かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買いもの:白川毅夫 作品集・編曲集スペシャル

今月のお買いもの、10月に購入したものをご紹介しています。今回は白川毅夫氏の自作自演集で、編曲ものも入っています。

白川毅夫氏は何度もこのブログで取り上げていますが、このCDは彼の演奏会で買ったものです。いつかと言いますと・・・・・

コンサート雑感:白川毅夫・川辺千香子コンサート「クラリネットの魅力・私のお気に入り」
http://yaplog.jp/yk6974/archive/1061

なぜかと言いますと、実はこの時の演目が二つ、このCDには収録されているからです。それは、「アムゼルの森」と「無伴奏クラリネットのための『舞』」。

この2曲がまず冒頭に来ていることで、チョイスしたようなものです。本来はこれを聴きながらコンサート評を書きたかったのですが、様々な事情でやっぱり順番となりました(基本的に、まだ封を切っていないものを飛ばして後に購入したものをご紹介するということはしない主義なので)。

全体的に演奏面で思ったことは、再生装置で印象がまるで違うという点なのです。まず、パソコンで聴いてみたのですが、白川氏のいつもの勢いがないなあと思ったのです。初めはスタジオ録音なのかなと思いましたが、拍手が入っていることから明らかにライヴなんですね。うーん、なぜなんだろう・・・・・明らかに、ライヴで録音したものを編集しているはずなのに、と。

特に、一番最初の「アムゼルの森」はピアノ、クラリネットともに動き回る部分が聴きどころなのです。クラリネットと言いますとゆったりとした温かい音色という印象がありますし、もちろん白川氏もそうなんですが、しかし「アムゼルの森」に関しては、基本的に鳥のさえずりを表現した曲なので、その鳴き声であるクラリネットの音色を楽しむという特色があるからです。生き生きとした鳥のさえずりがピアノと相まって森の中にこだまする・・・・はずなんですが。

なぜか、森の中で他の音にかき消されてしまっているような印象を受けます。ところが、据え置きデッキで聴いてみますと、途端に生き生きとさえずりだすんです!

それは、パソコンが非力だからでは?という意見もあるかも知れません。この演奏に関してはそれは言えるかもしれません。メディアがCDですので、ありえない話ではありません。それと、スピーカーの歴史もあるでしょう。しかし、図書館から借りてきてリッピングしてあるものはさほど悪い音とは感じないのです。それはデータであるせいでしょう。

ですから、私はパソコンだから非力であるとは言いたくないんですが、CDを再生するという点に於いては、正しいと思います。パソコンのアンプやスピーカーの性能によって違いが出て来ますし、また音の設定(色づけと言ってもいいかもしれません)の違いもあるでしょう。今回はナチュラルなデッキのほうがより再現性に優れているようです。

他の編曲ものは特段差はなかったと言えるでしょう。変奏曲が二つ、「大きな古時計」と夏の思い出のものがありますが、どちらも変奏曲の醍醐味を聴かせてくれます。クラシックのものも古典派やバロックの時代では、ポピュラーだった旋律を使って、自家薬篭中のものにして自分自身の芸術へと変えて、昇華させています。これも現代音楽の一つだと言えましょう。

つまり、現代音楽とは不協和音が響くものだけを意味しません。旋律的にポピュラーでわかりやすく聴きやすいものだって立派に現代音楽なのです。簡単な旋律だからと言ってそれは芸術ではないと言ってしまうと、現代音楽の深さを見失うような気がします。

先日、ピアノを弾く方と話をする機会に恵まれましたが、以前吉松氏のピアノ曲はわかり安くて簡単すぎてひどいというコメントをいただきましたが、尋ねてみますと聴くと弾くとは吉松氏の作品は大違いとのことで、やはり私の見立て通りだったと納得した次第です。機会がありましたら、吉松氏の作品も取り上げてみたいと思っています。

こういった視点をもたせてくれるのも、こういった編曲ものの特徴でして、まさしくクラシックはまるで大海原の如く広く、深く、そして面白いものだなあと思います。簡単な旋律からも様々なことを教えてくれます。

他の編曲ものでは、ちょうど今年はドビュッシーイヤーですが「亜麻色の髪の乙女」(前奏曲集第1巻第8曲)も興味深いと思います。複数のクラリネットバスクラリネットによって紡ぎだされるドビュッシーのピアノ作品は、原曲はまさしく象徴主義的な音楽であるのに対し、まるで前期ロマン派の音楽へと様変わりをしたかのようなすっきりとした音楽で、やはりドビュッシー前奏曲集を書いた時期は少なくとも印象派的な音楽ではないのではないかという気がしてきます。

いろんな「気づき」を与えてくれる、興味深く喜びを感じるCDだと思います。店頭では販売していませんので、ご興味がある方は是非とも白川氏のコンサートへ足を運んでみてはいかがでしょうか。



聴いているCD
白川毅夫 作品集・編曲集スペシャ
アムゼルの森
無伴奏クラリネットのための「舞」
ロマンス
お祭り
大きな古時計変奏曲
愛のあいさつ
フルート、クラリネット・ピアノのためのファンタジア
夏の思い出変奏曲
亜麻色の髪の乙女
Memories
白川毅夫(クラリネット
川辺千香子(ピアノ)
(TKM-3007)



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