かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:モーツァルト全集から 宗教音楽6

今回の神奈川県立図書館アーカイヴは、モーツァルト全集の宗教音楽の第6集です。今回も実はケーゲルではなく、旧西側の団体の演奏です。特に、合唱団がウィーン少年合唱団であるという点が注目でしょう。

つまりは、この演奏、合唱団は全員男性、なのです。しかし、モーツァルトのミサ曲に男声のみの曲などありません。混声です。特に第1曲目は戴冠ミサなので、私の歌った経験からそれは断言できます。

どういうこと?とお思いでしょう。少年合唱団にはボーイソプラノとボーイアルトが存在します。女声はその2パートが担当するのです。

ですので、実はウィーン少年合唱団は日本では女性に圧倒的にファンが多いという^^;

この音源では、正確には女声をウィーン少年合唱団が、男声をコルス・ヴィエネンシスが担当しています。実は、コルス・ヴィエネンシスも母体はウィーン少年合唱団なのです。ウィーン少年合唱団を卒業した大人によって編成されている男声合唱団です。

ウィーン少年合唱団
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%B3%E5%B0%91%E5%B9%B4%E5%90%88%E5%94%B1%E5%9B%A3

それにしても、何の因果か、ザルツブルク最後の時期のミサ曲を、ウィーンの合唱団が歌うとは、時代ですね。

とはいうものの、この編成は当時の様子に迫ったものでもあります。古典派の時代では、まだまだ聖歌隊の少年が女声を担当するなどは、ごく当たり前でした。オケはウィーン交響楽団とモダンですが、ピリオドに負けない「時代考証」演奏だといえるでしょう。

演奏も、とても評価できる点がたくさんあります。リットしない、八分音符は多少べったり気味ですが比較的アクセントをつけ跳ねさせる、オケの編成はコンパクトなどがそうですが、一番私が評価したいのは、次のK.220雀ミサなんです。

これはミサ曲と借りた音源には記載がありましたが、実際にはミサ・ブレヴィスです。

雀ミサ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9B%80%E3%83%9F%E3%82%B5

K.220 (196b) ミサ曲 第8番 ハ長調
http://www.marimo.or.jp/~chezy/mozart/op2/k220.html

察しが言い方は私が何を言いたいか、わかりますね?そう!アンティフォナを省略していないのです!素晴らしい!

さすがはウィーン少年合唱団ですね。なぜウィーン少年合唱団はさすがなのか。それはもともと、ウィーン少年合唱団がマキシミリアン1世の時代に創設された聖歌隊が元であるからなのです。だから省略しないのですね。ウィキのこの記述はその点で重要なのです。

ウィーン少年合唱団(Wiener Sängerknaben)は、1498年に神聖ローマ皇帝マクシミリアン1世が、宮廷礼拝堂少年聖歌隊として創設した少年合唱団である。原型はインスブルックのヴィルテン少年合唱団で、マクシミリアン1世がウィーンでの新宮廷礼拝堂少年聖歌隊設立の際に、ヴィルテン少年合唱団のメンバーをウィーンに連れてきたものである。

宮廷少年聖歌隊の20人ほどの少年たちの主な任務は、宮廷音楽隊の一員として礼拝堂でのミサ曲の演奏にあった。」

この点は、スルーされることが多いのですよねえ。彼らはその伝統を持つからこそ、ミサ・ブレヴィスでたとえモダンオケであってもアンティフォナを省略することなく、グローリアでは「グローリア イン エクシェルシス デオ」から始めますし、クレドでは「クレド イン ウーヌム デーウム」から始めます。ケーゲルのように省略することはありません。

ただ、ケーゲルと比べれば演奏に「熱さ」が感じられない部分があります。ただ、十分に生き生きとした演奏になっていますし、私は一つの基準演奏だと思います。

特に、戴冠ミサの「アニュス・デイ」のソプラノ・ソロは聴きどころですよ!まだ少年のボーイ・ソプラノのなんと美しいこと!はっとさせられること請け合いです。



聴いている音源
ヴォルフガング・アマデウスモーツァルト作曲
ミサ曲ハ長調K317「戴冠式ミサ」
ミサ曲ハ長調K.220(196b)「雀ミサ」
ウィーン少年合唱団ソリストボーイ・ソプラノ、ボーイ・アルト)
ペーター・イェロジツ(テノール
ゲルハルト・エーダー(バス)
ウィーン少年合唱団
コルス・ヴィエネンシス
マイケル・G・ゴームリー(オルガン)
ウーヴェ・クリスティアン・ハラー指揮
ウィーン交響楽団



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