かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買いもの:バッハ ギターのための組曲1

今月のお買いもの、今回はバッハのギター組曲をご紹介します。ブリリアント・クラシックスから出ているもので、ルイジ・アッタデモのギターで2枚組。銀座山野楽器本店での購入です。

このCDを買ったのも、前回のリコーダーと同じ「嗅覚」だったのですが、伏線はあります。

神奈川県立図書館所蔵CD:モーツァルト・リスペクト3
http://yaplog.jp/yk6974/archive/1050

この時のエントリでご紹介した、ソルが伏線なのです。その後、同じ県立図書館でギター協奏曲も借りてきていますが、それはまた別の機会に(こういったライブラリがあるため、県立図書館を簡単に閉鎖するべきではないのです。どうしようもないのなら、そのライブラリが他の図書館で簡単に借りられるよう、手配すべきです。このライブラリは「宝」なのですから)。

バッハの組曲を、古典派によってようやくメジャーになったギターで演奏するという試みに惹かれたのです。しかも、現代のギターで、です。

ギターは音楽史上の区分では前期ロマン派に於いて発達を遂げ、その時代を古典派と呼びます。

http://guitar-mugen.com/trekisi.html

ですから、バロック期ではギターのための作品が書かれるということはほとんどないと言っていいのです。なのに、このCDのアッタデモは、現代のギターで演奏をするというのです。しかし、それも調べますと面白いことに、バッハ自身がギターでもいいように書いているのです。

それはまず取り上げる1枚目の第1曲目に登場します、リュート組曲ホ短調BWV996がそうなのです。上記に上げたURLで、ギターの祖先にリュートがあったかと思います。そのリュートのためのものは、バッハが書いているのです。しかも彼の創作活動の比較的早い時期であるヴァイマル時代(1712年頃)に、です。

バッハ事典には、この作品は通常のリュートでも演奏するのは難しいとあります。しかし、アッタデモはいとも簡単に弾いて行きます。その軽快で、優雅で、気品のあることと言ったら!

次のBWV1006とBWV1004は共に有名な「無伴奏ヴァイオリン・ソナタとパルティ―タ」の、各々パルティ―タで、BWV1006が第3番、BWV1004が第2番です。特に、BWV1006には有名なロンドーによるガヴォットがありますが、これがギターでも全く遜色がなく、ヴァイオリンと同様の気品と優雅さを持つことを証明しています。というのも、実は無伴奏ヴァイオリン・ソナタとパルティ―タも一部リュートにバッハ自身の手で編曲されており、特にBWV1006はBWV1006aとして全曲がリュート用に編曲されているのです。

そういったことを演奏者であるアッタデモは当然知ったうえで演奏していまして、英語解説がブックレットに載っています。英語力がある方はぜひとも一読してみると面白いと思います。拙い私の英語力で拾い読みしてみるだけでも、1930年前後に同じくギターでの演奏が行われたこと、そしてそれを踏まえたうえでアッタデモ自身も演奏していることが分かります。

それにしても、初めからギター用に書かれたかのようなこれら作品は、こういった編曲を聴きますと一層輝きを増すように思います。これぞバロック期の作品の魅力だと思います。

今までの私であれば、クラシックギターに見向きもしなかったでしょう。しかし、県立図書館のライブラリをきっかけにして、クラシックギターにも開眼しつつあります。翻って見れば、ギターもヴァイオリンも、弾き方が異なるだけで同じ弦楽器であるわけですから、けっして無理な編曲ではないはずなのに、なぜこういった作品を遠ざけ、そもそもギターに全く興味がなかったのだろうと思います。それは多分、あまりにもギターがロックのための楽器という意識が、私だけではなく日本社会に根強かったせいもあるのではないだろうかと思います。以前、mixiでギターをやられているかたにコメントをいただいたことがありましたが、実に的確で私の方がひるんでしまったくらいです。

そう、音楽の解析や楽しみに、垣根などないのです。基礎は同じなのに、ジャンルで差をつけることは全く不毛なことだと、その時教えられたものです。そしてこの演奏が、それにとどめを指したと言っても過言ではありません。

そのきっかけとなるようなライブラリを、お蔵入りさせるようなことだけは、してはならないように思えるのはわたしだけなのでしょうか。できれば、神奈川県教育委員会からコメントをいただけますと、ありがたく存じます。



聴いているCD
ヨハン・セバスティアン・バッハ作曲
リュート組曲ホ短調BWV996
無伴奏ヴァイオリンのための3つのソナタと3つのパルティ―タより
パルティ―タ第3番ホ長調BWV1006
パルティ―タ第2番イ短調BWV1004
ルイジ・アッタデモ(ギター)
(Brilliant Classics 94294/1)



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