神奈川県立図書館ライブラリ、ケンぺのベートーヴェン交響曲全集を取り上げています。今回はその第4回目。第6番「田園」の登場です。カップリングはレオノーレ第3番。
このカップリングは苦肉の策かなあと思います。テーマがちょっと異なりますしね・・・・・・
でも、演奏は各々熱いものが伝わってきます。まず田園ですが、第1楽章は各パートのきびきびした動きから豊潤さが現出しており、快活かつのんびりとした雰囲気という、一見すると同居する筈がないものが同居すると言う、奇跡的な演奏になっています。
それは後の楽章でも同じことが言えます。特にそれが発揮されるのが第3楽章〜第5楽章までで、標題音楽である「田園」の、けっして標題を端的にとらえるのではなく、スコアリーディングの結果様々な要素をそこに捉え、現出させることに成功しています。
一方、レオノーレ第3番はもともとオペラ「フィデリオ」の序曲だった作品故、重々しさから始まりだんだんアップテンポしてきて、情熱的な演奏に仕上がっています。しかもそつない演奏で、端正。
これのどこに突っ込みを入れればいいんでしょうね。しいて言えば、田園の第1楽章で若干アインザッツがずれそうになっている点でしょうか。でも許容範囲ですし、それも人間臭くてわたしは好きです。
端正さが前面にでながら、情熱的な面もしっかりとあり、かつ美しさもある。そんな演奏はまさしく、私の理想とするものです。それをどんなに買い求めても手に入れることが出来なかったのに、金銭的に余裕がなくなって図書館で借りるようになってから手に入れられる・・・・・
一体、神様は何を私につたえたいのでしょうか。そんなふうに思ってしまいます。世の中本当にわかりません。少なくとも、「買う」というこだわりを捨てたことで、わたしは名演を手に入れることが出来ました。
何かを手放して、何かを手に入れる・・・・・以前読んだ本で、人はいろんなものを持ったままで上昇しようとするが、気球が昇るには重い荷物を捨てないと上昇しないように、何かを手放さないと何かを得ることはできないのだと書いてあったのを思い出します。まさしくこの演奏はその言葉の通りだと思います。
実際、「田園」は名演と言われる、ウィーン・フィル77年来日時のNHKホール公開録音とそん色ないレヴェルです。この演奏に出会ったことに、わたしは感謝したいと思います。
聴いている音源
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
交響曲第6番ヘ長調作品68「田園」
レオノーレ序曲第3番作品72a
ルドルフ・ケンぺ指揮
ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団
地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。
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