かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買いもの:ツェムリンスキー 弦楽四重奏曲全集2

今月のお買いもの、平成24年12月に購入したものを取り上げています。今回はツェムリンスキーの弦楽四重奏曲全集から2枚目です。

2枚目は第3番と第4番、そしてアポステルという作曲家の弦楽四重奏曲第1番が収録されています。で、実はこの2枚目こそ、この全集が一体何を意味するかを明白に語っているのです。

どういうことなのか。もう一度、ウィキからツェムリンスキーの説明を挙げておきましょう。

アレクサンダー・フォン・ツェムリンスキー
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AC%E3%82%AF%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%84%E3%82%A7%E3%83%A0%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%BC

第1集を取り上げた時、第1番と第2番とでは音楽がまるっきり異なると述べたと思いますが、第3番と第4番も基本第2番と同じ様式であり、新ウィーン主義の、不協和音が羅列された音楽です。

で、一方のアポステル。実は彼も新ウィーン主義の作曲家です。

ハンス・エーリッヒ・アポステル
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%82%A8%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%92%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%9D%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%AB

ツェムリンスキーから見れば孫弟子にあたる人です。つまり、このディスクはツェムリンスキーの弦楽四重奏曲全曲を縦糸とし、新ウィーン主義音楽の紹介を横糸にしたアルバムなのです。

それが分かりますと、このCDはとても面白いものです。実際、このCDは持っている方も多いものなのですが、正当な評価がされているかといえばそれは必ずしも私は正当ではないと思っています。

ツェムリンスキーは評価されていますが、アポステルがまだだなあと思います。なんか、亜流というか、競馬でいえば馬群に沈んだ競走馬のように評価されていることが多いように思われます。

実際、アポステルの第1番は、ツェムリンスキーよりもさらに明確に不協和音多用に傾いていて、聴き手に頭を使わせます。その上で古典的な4楽章に収まっているという作品で、第1番としてはかなりの意欲作であると思います。

作曲されたのが1935年ですから当然とはいえ、確実にバトンが渡されていることが、この一枚で私たちは知ることが出来るのです。こんな幸せはありません。

師匠ツェムリンスキーの第3番と第4番は、第3番が1924年、第4番が1938年ですが、その作品たちとアポステルは全く引けを取らないのです。第1番作品7ですよ・・・・・

若い才能が、ベテランに交じっても遜色がないことに、驚かされます。どうしても名前だけでツェムリンスキーのほうを評価したがるものですが、私はツェムリンスキーだけではなくアポステルもしっかりと評価したいと思います。

それはラサールの演奏が素晴らしいということもあるのでしょう。ごちゃごちゃ弾くのではなくしっかりと一音一音を弾いていることで、音の一つ一つが浮かび上がり、私たちに各々の作曲家の魅力を十分に伝えてくれます。

その表現はまた、不協和音多用の音楽にもしっかりと人の命が吹き込まれていることを教えてもくれます。憂いかあるいは嘆きか、叫びか・・・・・どれもかも知れませんし、どれかかも知れない。私たちに想像させることで、作曲家がどんな「想い」を作品に込めたかを、私たちに考えさせるのです。

それが以前の私であればあまり好まなかったのですが、今ではすっかりとそうやって聴くことが身についています。ですから、ツェムリンスキーのような作曲家の作品も、私の中で大切なものとなりつつあります。

ラサールの演奏でツェムリンスキーやアポステルの音楽に出会えたことは、とても幸せであり、感謝したいと思います。



聴いているCD
アレクサンダー・フォン・ツェムリンスキー作曲
弦楽四重奏曲第3番作品19
弦楽四重奏曲第4番作品25
ハンス・エーリッヒ・アポステル作曲
弦楽四重奏曲第1番作品7
ラサール弦楽四重奏団
(ブリリアント・クラシックス 9188)

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。



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