かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買いもの:プーランク 室内楽全集1

今月のお買いもの、今回はプーランク室内楽全集です。ディスクユニオン新宿クラシック館での購入です。

まず、プーランクという作曲家からご紹介しましょう。ピアノが好きな方はご存知の方が多いのですが、オケが好きな方はそれほどでもないのではないでしょうか。

フランシス・プーランク
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%97%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%AF

20世紀を代表するフランスの作曲家です。以前、このブログでは合唱曲を取り上げています。

今日の一枚:プーランク カンタータ「人間の顔」
http://yaplog.jp/yk6974/archive/39

日本では、室内楽の分野と、合唱曲で有名な作曲家だといえるでしょう。オケ好きなかたは、協奏曲で知っているという人も多いのではないでしょうか。

私が初めてプーランクの音楽に触れたのが、ザ・タロー・シンガーズが演奏した「人間の顔」でした。その後、室内楽を聴く機会があって、プーランクの世界を知るには、まず室内楽からではないかと確信して、以前から図書館やCD店で音源を物色していました。

プーランク室内楽の特徴として、弦楽アンサンブル用の曲がないということに尽きるかと思います。つまり、弦楽四重奏曲などです。その代り、管楽器が大活躍します。さらにジャンルとして、ソナタがほとんどであるというのが特色です。

第1集では、一つをのぞいて「ピアノとの」ソナタです。なぜカッコをつけなくてはならないかといえば、実はプーランクソナタは必ずしもピアノばかりではないからなのです。それが第4曲目のホルン、トランペットとトロンボーンのためのソナタと、第5曲のクラリネットバスーンのためのソナタです。この二つは1922年のほぼ同じ時期に作曲された作品で、ともに初演は1923年1月4日に行われています。

この2曲に限らずなんですが、プーランクの「管楽が入ったソナタ」は、バロックに範をとっているという点に特色があります。しかし、その和声は決してバロック的ではありません。形式だったりですとか、楽章構成などがバロック的であり、メロディーラインはまさしく時代を映したような、不協和音とはっきりとしたメロディーラインが混然一体となった、印象派あるいは新古典派の延長線上に立脚した音楽がそこには存在します。

なぜならば、プーランクフランス6人組の一人だからです。

フランス6人組
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B96%E4%BA%BA%E7%B5%84

最近、私はこのフランス6人組にとても興味を持っています。いずれ、その一人であるオネゲルは取り上げるつもりでおります。いずれにしても、フランスの20世紀音楽をけん引した一人です。ウィキには「ロマン派音楽や印象主義音楽とは一線を画し、新古典主義音楽に含まれる傾向を示す。」と記述がありますが、さてそれはどうなのかと思います。この室内楽に関しては、印象派の音楽の影響も多少なりともみられるからです。ですから私は「印象派あるいは新古典派の延長線上に立脚した音楽がそこには存在します。」と述べたわけなのです。

確かに、形式面では印象派というわけではないように思いますけれども、音楽そのものはさて、新古典主義なのでしょうか?私はまず合唱曲から入りましたので、それに関しては疑問を持っています。少なくともプーランクに関しては、印象派とは一線を画してはいないが、どっぷりつかってもいないといえるかと思います。

むしろ、バロック音楽に範をとるという点から言えば、「新バロック主義」というほうが正しいのではないかという気すらします。ただ、「新古典主義」がバロックもその範疇に収めているので、言葉としては厄介です。

新古典主義音楽
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%B0%E5%8F%A4%E5%85%B8%E4%B8%BB%E7%BE%A9%E9%9F%B3%E6%A5%BD

あくまでもこの場合の「古典」とは、「古典派」ではなく、古典派以前のすべての音楽を指します。それはすでにドビュッシーによってフランスでは種がまかれており、実際にラモーのクラヴサン曲に範をとった作品も存在します。

その意味では、プーランク印象派というよりは、象徴主義の延長線上かもしれません。しかし、音楽としてはドビュッシーよりもはるかに印象主義的です。彼が新古典主義的な音楽を書くようになるのは、少なくともこの第1集に収められた作品の中では、戦後のもの、第1曲のフルートソナタと第3曲のオーボエソナタです。特に第3曲のオーボエとピアノのためのソナタは、楽章構成が緩〜急〜緩となっており、これはバロックにおいては宗教的な意味を持つ構成です。

演奏は、各楽器がそれぞれ現在の一流のプロが集結していることもあり、音の一つ一つまでがはっきりと聴こえることは特筆すべき点だと思います。それでいて、上品で流麗で、アンサンブルの息も絶妙!元々サロン向けのジャンルでもあるソナタですからとても楽しく最後まで聴くことができます。まさしくソナタを聴く醍醐味を味わうことができるといえるでしょう。中古で買えたのは奇跡かも知れません。

第2集も楽しみになります。



聴いているCD
フランシス・プーランク作曲
フルートとピアノのためのソナタFP164
ヴァイオリンとピアノのためのソナタFP119
オーボエとピアノのためのソナタFP185
ホルン、トランペットとトロンボーンのためのソナタFP33
クラリネットバスーンのためのソナタFP32
管楽器とピアノのための六重奏曲FP100
マチュー・ドフュール(フルート)
エマニュエル・パユ(フルート)
フランソワ・ルル―(オーボエ
ポール・メイエ(クラリネット
ジルベール・オダン(バスーン
アブ・コスタ―(ホルン)
フレデリック・メラルディ(トランペット)
ニコラ・ヴァラード(トロンボーン
コーリァ・ブラッハー(ヴァイオリン)
エリック・ル・サージュ(ピアノ)
(BMG クラシックス BVCC-37039)



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