かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から~小金井市立図書館~:バッハの無伴奏チェロ組曲をホルンで吹いてみた

東京の図書館から、小金井市立図書館のライブラリをご紹介します。今回は、バッハの無伴奏チェロ組曲ホルン版を取り上げます。

そう、あのバッハの無伴奏チェロ組曲を、ホルンで吹いてみたら?というものなのです。

聴いている限り、移調しているとは思えませんので、原調のまま吹いています。演奏するは、ラデク・バボラークチェコフィルなど欧州のオケの首席ホルニストを勤め、日本では水戸室やサイトウ・キネンなどで活躍するホルニストです。山形の人には、山形交響楽団の首席指揮者としても知られているでしょう。

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このバボラーク評はその通りだなって思います。このバッハの無伴奏チェロは、チェロで演奏されるがゆえに、カンタービレする作品としてとても魅力あるものですが、そのカンタービレをホルンでも存分にやるんです!まったく違和感がない。これぞプロですね。

考えてみれば、バロック期~古典派の時代は、管楽器が大活躍した時代です。楽器によってはまだ生まれていないものもありますが、管楽器は協奏曲も書かれた黄金期だったといえます。実際、モーツァルトは管楽器の協奏曲をたくさん書いており、私などは携帯音楽プレーヤーにモーツァルトの管楽器協奏曲集を自分で作って聴いているくらいです。

そんな管楽器ですから、チェロのために作曲された作品も全くそん色ないのは当然なのかもしれません。ただ、ホルンに関してはバロックならナチュラルホルンなので、出ない音があります。ベートーヴェンの「英雄」第1楽章では、そのためにホルニストが持ちかえるためのインターバルがわざわざ設けられているくらいです。けれども今のホルンにはバルブが付いていますので、そんな必要もなく、一つで十分です。

このバッハに関しても、現代のバルブ付きだからこそ、可能であるということも言えるでしょう。だからこそ、バッハの編曲ではないわけです。バッハの時代にはおそらくホルン用には編曲できなかったと思いますし、だからこそ初めからホルン用になど編曲しなかったはずです。けれどもそれを楽譜通りに現代のバルブ付きホルンで吹いてみたら面白いはず、というのが根本にあるんだと思います。こういった遊び心、私は大好きです!

現代だからこその遊び心を存分にもったバボラーク。山形の人たちがうらやましくてたまりません!お金に余裕があれば、新幹線に飛び乗って、山形まで彼が指揮する演奏を聴きに行きたいくらいの、魅力的で歌う素晴らしいホルンです。それが「無伴奏チェロ組曲」という、いわば舞曲集であるということもまた、魅力的です。歌い、踊る、その楽しさ!え?日本人にはわからないって?そんなことないはずです。ならなぜ、毎年夏になると盆踊りで踊るんですか?なぜ子供たちはダンスに夢中になるのでしょう?

それを考えれば、如何にバボラークのホルンが、わくわくするものか、想像できるじゃありませんか!

 

 

聴いている音源
ヨハン・セバスティアン・バッハ作曲
無伴奏チェロ組曲(ホルン版)
組曲第1番BWV1007
組曲第2番BWV1008
組曲第3番BWV1009
ラデク・バボラーク(ホルン)

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。