かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:カラヤン/ベルリン・フィルの第九

神奈川県立図書館所蔵CD、今回はカラヤン/ベルリン・フィルの第九を取り上げます。

この音源を借りましたのは2年ほど前なのですが、そのあたりは毎年年末に第九を借りるというのが私の中の決まりになっていました。ですので、例えば先日とりあげたセル/クリ―ヴランドを借りていますし、このカラヤンのもその一つでした。

どうも、カラヤンという指揮者は日本では人気があるんだかないんだかわからない指揮者だと言えましょう。好き嫌いがはっきりと分かれてしまうように思います。

私は決して嫌いな指揮者ではなかったのですが、ベートーヴェンのものは聴かないという不文律を自分の中で持っていました。どうせデータだから、どうしても嫌なら消せばいい、そんな感じでこの音源を借りてきたのです。

ところがです、不思議なもので、押しては返す波のように、感動が私に打ち寄せてくるのですね・・・・・

あれ?カラヤンベートーヴェンって、こんなに良かったっけ・・・・・

そういえば、なのです。私が一番最初に聴いたカラヤンは、実はベートーヴェンです。英雄と、ピアノ協奏曲第5番「皇帝」。家にあったLPです。この二つだけはカラヤンのはないかと、昔ずいぶん探し回ったものです。

以前もカラヤンは何度か取り上げていますが、カラヤンはテンポの快速ぶりから、伝統を壊したようにみられるように思うのですが、私としてはモツレクで、そうではないと教えられましたし、また、シベリウスでは決してテンポとしては快速ではないということも教えられています。

つい最近でも、ハイドンの「四季」でも同じことを言ったかと思いますが、カラヤンはきちんとスコアリーディングをする指揮者です。実はそれに気づいたことで、もしかすると今なら聞けるかも、ということでも借りています。そして、それは見事に辺りだったという訳です。

自分は何を食わず嫌いで来たんだろう・・・・・あー、もったいない!

つまりはです、カラヤンは「積み上げる」指揮者なのです。その手腕にたけているんですね。もっと言えば、統率力。生前、「皇帝」と言われただけあります。ベルリン・フィルのアンサンブルの素晴らしさは言うまでもないですが、実はそれこそ、カラヤンの「音楽性」の本質なのに、気づかなかった・・・・・

そういう人は、多いのではないでしょうか。カラヤンは快速だから・・・・・まあ、人によって好きなテンポってありますからそれはいいのですが、だからと言って全部だめというのは早計な気がします。少なくとも、カラヤンに関しては私はそう言いたいと思います。

全体のバランスを取るのがとても難しい第九を、十分に統率して、「情熱と冷静の間」のバランスを十二分に取っています。特に第4楽章は、合唱団に情熱的に歌わせながら、しかし冷静さも失わせないよう、それこそテンポに十分気を配っているのが分かります。特に二重フーガは、カラヤンは快速だからと思われている人は是非とも聴いてほしいと思います。ものすごく遅いんですから!

この音源は今でもCDでよく売られている1983年の録音ですが、合唱団に取っては歌うのが大変な指揮をしています。つまり、基本的にカラヤンはこの第九を交響曲としてとらえているということになります。その上で、第九という作品が持つ特徴、古典派からロマン派にかけての作品としての性質を持つことを十分に理解したうえでの指揮であるとうことがそのテンポの点だけでもわかるのです。

一つ目が、常に問題にするvor Gott!の部分。Gott!をなんと8拍伸ばしている・・・・・変態です、これ。あまり指摘されませんけれど。この変態ぶりは本当に合唱団としては困るんですよねえ。でも、聴いているほうはとても感動するという訳です。その上で、二つ目がすでに指摘した二重フーガなのです。これもテンポがものすごく遅い・・・・・い、息継ぎがあ〜つ、つづかないよお〜

合唱団のそんな嘆きが聞こえてきそうです。でも、そのことによって緊張感が生み出され、感動するのですね。

第1楽章から第3楽章までは快速で古典派的、第4楽章は快速な部分とそうではない部分を組み合わせる。そのことで全体的にロマンティックさとドラマティックさを形成し、人々を感動の渦に巻き込んでいく・・・・・

やはり、食わず嫌いはいけませんね。



聴いている音源
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
交響曲第9番ニ短調作品125「合唱付き」
ジャネット・ペリー(ソプラノ)
アグネス・バルツァ(アルト)
ヴィンスン・コウル(テノール
ホセ・ヴァン・ダム(バリトン
ウィーン楽友協会合唱団(合唱指揮:ヘルムート・フロシャウアー)
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団



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