かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

マイ・コレクション:スーパーベルズ&向谷実 東横特急

今回のマイ・コレは、スーパーベルズ向谷実がコラボしたアルバム「東横特急」です。

スーパーベルズは、「ベルズ」として何度も取り上げています。

マイ・コレクション:モーターマン3 仙台編&京浜急行
http://yaplog.jp/yk6974/archive/787

マイ・コレクション:スーパーベルズ モーターマンVol.2
http://yaplog.jp/yk6974/archive/1028

マイ・コレクション:スーパーベルズ モーターマン
http://yaplog.jp/yk6974/archive/958

SUPER BELL"Z
http://ja.wikipedia.org/wiki/SUPER_BELL%22Z

その彼らが、カシオペア向谷実と組んだアルバムが、この「東横特急」なのです。

向谷実
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%91%E8%B0%B7%E5%AE%9F

現在は、向谷さんはカシオペアのメンバーではありませんが、このアルバムが出た当時は、まだカシオペアのメンバーでして、それを反映するような楽曲も収められています。

さて、所謂「ベルズ」が鉄道好きの向谷さんと組んだこのアルバムですが、その名前の由来は、南関東、東京と神奈川をネットする私鉄、東急電鉄のメーンラインである、東横線を走る「特急」から名付けられています。

東急東横線
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%B1%E6%80%A5%E6%9D%B1%E6%A8%AA%E7%B7%9A

当時、東横線は開通80周年の記念の年であり、特別展がグループの東急百貨店東横店で開催されました。その会場で買い求めましたのが、このアルバムです。

東横特急 (SUPER BELL"Z&向谷実のアルバム)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%B1%E6%A8%AA%E7%89%B9%E6%80%A5_(SUPER_BELL%22Z%26%E5%90%91%E8%B0%B7%E5%AE%9F%E3%81%AE%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%90%E3%83%A0)

さらに、アルバムを解説するには、東急電鉄をご紹介しておく必要もあるでしょう。

東京急行電鉄
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E6%80%A5%E8%A1%8C%E9%9B%BB%E9%89%84

公式ホームページ
http://www.tokyu.co.jp/

とういうのも、アルバムの第1曲目は序曲としての性格があり、その後第2曲目で東急の解説をしているという順で曲が並んでいるからです。

まず1曲目の「ピアノコンチェルトOp.東横特急」は、トリオを持つ一楽章形式のまさしくピアノコンチェルトで、東横線の特急が渋谷駅を出発する場面から始まります。ベルズ得意の風景を面白く織り込んでいくという様式もいきなり出ています。特に、5000系の空気ばね音や、VVVFのモーター音を反映させる点も、私たちを彼らの世界観へと引きずり込むとともに、渋谷駅を発車して次の停車駅である中目黒に停車する様子を音楽の中に織り込んでいます。「時間照合、17分20秒、定時!」という最後の台詞(運転士の喚呼)で、渋谷駅15分発の特急であることを意味していまして、日中15分間隔で走っている特急の実ダイヤを反映しています。

渋谷 2012年9月25日現在
http://transfer.navitime.biz/tokyu/pc/diagram/TrainDiagram?stCd=00003544&rrCd=00000790&updown=1

第2曲目は「祭・東急フェスティバル」。これはこのアルバムが作られるきっかけとなった、「東横線80周年」記念イベントにちなんでいるとともに、既に述べましたが東急の説明になってもいます。東急と言いますと、先進技術を導入した車輌が有名なのですが、その中でも当時まだ現役であった、5000系、9000系、そして8000系の各モーター音を紹介しています。

第3曲目もそういった性格のある「GAOKA」。GAOKAとは、自由が丘の略であり、運転士が運行上喚呼するときの自由が丘駅の言い方です。まず東急各線の説明から始まります。というのも、自由が丘という駅は各線へ行く十字路にもなっている駅でして、特に大井町線経由池上線、田園都市線へ乗り換える人が降りる駅ともなっています。それを踏まえたうえで、自由が丘がセレブの町であるということも織り込んで、楽曲を楽しいものにしています。沿線に住む人であれば、この時点で笑いが止まらず、突っ込まざるを得ないでしょう。特に、田園都市線の渋谷駅まで言うことはないだろうとか(東横線の渋谷駅を出て、田園都市線の渋谷駅へ行く人はほとんどいないことから、実際にはアナウンスされないため)、まずセレブのおばさんは電車乗らないよとか、突っ込みどころ満載だからです。

第4曲目は「Side By Side」。自由が丘を出て、田園調布駅から日吉までは目黒線との並走区間になります。東横線はかつて田園都市線以上の混雑を記録した路線であり、そのため複々線の計画が持ち上がり、かつての目蒲線東横線に並走させるということで建設されたのが目黒線なのですが、目黒線には特急はなく、急行が走っています。その急行は武蔵小杉駅東横線の特急と接続するダイヤになっており、丁度田園調布から競争する形になります。それを、自動車レースのように描いたのがこの曲です。「ハンドルさばき」というのはにくいですねえ。というのは、東横線を走る車両はすべて、ワンハンドルマスコンを持つ車輌だからです。

