かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:牛込の獅子舞2

神奈川県立図書館所蔵CD、横浜の民俗音楽を取り上げています。今回はその第2回目、牛込の獅子舞の2枚目です。

そう、この音源、CD2枚組なんです。つまり、それだけ演奏時間が長いということになります。

牛込の獅子舞、もう一度説明を上げておきましょう。牛込とは、現在の横浜市青葉区美しが丘からあざみ野近辺の旧地名です。実際には舞が舞われる驚神社や神明社がある地域も含まれますので、元石川や新石川という住居表示も含まれていいでしょう。駅としては、東急田園都市線のたまプラーザ、或いは東急田園都市線横浜市営地下鉄ブルーラインあざみ野駅のあたりになります。その地域に300年ほど前から伝わる獅子舞で、関東信越地域でポピュラーな様式をもちます。

青葉区文化財/牛込の獅子舞
http://www.city.yokohama.lg.jp/aoba/70guide/bunkazai010.html

この音源には歌詞もついてくれています。著作権の関係で出すわけにはいきませんが、なるほど〜という内容になっています。

牛込の獅子舞にはストーリーがあります。獅子は実は男女となっており、喧嘩をしつつも仲直りして、大円団となります。雄獅子が2頭、雌獅子が1頭なのですが、まるで男性二人が女性1人を奪い合うようなストーリーです。それでも、最後は仲直りする・・・・・

深く考えてみれば、それはかなりどろどろとした部分があるはずですが、それにはあまり触れず、けんかしつつも仲直りするというストーリーに仕上がっています。それはまさしく、神に奉納するという意味を持っているからだと推測されます。

そもそも、獅子というのは破邪(悪をはねのける)という意味を持っているため、そういった男女のドロドロとしたものがないように神に願うとと共に、それをレトリックとして、天下泰平を願うという意味が込められているものと考えられます。牛込の獅子舞に関してははっきりとそうであるという口承も史料もないのですが、様々な歌詞や踊り、ストーリーからそう推測して間違いないと思います。

そのストーリーに、舞と歌が付けられていまして、歌はカンタータや受難曲のレチタティーヴォの役割を果たし、その後に獅子舞が来るという構成になっています。そのレチタティーヴォである歌は、実は直接男女の関係を歌ったものではありません。しかし、踊りに喧嘩があり、また仲直りもあることから、私はそれが天下泰平への願いを込めたレトリックだと推測するのです。

実際、天下泰平は「幟」で掲げられている、祭りのメインテーマの一つです。ですから、当然ともいえるのです。ただ、それを直接的に言うのではなく、踊りと歌で様々な意味をも持たせるという点が、バロック音楽に通じる精神を持っているのです。ですから前回、日本は江戸時代によって西洋音楽を受容する準備が整えられたと主張したわけなのです。

しかし、こういう人もいることでしょう。それは横浜北部のことであり、日本全国のことではないでしょう?と。そうでしょうか。青葉区のサイトでもこうあります。

「この獅子舞は『関東・東北・信越地方に分布』する一人立ち三頭獅子舞の『横浜』における代表的な存在。」(二重のものは筆者註)

この出典は、実はこの音源の解説なのです。さらに、ウィキで「獅子舞」を紐解いてみましょう。

獅子舞
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%8D%85%E5%AD%90%E8%88%9E

ここでも、日本国内では大きく二つに分かれること、そしてその一つの東日本のものは広い地域に分布していることが解説されています。マスゴミはうそつきでネットこそ真実を語っているという方々は、この事実をなんとしましょうか?

ウィキでいう「風流系」はまさしく、この牛込の獅子舞であり、そしてこの記述は注目だと思います。

「風流系の獅子舞は関東・東北地方に主に分布している。1人が1匹を担当し、それぞれが腹にくくりつけられた太鼓を打ちながら舞う。東北の一部には7〜8頭で1組の鹿踊もあるが、もっとも多いのは3匹1組の三匹獅子舞であり、東京・埼玉などのかつて武蔵国と呼ばれた地域の農山村では一般的な郷土芸能・民俗芸能となっている。3匹のうちの1匹は女獅子(雌獅子)と呼ばれ、雄獅子が雌獅子を奪い合う女獅子隠しという演目を持つところが多い。」

全く同じであることに驚かれることでしょう。それが、この音源では単に文章だけではなく、音楽でも聴くことが出来ます。その風流系の獅子舞の実際はどんなものなのかが、少なくとも音楽で理解できるわけなのです。ただ、実際は舞があるわけですから、できればDVDも貸し出していただけますといいなあと思います(実際、青葉区役所では貸出可能)。

こういった資料を持つ県立図書館を、単に利用率が低いという理由のみで所蔵庫としてだけにしていいのでしょうか?私には疑問に思えるのです。単に本を貸し出している、或いは閲覧させているだけではないのです。それを加速させたのは安易なネット崇拝であるというは、言いすぎなのでしょうか。

少なくとも、この音源は私に民俗音楽、ひいてはそれを存分に使っている、新古典主義音楽にや同時代の東欧の作曲家への興味を勃興、加速させるものとなったのでした。そんな音楽が自らの街にあることを、私は誇りに思い、後世に伝えていこうと思っています。氏子ではないので祭りにかかわることはできませんが、応援団としての役割は果たしていこうと思っています。




聴いている音源
横浜市・神奈川県指定民俗無形文化財 牛込獅子舞
牛込獅子保存会



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