます。1883年の作曲という、「時期」による「作曲場所」という視点が、ここからも透けて見えます。つまり、チェコということですね。この二つをあえて並べるということは(序曲を持ってくるという選択もあるわけですから)、やはり編集方針に「場所」が絡んでいることが推測されるわけで、これも一つの楽しみ方です。
こういう点に注目しながら、にんまりと聴くのも、私の愉しみのひとつです^^
さて、交響曲はひと段落つきましたが、まだ協奏曲が残っております。しかもです、実はこの全集、一番有名な「ドヴォコン」、つまりチェロ協奏曲が抜けているんです・・・・・・
ということは、あまり有名ではない曲が残っているということなりますが、さて。
どんな曲で、どんな背景があって、どんな演奏は、次のお楽しみ!です。
聴いている音源
アントニン・ドヴォルザーク作曲
交響曲第9番ホ短調作品95「新世界より」B178
スケルツォ・カプリチオーソ 変ニ長調作品66 B131
ヴァーツラフ・ノイマン指揮
チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。
このブログは「にほんブログ村」に参加しています。
にほんブログ村
にほんブログ村
にほんブログ村
にほんブログ村