かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

コンサート雑感:フィルハーモニック・コーラス チャペルコンサートを聴いて

コンサート雑感、今回は10月13日に聴いてきました、フィルハーモニック・コーラスのチャペル・コンサートを取り上げます。

実は、この団体の演奏を聴くのは初めてです。きっかけは、9月28日に行きました中大混声合唱団の定期演奏会で見たチラシでした。日程的には昨日ご紹介した白川氏のコンサートとバッティングしていましたが、開始時刻が遅いため、めったにはしないコンサートの「はしご」をしようと思ったわけなのです。

何よりも、チラシやサイトを見た限り、どこかに真摯な姿勢を感じたのです。

http://ph-ch.com/

特にモツレクを取り上げるということは、ある意味クラシックの伝統に挑むことでもあるわけなのですから・・・・・たとえば、フーガです。アマチュアオケではなかなか作品では出てこないこの様式は、バッハ以来の伝統となっています。アマチュアでそれに挑むのは合唱団くらいしかありません。

これは聴きに行かないと!と思ったわけです。場所は秋葉原近郊、末広町の神田キリスト教会。

と言ってもですね、響きはかなり微妙という感じです。私自身声を出してみましたが、声を飛ばす方向に応じて響きが異なるという会場です。それは、ハーモニーやアンサンブルのまずさがもろ出ることを意味します。場所によっては響かないわけなのですから。

どちらかといえば、県立音楽堂に似た音響だなあと思いました。となると、比較出来るのはエントリであげているのではスウェーデン放送合唱団ですし、あげていない団体では横響合唱団(フランチャイズ神奈川県立音楽堂)が挙げられましょう。

というと、辛口批評?と構えられるかもしれませんが、それほどではありません(ということは、中辛より少し甘め)。

まず、モーツァルトのアヴェ・ヴェルム・コルプス。私も何度も歌った作品です。いきなり素晴らしいアンサンブルでしたので、ビックリです!こんな団体が、世の中にはあるんだなあと感心しました。やる気満々がこちらに伝わってきます。

しかし、そのまず第1曲目でいきなりちょっと気になることが。「なんか、音が大きい」

この作品は、楽譜には確かずっとpあるいはppがついているはずなんです。古典派の作品としては珍しい指示です。しかも高音で・・・・・だから、とても難しい作品なんです。こういった作品がきちんと歌えれば、フォーレのレクイエムも大丈夫でしょう(と、中大混声とコア・アプラウスの方々には申しておきます)。

しかし、この団体は少しばかり音が大きいように思いました。アンサンブル重視だったのかもしれませんね。でも、実力はあると思いますのでもう少しだけ小さくしても大丈夫でしょう。

次に、ブルックナーのモテット「Locus iste」です。「この場所は神がおつくりになった」という意味ですが、それがとても重要な意味を持つ作品を、きちんと表現しているのは素晴らしいと思います。第1曲よりはこの第2曲目のほうが上手だったように思います。

第3曲目は有名な「アメージング・グレイス」。これもアンサンブルは素晴らしい!ただ、女声が少し強かったかなと思います。いや、全体的にそれは感じました。

どの合唱団でも男性が少なく女性が多いという悩みを抱えていると思います。しかしだからと言ってバランスが悪いことを団員数のせいにしてほしくはありません。女声が弱く歌えば解決する話なのですから。そのあたりは、女声に繊細さがあるともっといいなあと思います。

第4曲目は大バッハの教会カンタータ第147番から最終曲「イエスこそ、変わらざるわが喜び」。テンポもいいですし、アンサンブルも申し分ないと思います。こういったコラールがしっかり歌えるのは基礎がしっかりしている証拠なのです。

それ故、残念だったのが以下のベートーヴェンモーツァルトだったのです・・・・・・

まず、前半最後野第5曲目であるベートーヴェンのミサ・ソレムニスから、グローリア。一つ残念なのが、「間にHが入ってしまう」という点でした。しかも、男声だけ・・・・・

ウーン、それは入れるにせよ入れないにせよ、統一するほうがいいのでは?と思いました。恐らくこうなんだと思います。女声は入れなくても音の上がり下がりでは苦労しないのでしたくないのに、男声が出来ない・・・・・なのでそのままになってしまったというのが真相ではと思います。

休憩後のモツレク(これも合唱部分のみの抜粋)では、それに加えてさらに女声ソリストが貧弱だったことも残念でした。団員がやられていましたが、その姿勢はとても評価できると思います。聖歌隊のような雰囲気が出ますから。しかし、できればもう少ししっかりと歌って欲しかったなあと、実はこの部分(レクイエムとキリエのソプラノ・ソロ)を歌ったことがある私としては思います。

え、かんちゃんさんはテノールではありませんでしたっけ?という皆様もいらっしゃるかと思いますが、その通り、私はテノール・パートでした。しかし、この部分、確かに難しいのです・・・・・ですから、ソプラノで歌える人がお休みで誰も歌う人がいない!なんてこと、貧乏合唱団ではしょっちゅうある事だったのですよ。で、誰が代役で歌うのかといえば・・・・・

この私です。実はですねえ、かつてはソプラノの最低音くらいまでは、音域として出たのです。ですから、ファルセットを使いながら、その部分を私だとか、或いはもう一人上手なテノール・パートの「男声」が歌いながら、練習したものなのです。

でも、この団体は団員が歌っている・・・・・決して上手とは言えませんでしたが、その挑戦自体は素晴らしいことだと思います。できれば、合唱団のアンサンブルが素晴らしいだけに、其れなりには歌って欲しかったなあと思うわけなのです。

少なくとも、pとfの差ははっきりしていますし、演奏面で大きな失点はありません。ただ、うまいがゆえに、細部が気になるんですよねえ。その点をしっかりとしてほしかったなと思います。

それと、チャペルという場所にあう発声が出来ていたらと思いますが、これは難しいかもしれませんね〜。遠くではなくて、上に飛ばすイメージで(所謂、頭の上から声が出る感じ)歌えればもっとよかったとは思いますが、声自体は飛んでいますから、大丈夫です。後は経験だけだと思います。もうちょっとだけ肩の力を抜いて・・・・・

それだけで、まるでプロ?と聴き手を驚かす団体になると確信しています。

モツレクの本番は来年5月25日ということですが、行けるかどうかはわかりません。ただ、できるだけ行きたいなとは思った、素晴らしい演奏でした。正味1時間程で終わった演奏会でしたが、とても内容の濃い演奏を聴くことが出来、幸せな時間を過ごせましたことを御礼申し上げます。



聴きに行った演奏会
フィルハーモニック・コーラス チャペルコンサート
ヴォルフガング・アマデウスモーツァルト作曲
アヴェ・ヴェルム・コルプスK.623
レクイエム ニ短調K.626(抜粋)
アントン・ブルックナー作曲
Locus iste
作曲者不明
アメイジング・グレイス
ヨハン・セバスティアン・バッハ作曲
カンタータ第147番「心と口と行いと生きざまもて」BWV147より最終曲「イエスこそ、変わらざるわが喜び」
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
ミサ・ソレムニス ニ長調作品123より「グローリア」
鈴木哲太(ピアノ)
棚橋明徳指揮
フィルハーモニック・コーラス

平成24(2012)年10月13日、東京千代田区外神田、神田キリスト教会チャペル



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