かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から〜小金井市立図書館〜:ヴァイス リュートのための作品集1

東京の図書館から、小金井市立図書館のライブラリを御紹介しています。今回はヴァイスのリュートのための作品集の2枚組からまずは1枚目です。

あまり知られていない作曲家、ヴァイス。けれども、当時はバッハとも交流があった大作曲家でした。

シルヴィウス・レオポルト・ヴァイス
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%AB%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%82%A6%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%AC%E3%82%AA%E3%83%9D%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%82%B9

元々リュート奏者なので、畢竟リュートのための作品が多くなります。このアルバムも、そういったヴァイスの作品の特徴を示すものになっています。

まずはプレリュード2曲とカプリッチョ、ファンタジア。弦楽器なのに、どこかバッハの鍵盤音楽を彷彿とさせる魅力的な旋律は素晴らしく、当時としては決して貴族のものとは言いがたいリュートという楽器でこそ気品を持つような気がします。

バロックと言うと、作曲家が自立していない時代であるがゆえに、貴族という側面でしか文化が語られないことが多いのですが、例えば、「マトナ・ミア・カーラ」のような作品があることからも明らかなのですが、じつは庶民の楽器なんです。吟遊詩人たちはリュートをもって各地を回りました。言わば、日本でいえば「平家物語」の琵琶法師たち、なんです。まさに平安時代の琵琶と同じような使い方をしていたのが、同じ弦楽器でもあるリュートという楽器だと言えます。

時代と場所は違えども、おなじような使い方をしていた弦楽器があった・・・・・これは、つい見逃されがちな史実です。じつは、わたし自身がこの音源を借りたきっかけは、そもそもバッハにもギターやリュートのための作品があることを知ったことからだったんです。で、そういえば吟遊詩人たちはリュートだったよな、とたどり着いた時、はっと気づかされたんです。そういえば、琵琶法師もそうであった、と。

日本では、音楽が芸術と認識され、広く親しまれるようになるのはどんなにさかのぼっても江戸時代中期、町人文化が花開く頃を待たねばなりません。ですから、平家物語が音楽でというのは難しかったと言えます。ですから文字で残されました。けれども、琵琶の演奏で語る試みも、西洋音楽がこれだけポピュラーになった今だからこそなされるようになりました。

このヴァイスのリュートのための作品も、そもそもはルネサンス時代に吟遊詩人たちが奏でていた音楽を、芸術の域までに引き上げたものです。バッハも多く作曲しているプレリュードも気品があるのに親しみやすく、しかもバロック時代の音楽特有の舞踊性もあります。素晴らしい作品たちです。

そんなバロック故の特徴がたくさん詰まっているのが、5曲目と6曲目の二つの組曲です。庶民的な音色にバロック特有の舞曲が並び、実に気品あふれ生命力に満ちています。

演奏するキルヒホーフはリュート奏者。じつは結構音源を出していまして、その世界では有名な演奏家です。ギターに似ていてギターではないリュート独特の音色を存分に生かし、洒脱で気品と生命力に満ちた演奏をしています。特に組曲では舞曲をしっかりときかせてくれるので、いいですね。いつしか踊りたくなっている自分がいます。しっとりとしているのに、なぜか体を揺らしている自分がいる・・・・・これは確信犯だなって思います。それは紛れもなく、キルヒホーフ自身がノリに乗って、喜びをもって演奏していることを意味します。

こういう演奏を、例えばリフッシツには求めたいんですよねえ。それが、樫本のヴァイオリンで良くなっている。弦楽器奏者にこういった歌謡性を持つ人が多いのはなぜなんでしょうか。このキルヒホーフも存分にカンタービレしていますし、倍音だとか勿論そういう専門的な部分もあるとは思いますが、にしても、弦楽器では歌う人が多いように思います。この演奏でもいきなり「歌」をかましており、元合唱屋としてはとても嬉しい演奏です。




聴いている音源
シルヴィウス・レオポルド・ヴァイス作曲
プレリュード ニ長調
カプリッチョ ニ長調
ファンタジア ハ長調
プレルディオ 変ホ長調
組曲変ロ長調
組曲ニ短調
ルッツ・キルヒホーフ(バロックリュート

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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