かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:カラヤン、フィルハーモニア管によるベートーヴェン交響曲全集3

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、カラヤン指揮フィルハーモニア管によるベートーヴェン交響曲全集の第3集です。第4番と第5番が収録されています。

この組み合わせは珍しくはないですが、あまりこういうカップリングにはならないですね〜。全集ならではだと思います。

とは言え、この第3集には明らかな編集方針が見て取れます。それは、「カラヤンって、本当に快速?」ってことです。

例えば、第3番「英雄」のような激しさがあるのかと言えば、実はそれほどでもないですし、特に第5番「運命」はベルリン・フィル時代のような快速で突っ走るのではなく、第1楽章だけ、嵐のように快速で突っ走り、後はどっしりとした演奏になっているのです。

これはおそらく、「カラヤンは外面だけで」という人はびっくりされるのではないでしょうか。テンポは作品の解釈を示す一つのバロメーターですが、ここでカラヤンは明らかにベルリン・フィル時代とは少し違った解釈を示しています。

特に第4番で顕著です。むしろクライバーのほうがテンポは速めだと思います。そしてそのクライバーのほうが生き生きとしています。けれども、このカラヤンの指揮も、ヴァントなどと同様とてもオーソドックスで、ベートーヴェン交響曲が持つ荘厳さが存分に生かされています。

こういう演奏を聴きますと、評論と言うのは本当に様々なものを読まないといけないよなあって思います。これを知っているからこそ、例えば私は吉田氏の評論も、宇野氏の評論も、同列にならべ、読み、考えるのです。私たちは聴衆であって、評論家の弟子でもファンでもありません。弟子やファンならその師匠やスターに酔っていていいと思いますが、私はあくまでも一聴衆を貫き通したいと思います。

それは私自身の、アマチュアとしての演奏家経験が大きく影響していると思っています。少なくとも、アマチュアとして楽譜と格闘してきた自分の経験からすれば、吉田氏であろうが宇野氏であろうが、それは一つの印象あるいは意見でしかなく、一番大切にすべきなのは、楽譜と格闘するなかで自分がどう感じたか、です。例えば、これは裏話ですが、私は一番最初に購入した第九のヴォーカル・スコアの、二重フーガ直前不協和音の部分に「お薬師様を拝むように」と書き込んだのです。

私たちはキリスト教徒ではないですから、神様を拝むと言ってもピンとこないわけですが、当時大学2年生だった私は、当時入っていたサークルでの経験から、仏像を拝むような気持ちで、荘厳さを出すアンサンブルに加わろうとしました。それが全体を壊さず自分の気持ちを込める一番適切な方法だと思ったからですし、それは大学のサークルでの経験が大きかったわけです。それがその書き込みにつながりました。以後、第九を歌うとき必ずその書き込みを見て、ここは寺院の講堂などで仏像を拝むような気持ちで、と意識したものです。

その経験から、私は、評論家の意見は一聴衆としての印象であり、それは人の数ほど異なるのだと体感しました。その私の解釈で何ら問題なかったからです。指揮者になにか言われたこともありません。だって、それで別に指揮者をこき下ろすわけではないですから、当然の話です。

聴衆であれば、まさに別に自分がどう感じたかですから、全く問題ないと言えます。カラヤンについても、私はその姿勢を貫き通したいと思います。どんなに他の指揮者を侮辱していると言われようとも。恐らく、名指揮者たちが生きていれば、むしろ私の姿勢こそ正しく、「他の指揮者たちを侮辱している」という連中は、私たち巨匠のことなど何も理解などしていないぞとおっしゃるはずだと信じているからです。

まあ、それを教えてくださったのは、宇宿允人氏だったのですが・・・・・それは以前、追悼のエントリで書いたことがあったかと思いますので、そちらに譲ります。少なくとも、そのようないろんな指揮者との関係性の蓄積が、私の「カラヤン嫌い」をと化して行ってくれたことは間違いないと思っています。いろんな感情も当時沸きましたが、今では感謝しています。




聴いている音源
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
交響曲第4番変ロ長調作品60
交響曲第5番ハ短調作品67「運命」
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮
フィルハーモニア管弦楽団

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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