かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買いもの:シューマン レクイエム

今月のお買いもの、10月に購入したものを取り上げています。今回はディスクユニオン新宿クラシック館で購入した、シューマンのレクイエムのCDを取り上げます。サヴァリッシュ指揮、バイエルン放送交響楽団及び合唱団他の演奏です。

シューマンの合唱曲はこのブログでもミサ曲とミニョンへのレクイエムを取り上げていますが、実はこのCD、カップリングとしてミニョンへのレクイエムが収録されているので、それは2度目となりますが、レクイエムは初めての登場となります。

というよりも、このレクイエム、あまり有名ではないように思います。実際、以下のサイトでも珍しいとのコメントが付いています。

シューマンのレクイエム
http://novelletten.blog69.fc2.com/blog-entry-434.html

いや、これだけ説明があるのはまだ素晴らしいことだと思います。ウィキに至っては説明らしきものは全くないんですから・・・・・

レクイエム (シューマン)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AC%E3%82%AF%E3%82%A4%E3%82%A8%E3%83%A0_(%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%83%B3)

構成的に珍しい点は特にありません、ごく普通のレクイエムなんですが・・・・・

怒りの日がありながら、それはあまり煉獄のような音楽になっておらず、全体的に癒しというか、精神世界というか、そういった側面を描いている作品です。その点こそ、この作品の特色だと思います。

解説文では、シューマンの「彼岸」への想いというものが反映されているとありますが、なるほど、そういう側面はあると思います。まるで、西方極楽浄土のような・・・・・あるいは、東方瑠璃光浄土でしょうか。

仏教では、二つの浄土があるとされ、それを寺院として現出させたのに京都と奈良の県境にある浄瑠璃寺がありますが、その浄土式庭園、あるいは、浄土を建物として現出させた、兵庫県浄土寺浄土堂及び阿弥陀如来像のような、そんな音楽のような気すらします。

浄瑠璃寺
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B5%84%E7%91%A0%E7%92%83%E5%AF%BA

公式HP
http://homepage2.nifty.com/ashibinomise/joururizi.htm

浄土寺 (小野市)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B5%84%E5%9C%9F%E5%AF%BA_(%E5%B0%8F%E9%87%8E%E5%B8%82)

公式HP
http://www.city.ono.hyogo.jp/p/2/7/4/

特に、5曲目「Qui Mariam absolvisti」では、浄土寺において、夕方阿弥陀三尊像に夕日が差し込む、神々しい姿(絵画の来迎図を現出させたものと言われる)が目に浮かぶかのような音楽がそこに存在します。それは例えば、ブルックナー交響曲とは一味違った、渋く落着いた世界を私たちに現出させています。

それは、サヴァリッシュの指揮だからという側面もあるかもしれませんが、一方でカップリングのミニョンへのレクイエムは比較的激しく、基本的に端正な音楽づくりを行うサヴァリッシュの手法からすれば、やはり音楽そのものが基本的に持つ特色だと言えると思います(しかもオと合唱はアンサンブルの素晴らしいバイエルン放送響!)。だからこそでしょう、一番最初に取り上げたブログ主さんがおっしゃるように「泣きたくなる」のだと思います。

そもそも、この作品はシューマン晩年の作品で、1850年9月に作曲されました。当時彼はドレスデンからデュッセルドルフへ移ってきて、音楽監督の仕事に就きましたが、彼が死ぬのがその6年後です。その頃から死というものを意識していたかといえば通常はそんなことはないとされており、重要な作品を移ってすぐいくつも生み出しています。しかし、躁鬱というものはある日突然発症するものですが、伏線は必ずあるもので、彼がそもそも、彼岸という「精神世界の彼方」へ興味を持っていたということは、自らの身体的なハンデに対し、忸怩たる思いを持っていたことに起因するように思います。

ロベルト・シューマン
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%99%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%83%B3

レクイエムという作品を書くことは多くの作曲家にとってけっこうしんどい作業です。やはり死をテーマとするのですから。シューマンはレクイエムと名がつく作品を他にもう1つ作曲しており、実はライフワークとも言えるのですね。そういったシューマンの「影の側面」をかんがえた時、端正な音づくりからはやはり哀愁というか、まさしく仏教でいう「浄土への憧れ」という側面が強く出るのは、当然のことではないかと思います。

それが、キリスト教徒であるシューマンによってというのが、この作品を語るうえで重要であるように私には思います。ブックレットによれば、シューマンは自分を「宗旨をもたぬ宗教的人間」と語ったそうで、なるほど、だからこそ宗教を超え、まるで仏教の世界観のような作品が出来上がったのだなと思うのです。

以前、アメリカのW.シューマンを取り上げましたが、ロベルトにもまだまだ、隠れた名曲がたくさんありますね。



聴いているCD
ロベルト・シューマン作曲
レクイエム 変ニ長調作品148
ミニョンへのレクイエム 作品98b
ヘレン・ドナート(ソプラノ、レクイエム)
シュリー・カウフマン(ソプラノ、ミニョン)
マルヤーナ・リポブシェク(アルト、レクイエム)
ビルギット・カルム(アルト、ミニョン)
トマス・モーザー(テノール
ヤン・ヘンドリック・ローテリング(バス)
ヴォルフガング・サヴァリッシュ指揮
バイエルン放送交響楽団及び合唱団
(BMG R32C-1177)



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