かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

コンサート雑感:中央大学音楽研究会混声合唱部第九演奏会を聴いて

コンサート雑感、今回は昨年12月22日に行われました、中央大学音楽研究会混声合唱部の第九演奏会を取り上げます。

実は、2012年にも第九を取り上げており、そのチケットを取っていたのですが・・・・・行くことがかないませんでした。

中大混声は最近2年ごとくらいに第九を取り上げています。そのため、わたしは2013年は第九はないとばかり思っていたのですが、なんと今年も第九を演奏すると知った時の、その驚きと感謝と言ったらないです。

こんなこともあるのか・・・・・そう思いました。行くことがかなわなかった演奏会に、行くことが可能になることの喜びを、これほど感じたことはありませんでした。

会場はオリンパスホール八王子。正式名称は新八王子市民会館。かつての八王子駅貨物ヤードに立っています。ネットで検索した限りでは、とても音響のいいホール。実際、そうでしたが。

さて、中大混声に関しては、わたしもいくつかエントリを挙げています。

音楽雑記帳:中央大学学友会文化連盟音楽研究会混声合唱部第九演奏会を聴いての雑感
http://yaplog.jp/yk6974/archive/490

コンサート雑感:中央大学音楽研究会混声合唱部第48回定期演奏会を聴いて
http://yaplog.jp/yk6974/archive/771

コンサート雑感:中央大学音楽研究会混声合唱団創立60周年記念演奏会を聴いて
http://yaplog.jp/yk6974/archive/859

コンサート雑感:中央大学音楽研究会混声合唱部第49回定期演奏会を聴いて
http://yaplog.jp/yk6974/archive/1051

ここまで聴いてきたなかで感じるのは、全体的にアンサンブルの特徴が学年を超えて継承されているという点です。それはつまるところ、合唱団としての特色ということになります。軽めの発声が特にそうだと言えるかと思います。

え、そんなこと当り前では?と思われるかもしれませんが、4年で卒業する学生合唱団で、それを特色づけていくことはアマチュア合唱団にいた経験を持つ私としては、とても大変なことだと分かります。入ってくる学生の全体的な特色が、合唱団の色付けを買えてしまうことはよくあるからです。

例えば、川崎市の合唱まつりに参加していた頃、多摩高校の合唱部の演奏を聴く機会に何度か恵まれましたが、先生が変わればアンサンブルも変化しますし、学年が違うとまた変わってくることもあったからです。

しかし、中大はここ何年か、それがありません。むしろ軽めの発声にこだわって、それを継承してきています。そのために必要なのはしっかりとした指導と、OBOGとの交流です。それなしには継承はなかなか難しいと思います。

社会人アマチュア合唱団では、それは比較的簡単なのです。みな社会人経験を持っているため、なぜその特色があるかの理解も早いですし、また入れ替わることも少ないからです。それと同じことを、入れ替わりが激しい学生合唱団でやっているというのは、奇跡だと思います。

その軽めの発声が、今回の演奏会ではとてもいい効果を与えていたと思います。まず第1曲目のメンデルスゾーン「野に歌う6つの歌」第三集作品59はアカペラの作品ですが、軽めの発声がのびのびとした印象に繋がっており、作品のコンセプトである「文学青年が野に歌う」という点をしっかりと具現化していたように思います。

続く第九では、室内オケとの相性が抜群です。どうしても第九はロマン派という解釈も成り立つため、重々しい演奏になることも多く、重厚なアンサンブルを求めがちですし、またそういう演奏もいいものなのですが、しかしベートーヴェン自身は古典派の範疇から完全に外れているわけではありません。特に第九の第3楽章までは古典派の絶対音楽と言っていいと思いますので、けっしてロマンティックな演奏のみが第九であるはずがありません。

その視点でいえば、室内オケによるきびきびとした演奏に軽めの発声は、アンサンブルとしては相性抜群であるわけです。全体的に自然な演奏ができていたと思います。

その上でさらに、生き生きとしてかつドラマティックでもあったことが、今回の演奏の素晴らしい点でしょう。特に男声の力強さには感動しました。いつも私が取り上げるvor Gott!の部分が特段変態演奏ではないその後の、ppからfへと移りながらうたいあげていく部分は、鳥肌が立ちました。ここ最近でそれだけ鳥肌が立った第九の演奏は、この中大以外では川崎市民第九だけです。

女声、特にソプラノが多少ぶら下がり気味だったのが惜しまれますが、それも気になるほどではないですし、全体としては生命力のある、人々に勇気を与える素晴らしい演奏だったと思います。

第九が背景に持つ精神として、苦悩にある人々に寄り添い、生きる勇気を与えるという点が挙げられると私は思うのですが、それが完璧に近い形で具現化されていたように思います。

久しぶりに男泣きに泣いた演奏でした。次もまた機会があれば、聴きに行きたいと思います。



聴きに行った演奏会
中央大学音楽研究会混声合唱団第九演奏会
友利あつ子(ソプラノ)
西本会里(アルト)
大久保憲(テノール
大森いちえい(バス)
白石卓也指揮
アレクテ室内管弦楽団
中央大学音楽研究会混声合唱

平成25(2013)年12月22日、東京八王子、オリンパスホール八王子大ホール

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。



このブログは「にほんブログ村」に参加しています。

にほんブログ村 クラシックブログへ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ クラシックCD鑑賞へ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ 合唱・コーラスへ
にほんブログ村