ワンハンドルマスコン
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%83%BC#.E3.83.AF.E3.83.B3.E3.83.8F.E3.83.B3.E3.83.89.E3.83.AB.E3.83.9E.E3.82.B9.E3.82.B3.E3.83.B3

第5曲目は「VVVFの宴」。と言っても、各形式のモーター音を再び再掲しているのではなく、9000系のモーター音を中心に、武蔵小杉〜菊名間の様子を描いた曲です。東急への「提灯曲」の性格もあり、実はそこに突っ込みどころがあるんですが・・・・・まあ、制作の背景を考えれば、当然でもありますから、あくまでも「突っ込む」だけにしましょうね。

第6曲目は「GAG,JAB and GAG」。ほとんどの楽曲の作曲を向谷さんが担当しているこのアルバムで第2曲目に続いてベルズのみで制作したのがこの曲です。菊名駅が、鉄道小話で「おおぐちきくな!」(JR横浜線大口駅菊名駅が続いていることにちなむ)とあることにちなんだ曲で、その先の主要駅をオヤヂギャグで笑いをとるということをやっています。くれぐれも、よい子は真似・・・・・しようとしても、たとえばみなとみらい線の「日本大通り」駅は、子供では理解しにくいでしょうねえ。何しろ、副駅名「県庁前」にかけているんですから(役所というものが文書を取り扱う許認可のセクションであることを踏まえたオヤヂギャグであるため)。まあ、これも突っ込みどころ満載というか、曲すべてが突っ込みどころなんですが。

第7曲目が「My nane is 向谷です」。これは作曲が向谷さんである割には、ベルズらしが前面に出された曲です。空気ばね音をシンセではなく人声でやってしまう点は突っ込みどころであると同時に、それが違和感ないのがベルズらしさとも言えるかと思います。しっかりとした伴奏に、横浜弁でささやくという、これも沿線風景を織り交ぜた彼ららしい曲です。地元横浜市民としては、横浜弁は決して面白いものではなく日常風景ですが、外国人に対して「まぶいじゃん!」とは言いません!とこれも突っ込みどころ満載なのですね。勿論、彼らはわかってやっているはずです。その予定調和に意外性があって面白いのです。それに、車掌が外国人でまぶいと言っている割には、名前は日本人であるというのは、コントであり、思わず突っ込まざるを得ません。

第8曲目「高速軌道ミナトミライン〜みらい鉄道横風のテーマ〜」は、特撮のテーマ曲となっていますが、明らかにガンダムを引用した楽曲となっています。こういった点は、バロック新古典主義にもつながる様式なのですね。彼らがいかにいろんなジャンルから影響を受けているかの、一つの証明ともいえます。対句になっているのも、面白いのと同時に彼らの教養の高さと深さを感じる楽曲です。そしてそれが突っ込みどころであるというのも、期待を裏切りません(「乗り入れ」と「ノッチ入れ」)。「5000とは違うのだよ、5000とは!」とガンダムのシャアらしく言っていますが、その違うと言っているY500系は、そもそも東急の5000系の横浜高速バージョンですので、その点も実は鉄道ファンとしては突っ込みどころなんですね。「レッドアロー」のみなとみらい線ヴァージョンとも言えるかと思います(「俺は西武特急レッドアロー」)。

第9曲目は「Bass man 〜MMMix〜」。東横線と直通運転している横浜高速鉄道みなとみらい線の終点が元町・中華街駅であることにちなみ、中国語で一部が歌われます。「MOTOR MAN 中華特急みなとみらい」から引用されていますが、私はそれを持っていないので何とも言えませんが、そういった点も、彼らが広いジャンルに関心を持っている証拠でもあります。こういった点に、わたしは新古典主義(あるいはバッハなどバロック)との共通点を見るのです。もちろん、面白さは抜群です。

第10曲目は「街・ヨコハマ」。これも終点駅にちなむ曲です。おしゃれな作りになっていますが、停車駅と通過駅を連呼する点は、鉄道ファンなら突っ込むところでしょう。そういった面白さも決して忘れてはいません。

第11曲目は「Not in service」。MCのみなのですが、このアルバムの説明ともなっている重要な楽曲なので、是非ともここまで聴いていただきたいと思います。実は第1曲目を渋谷駅出発時にききはじめますと、終点元町・中華街ではこの第10曲目が終わっているように、全体が構成されています(渋谷〜元町・中華街間所要時間が特急で33分)。

第12曲目は第4曲目の、そして第13曲目が第1曲目のInst.ととなっており、曲そのもののレベルの高さを知ることが出来ます。それ故、ベルズが面白いので、是非とも聴いてほしいと思います。

さらに全体的には、東急線の車両、特に運転室における「音」、たとえば指さし歓呼やATCの信号音などが巧に織り込まれており、鉄道ファンにはたまらない作りになっていますし、またそれを知らなくても、音楽と溶け込んでいるため楽しめるかと思います。

こういったコラボをしてもベルズらしさは決して失われていませんし、また向谷さんらしさも失われていない点こそ、このアルバムの素晴らしさであり、また、バッハ以外のバロック新古典主義音楽を聴き始めた私としては、彼のアレンジ力に賞賛の声を上げるしかありません。



聴いているCD
スーパーベルズ向谷実 東横特急
(ヤマハエーアンドアール XQEP1001)




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