かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買いもの:バッハ ギターのための組曲2

今月のお買いもの、10月に購入したものをご紹介しています。今回はバッハのギターのための組曲の2枚目を取り上げます。

昨日1枚目を取り上げた時にもご紹介しましたが、バッハ自身はギターのための曲を書いてはおらず、リュートのためのものは書いています。この2枚目は殆どがリュートのための作品をその後世の楽器であるギターで演奏しているものです。

このCDの聴きどころは、まさしくバッハがリュート用の作品をギターで演奏するとどうなるかだと思います。つまり、モダン楽器で演奏するとどうなるか、ということでもあります。

え、リュートはモダンじゃないの?という方もおられるかもしれません。しかし、現代に於いてリュートはメジャーな楽器ではなく基本的に古楽器の範疇に入ります。

リュート
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%88

分かりやすい例を言えば、リュートの派生楽器、琵琶は現在メジャーでしょうか。そうとは言えませんね。そこから発展した三味線が主流ですね。その関係に近いのです。そういえば、リュート正倉院宝物の螺鈿紫檀琵琶そっくりな形をしています。もう終わってしまいましたが今年の正倉院展でも展示がなされていました(実は、お休みをいただいたのは正倉院展へ行くためでした)。

正倉院の宝物
螺鈿紫檀五弦琵琶
http://saisaibatake.ame-zaiku.com/gakki/music_biwa_shosoin.html

もし、この楽器が鳴らせれば、どんな音になるのでしょう?このところ、毎年正倉院展では展示楽器の音が館内に流れますので、復元のものでもいいので実現するといいなあと思います。勿論、リュートの音のほうが手っ取り早いのですが・・・・・

というのも、日本にも幾人かリュート奏者がいらっしゃいますので、琵琶よりも本物のリュートに接するほうが機会としてはおおいのです。

そう、このCDも、ではリュートだったら・・・・・と想像できる点が、優れていると思うのです。

収録されているのは、リュート組曲BWV995、997〜1000の5曲で、うちもともとリュートのための作品がBWV997〜999で、995と1000はそれぞれチェロとヴァイオリンがもともとの楽器となります(995が無伴奏チェロ組曲第5番、1000が無伴奏ヴァイオリンソナタとパルティ―タ第1番ト短調のフーガ楽章)。本来の楽器で聴けば異なる印象がするはずなのに、それをリュートの後世楽器であるギターで聴きますと、なんと同じ印象となるのでしょう!

これが、バロック期の作品の妙味だと思います。たとえば、995は原曲がチェロ組曲ですが、チェロですとほとんどの演奏者が重々しく演奏する第5番を、ギターですと軽やかです。しかし、それに違和感を感じないのです(調性は一緒であるにも関わらず、です。必ずしも一緒の調性になるとは限らないのですが、同じ弦楽器で弦の数も近いということで同じになったとみるべきでしょう)。

これもありなんだなあと思います。もしかすると、チェロでもアリなのではないかと思わせるほどの説得力を持つ演奏となっています。本来重々しい第5番が、見事にBGMに相応しい軽やかさをもち、新たな生命を吹き込まれたかのようです。

元々リュートのための、997〜999も魅力的です。その中には997のように本来楽器であるリュートでも演奏が難しいとされる作品も入っていますが、そんなことはみじんも感じさせません。ただ、実際ギターで演奏する場合でもとても大変であるようで、以下のものはBWV1000の例ですが、特にフーガは演奏面で頭と体と共に使わないと難しいとのことで、興味は猶更つきません。

J.S.BACH フーガ BWV1000
http://naoguitar.seesaa.net/article/80863031.html

この方は今、このCDが出ていることをご存じなのでしょうか?もしいまでも演奏する情熱をお持ちなのでしたら、教えてあげたい一枚です。

こういった難しい部分がある作品を、アッタデモは涼しい風で演奏しているのです。徹頭徹尾、軽やかさと哀愁が同居し、重々しい雰囲気は全くありません。バッハの無伴奏ソナタが持つ別の一面を呈示してくれているのが、嬉しいですね。このCDを聴けば、バッハというだけで難しい顔になる方もきっと、親しみを持つかと思います。



聴いているCD
ヨハン・セバスティアン・バッハ作曲
リュート組曲ト短調BWV995
リュート組曲ハ短調BWV997
プレリュードとフーガとアレグロ 変ホ長調BWV998
プレリュード ハ短調BWV999
フーガ ト短調BWV1000
ルイジ・アッタデモ(ギター)
(Brilliant Classics 94294/2)



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